尿の臭いがいつもと違う!尿に変化があらわれる5つの肝臓トラブル

尿が臭い・・・そんなふうに感じたこと、ありませんか?そりゃあ「尿」なんだから臭いでしょ?と軽く考えるのは危険かもしれません。

今終えた排尿臭いと感じたなら、それは尿に、いや、身体に異常があるのかも・・・。

その1つの可能性として肝臓の悲鳴が考えられるのです。最近飲み過ぎているな、検診で指摘されたな、なんて人必見です。

尿が臭いのはあたり前ではない!尿の臭いと肝臓のトラブルの関係

尿が泡立つケースは、糖尿病や腎臓、そして肝臓に問題があるといわれますが、健康な人でも尿が泡立つことはあります。

これと同様に、健康な人でも尿がにおうのはある部分で「あたり前」のことです。

特に、ニンニク料理など臭いが強い食べ物を食べたあとの排尿ではその傾向があります。

しかし問題は、いつもよりも臭い、いつもと違う臭いがする場合です。肝臓に問題があるといつもとは尿の状態が異なります。

尿が臭い原因となる最大の肝機能障害は「尿素回路」の異常

尿に異常があらわれるケースは、その原因が腎臓にある確率が圧倒的に高いです。糖尿病のときにも尿の異変は見られますが、可能性としては腎臓の問題を疑ったほうが確率は高いでしょう。

特に、尿の色の異変や、尿が臭いなど臭いの問題となると、ほとんどが腎臓の問題を原因とします。次いで糖尿病の可能性も考えられますが、肝臓が原因となると、極めて限定的な可能性に絞られます。

あるとすれば、肝機能低下が原因となってあらわれる肝機能障害のひとつである「尿素回路」の異常です。

尿には健康な人でも「臭い」と感じられる臭いがあります。

その臭いのもととなるのが、おそらくみなさんもご存知である「アンモニア」という有害な物質です。小中学理科の実験で一度はあの強烈な刺激臭を体感されたことがあるでしょう。

逆に言えば、尿が臭いと感じられる、あるいは臭いがいつも以上に強く感じられるとすれば、それはアンモニアの影響である可能性が高いことになります。ただ臭いならまだしも、有害物質だけに心配です。

尿素回路に関して専門的なことを言い出すとかなり難しい話になってしまうので、あえて大幅に内容をカットしてわかりやすくいうなら、アンモニアを安全な物質へと代謝するのが尿素回路の役割であると説明されます。

ちなみに尿素回路が正常に機能したときにアンモニアを代謝して産生される物質は、

  • 尿素
  • グルタミン
  • グルタミン酸

の3種類です。有害物質アンモニアは主に腸内で産生されます。これが血中に入って肝臓に運ばれ、尿素回路にかけられて次々と無毒化され、上記の物質が再び血中に放たれ、その後無事に循環・排泄されます。

ところが、尿素回路の機能に異常がみられると、この重要な作業に不備が起こり、アンモニアがうまく代謝されずに排泄されている危険性があります。排泄される分には有害でも問題ありません。

しかし排泄されない分がすでに血中に入り込んで全身をめぐりはじめているので、尿が臭いと感じられる状況ですでに危険は差し迫っていると考えることもできます。

尿素回路は、肝臓の門脈周辺の肝細胞が担当する機構です。門脈は小腸で吸収された栄養がたっぷり含まれる血液を肝臓に取り入れる取水口のような部位になります。肝臓の入り口とでも表現できるでしょうか。

まあ数ある肝障害のなかでも、一番トラブルが発生しやすい部位ではありますね。

いずれにしても、尿が臭いのは「あたり前ではあるけれどそんなにあたり前でもない」という、少し判断が難しい対象ではありますので、何か不調を感じたときには尿の臭いをチェックしてみてください。

尿の色や臭いは食事や薬にも影響されますので、一過性の症状であれば気にする必要はありません。しかし継続的な異変の場合、尿を通じて何か重要なサインが送られているかもしれません。

尿素回路に異常が起こる原因は、肝機能低下をはじめいろいろ考えられますが、直接的に尿素回路が異常を起こすケースはまれです。この場合、脳からの指令がうまくいっていないことが考えられます。

非常に難解な化学式が乱立するくらい、原因の説明は難しいです。ほかにも特殊な難治性疾患が原因となる尿素回路の異常(尿素サイクル異常症)もあります。

治療についても、尿素回路だけをどうこうするわけではなく、肝臓に原因があるケースに限っては、まずは低下した肝機能を正常に戻すことが大切であるといえるでしょう。

尿が臭い!そのとき尿素回路の問題以外で考えられる肝臓のトラブル

繰り返しになりますが、尿の何らかのトラブルでまず心配しなければならないのは腎臓です。尿の異常でいきなり肝臓を心配するのは、道の種類でいうなら邪道といえるかもしれません。

ぜひ腎機能のチェックをしていただきたいのですが、肝臓に問題があるとするならば、上記でお話した「尿素回路の異常」の可能性が高いです。では、ほかにはほんとうにないの?というところにも触れましょう。

尿素回路のトラブル以外の肝機能障害によって尿が臭いなどの尿の異常がみられることは、結論から言えば、あります。ただ、尿に異変がみられたときに真っ先に疑うような種類の肝機能障害ではありません。

では、実際に臭いなどの尿の異変が起こりうる肝機能障害、肝臓病にはどんなものがあるかというと、

  • 進行した脂肪肝(まれに尿の色の異変)
  • 胆石症(尿の色の異変、まれに尿の臭いの異変)
  • 肝炎(尿の色の異変、まれに尿の臭いの異変)
  • 肝硬変(尿の色の異変、尿の臭いの異変)
  • 肝臓がん(尿の色の異変、尿の臭いの異変)

などの肝障害が挙がります。ただ、肝硬変や肝臓がんのレベルにまで重篤な肝臓病になってしまったら、それは尿にも異常があらわれますし、尿がどうこういう以前にいろいろな問題があらわれるはずです。

また、肝炎、肝硬変、肝臓がんともなると、いろいろな薬を多量に投与することになりますので、その影響で尿が正常であることのほうがむしろ不自然です。

ですから、よろしいですか?尿ですよ!上記の肝臓病では尿が臭いんですよ!などと胸を張って言えるような症例ではないでしょうね・・・参考になるといえば、脂肪肝や初期の肝炎くらいでしょうか。

胆石症の場合、尿が臭いことよりも、血尿などびっくりするような尿の異変がみられることもありますので、注意してください。まあこれも胆石よりは尿路結石に多い症例ではありますが。

そして「尿素サイクル異常症(指定難病251)」という難病も、尿の異常の原因になります。ただしこの病気を肝機能障害に含めるのはさすがに無理があるといわなければなりません。めったに起こる病気ではないです。

尿が臭いときは腎臓、肝臓など内臓のトラブルに注意

尿が臭い場合、どうしても排尿直近の経由臓器である腎臓のトラブルが多くなります。しかし腎臓よりも前の段階ですでに何らかの問題(原因)が起こっているとすると、それは肝臓の可能性が高いです。

もちろん糖尿(狭義ではすい臓の病気)の可能性も十分考えられますが、いずれにしても内臓で何らかのトラブルが起こっているという意識は持っていなければなりません。

尿が臭い、尿の色がおかしい、尿の泡が消えない・・・などなど、尿にまつわる異常を察知したら、できるだけ早いタイミングで検査をしていただきたいと思います。

この記事をシェア

合わせて読みたい

ページ先頭に戻る