肝臓がお疲れ気味…そんな肝臓疲労を回復する具体的な方法

肝臓は深刻なダメージが割と進行していても、自覚症状が現れにくいという特徴があります。

肝疾患と呼ばれるレベルのトラブルでもそうなのですから、肝臓が少々疲労した程度では、肝機能検査(血液検査)でも実施しない限り気づきにくく、疲労が蓄積してからようやく体調の異変により気づきます。

肝臓疲労を悪化させると重い、肝機能障害の原因にもなってしまいます。

セルフチェックなどで肝臓の疲労に気づいた段階で、疲労回復の手段を講じる必要があります。肝臓の疲労を回復させてあげる方法とは?

肝臓の疲れをどう克服すればいいの?

肝臓疲労の症状や疲労の有無を判断するセルフチェックの方法についてはこちら、肝臓の疲れチェック!あなたの肝臓はどのくらい疲労しているか?でチェックしてみてください。

セルフチェックをしてみて気になる項目にチェックが入ってしまい、病院に行ってみたところ「ちょっと肝臓が疲れていますね」とか「多少肝機能が低下していますね」などと言われることもあると思います。

あるいは、病院には行かなかったけれど、どうも肝臓がお疲れ気味かな・・・という感想をセルフチェックから抱いた人もいるでしょう。どうも疲れが抜けないと感じ散る人が結果を重ねてみることもあるでしょうね。

肝臓はタフな臓器なので、多少疲れていてもちゃんと疲れを取り除いて回復させてあげれば、基本的には大事に至らないと考えて問題ありません。ただ、疲れを解消しないまま酷使すると、肝機能障害の原因になります。

病院で治療を受けるまでではないものの、何とかして肝臓の疲れを解消してあげる方法を考える必要があります。大きく分けると2とおりの方法がありますので、どちらもご紹介しましょう。

ダイエット(減量)で肝臓の疲労を解消!筆者も医師に言及されました

肝臓は生体の一部ですから、ほかの臓器とも密に連携しながらいつでもベストを尽くそうとする臓器です。ほかの臓器から血液を受け取り、ベストな状態にして再び送り出します。

そのため、ほかの臓器の調子が悪かったり、そもそも体調自体がどうもすぐれなかったりというときには肝機能の数値が悪くなることもあります。過去にない肝機能値の高値を指摘されるとドキッとしますよね?

実は筆者にもそういう経験(ALTだけわずかに高値)があったのですが、なじみの担当医いわく、「太ったんだろ。まあ2kg減量すりゃ問題ねえよ、すぐに元通りになる」と、まるで意に介さずという感じでした。

そうなのです。特にALT(GPT)の値に関しては、いわゆる「脂肪肝」の可能性を示唆する数値の1つとして知られ、トリグリセライド(中性脂肪)の増加からも影響を受けやすい数値です。

「脂肪肝」と「肝臓疲労」とは異なる状況のように感じられるかもしれませんね。脂肪肝というのは「燃焼しきれない脂肪が一定時間以上肝臓に貯蔵され、貯蔵しきれなくなった脂肪が組織に付着する状況」です。

そのため、脂肪肝の状況は肝臓が脂肪を貯蔵しきれず仕事に追われている状況であることを意味します。ということは、脂肪肝の時点で無条件に肝臓が疲労していると考えられます。

明確な脂肪肝に至る前の「少しALT(GPT)が高い状態」で、肝臓の疲労はすでに始まっていると考えられます。ですからダイエット(知り合いの医師のことばを借りれば「減量」)によって肝臓疲労の原因の1つは解決できるのです。

また、アルコールも肝臓疲労やアルコール性脂肪肝(特にγGTPの数値が上昇)の原因になりますので、週2日以上の「休肝日」を設け、飲酒量をコントロールするなどの対処が重要です。

肝臓といえば食事との関係が強い!食生活から疲労を改善する

肝臓の問題といえばアルコールでしょ!と条件反射的に考えるかもしれませんが、実は、脂肪肝でより怖いのはアルコール性脂肪肝ではなく非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)のほうです。

アルコール摂取も大いに関係しますしダイエットも食事と関係していますが、ここでは「肝臓疲労を改善する栄養素」や、逆に「肝臓疲労を助長する栄養素」、あるいはこれらの栄養素を含む「食材」に限定して考えます。

肝臓疲労を改善する栄養素とは、疲労によって進行している肝細胞の破壊をストップし、破壊した部分を回復する効果がある栄養素です。逆に疲労を助長する栄養素は、肝臓の仕事を増やしてしまう栄養素です。

まずは「肝臓疲労の回復効果が期待される食材・栄養素」から見ていきましょう。

  

食材 栄養素 具体的な効能
野菜、海藻、きのこ類 食物繊維 便通を良くして腸内細菌の状態を良化し、毒素のアンモニアの吸収を抑え、肝臓の負担を軽減する
大豆製品 植物性たんぱく質 肝細胞の破壊(肝臓疲労)によりたんぱく質消費が顕著になっている分を補給できる
玄米など未精製の穀物 ビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含む低糖質の炭水化物 肝細胞の破壊と止め、回復を促し、血糖値の上昇を抑えて肝臓への負担を軽減する
カキ、アサリ、シジミなどの貝類 タウリン トリグリセライドの排出作用が高まる
ごま セサミン 血中アルコール濃度を下げる

それでは続いて、摂取を控えたほうがよいアルコール以外の栄養素(食材)も見ていきます。ただし食べてはいけないということではなく、食べすぎには十分注意すべきであるとお考え下さい。

食材 栄養素 具体的な効能
牛乳(乳製品)、卵、肉類、小麦粉製品 脂肪、動物性たんぱく質、鉄分 肝臓で代謝される代表的な栄養素で、摂取により当然肝臓の負担は大きくなる
フライ、てんぷら、スナック菓子 過酸化脂質、トランス脂肪酸 脂肪肝を助長する作用がある脂肪類
食品添加物、農薬など有害物質 有害物質の解毒への負担が大きくなる

運動と食事が肝機能の良好な状態をキープするポイント!

肝機能が低下(肝臓疲労と疲労からくるさまざまなトラブル)したときには、ダイエット(減量)による体重の調整が第一です。あまり難しいことを考えず、まずは食事の量や飲酒量を制限して体重を減らすことを考えましょう。

体重が減るということは、それだけ肝臓が栄養管理に気を配らなくてすむということですから、肝臓疲労から回復できる可能性が高まります。もちろん、過度なダイエットには賛同できませんが。

そしてダイエットや減量といえば、やはりどうしても必要になるのが「運動」です。有酸素運動、無酸素運動を上手に組み合わせて、ダイエットにトライしてみていただきたいと思います。

なお、脂肪肝の運動療法の詳細についてはこちらをご覧ください。

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脂肪肝と診断されたら治療開始!自分で意識すべき運動療法・食事療法

量的な制限と運動によるダイエット効果がみられず、体重が減らなかったときには、いよいよ「摂取する栄養」にも注意を払う必要があります。

中でも糖質(主に炭水化物や甘いもの)や脂質の摂取をできるだけ制限することが望ましいです。特に糖質は体重増加のリスクを高めますので、ご飯やパン、麺類、アルコールなどの摂取はコントロールすべきです。

肝臓疲労の回復のためにダイエットをすれば、肝臓だけでなく、全身の健康にもつながります。肝臓疲労をマイナスととらえるのではなく、ぜひプラスにとらえてダイエットにトライしていただきたいと思います。

それと最後に、今回のお話はあくまでも「肝臓疲労からの回復」がテーマです。「肝疾患や肝機能障害からの回復」のお話でないことにはご注意ください。疲労以外の問題は、病院で対処してください。

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