体臭の原因は肝臓トラブル!?肝機能が低下してる人の匂いがある
汗をたくさんかく人にとってからだの匂いは気になるものですが、しかしからだの匂い(体臭)が出るメカニズムは口でいうほどシンプルではありません。
つまり、「汗」が直接の原因となる体臭なんて絶対にありえないんです。
「え!?」と思うかもしれませんね。もちろん汗は間接的に体臭とかかわっていますが、実は汗自体に匂いがないので直接的なかかわりはないんです。
ただし、肝臓が弱っていると「くさい汗」が出ることもあるんですよ…。
からだの匂いがくさいのは肝機能の低下が原因!?
汗をたくさんかいてからだの匂いがくさくなるのはある意味仕方ないことかもしれませんが、しかしそれも程度問題です。
汗をかいてからだの匂いがくさいと感じること自体にそれほど大きな(健康上の)意味はありません。
問題なのは、
- 以前にくらべてからだの匂いが強くなったように感じる
- それほど汗をかいているわけではないのに、からだの匂いがくさく感じられるようになってきた
というケースです。
上記のケースでは、もしかしたら肝臓が弱っていて肝機能が低下しているのかもしれません。
「体臭は自覚できない」などと化粧品会社は言っていますが、そんなことはありません。肝機能低下による匂いの変化は十分自覚できます。
肝機能の低下による体臭の原因は2つ!最大の要因はアセトアルデヒド
帰宅ラッシュの満員電車で、どうみてもかなりお酒を飲んだんだろうなぁと思われるオジサンと隣り合ったりすると、かなり強烈な匂いを感じることがあると思います。いわゆる「酔っ払い臭」ですね。正直かなりくさいです。
一般にあの匂いは「酒くさい」と表現されますが、酒好きの筆者の独断と酒の名誉のために言わせてもらうなら、「酒はあんなにくさい匂いではない!」と断言します。おそらく賛同していただける読者の方も多いでしょう。
「酒くさい」のに「酒(アルコール)の匂いではない」というのも不思議な話ですが、では、あの忌まわしい「酒くささ」の正体は、いったい何なのでしょうか?
加齢臭との関係だとか汗とアルコールの混じった匂いだとかいろいろ言われますね。
結論をいうと、あれは「アセトアルデヒド」という物質のくささなんです。アセトアルデヒドは肝臓にダメージを負わせる有毒物質として知られます。
アセトアルデヒドは酒・たばこなどの嗜好品が原因で発生します。一般的にはお酒と強くかかわる物質です。
飲酒の際に血中のアルコールは肝臓に運ばれる
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「アルコール脱水素酵素」と呼ばれる酵素がアルコールを分解する
↓
アセトアルデヒドが生成される
↓
アセトアルデヒドは有毒なので、肝臓はさらにアセトアルデヒドを酢酸へと代謝して無毒化する
ただしこれはあくまでも「健康な肝臓」の話です。あるいは「肝臓が許容する量のアルコール代謝」の話です。
肝臓が弱って肝機能が低下していたり「飲みすぎ」だったりすると、肝臓は正常にアセトアルデヒドを代謝しません。
その結果として、体内に残留したアセトアルデヒドが汗や呼気、体分泌物などに混じって、その匂いが「酒くささ」となっているのです。その量が多いと、満員電車の「酔っ払い臭」になってしまうんですね。
一般にアセトアルデヒドは、タマネギのくささやアンモニア臭のような刺激臭と説明されます。からだの匂いには個人差がありますので、いろいろな表現があるとは思いますが。
お酒好きの人の汗の「刺激臭」は、「すっぱいような匂い」などと言われることも多いです。これはもしかしたらアセトアルデヒドそのもののくささではなく、アセトアルデヒドの代謝物である「酢酸」の匂いとも関係しているのかもしれませんね。
お酒を飲まないのに匂いがする、という人も肝機能の低下が疑われる
ちなみに、お酒は飲まないけれどタマネギやアンモニアのような刺激臭がある、と悩む人もいますが、このケースでも肝機能の低下の可能性が極めて高いです。また、腸にトラブルが起こっている可能性も考えられます。
このケースでは、アセトアルデヒドよりもアンモニアがくさい匂いの原因になっている可能性が大きいです。あるいは、アンモニアとアセトアルデヒドが混じったくささの可能性が大きいです。
アンモニアも本来は肝臓で代謝されなければならない有害物質ですが、肝機能が低下するとどうしてもアンモニア代謝がままならず、アンモニア臭が汗などの体分泌物に混じって悪臭となるのです。
アンモニアは、アルコールを摂取しない人であっても、肉などの食べ物を摂取するだけで発生します。体臭がアンモニアのような匂いになってしまうプロセスは、アセトアルデヒドのそれと同様です。
厚生労働省の推奨では、1日あたりのアルコール摂取量の上限は「20mL」です。あくまでも参考程度ではありますが、意識する目安として是非覚えておいていただきたいと思います。
さらに生臭い匂いも肝機能低下が原因!
アセトアルデヒドやアンモニアが原因の体臭は「刺激臭」と表現されます。刺激臭の体臭に悩む人は、男女問わず非常に多いです。しかし刺激臭とは少々異なる「生ぐさい(魚くさい)体臭」に悩む人もいます。
実はこのタイプの体臭も、肝機能の低下に原因があると考えられています。体臭が生ぐさくなるその匂いの原因は、「トリメチルアミン」と呼ばれる物質にあると考えられています。
体臭が生ぐさくなるプロセスに関しても、アセトアルデヒドやアンモニアのくささが体臭に現れるプロセスと同じで、トリメチルアミンが肝臓でうまく代謝されないことが最大の原因になります。
ただし、トリメチルアミンは肝機能検査には現れない部分の肝機能が低下が原因となって代謝されないケースもごくまれにあるようで、この分野は現在も研究対象となっているとのことでした。
ちなみにこのトリメチルアミンは、生魚に含まれる「レシチン」と呼ばれる脂質が代謝され、主に腸で生成されます。これが「生ぐささ」の原因ではないかと考えられており、このタイプの体臭や口臭を「魚臭症(魚臭症候群)」と呼びます。
魚臭は「ぎょしゅう」と読みますが、トリメチルアミンは体臭だけでなく「口臭」として問題視されることも多いです。口臭と「呼気のくささ」との分かれ目はまた難しいところですが、私たちがそこまで難しく考える必要はないでしょう。
汗くさいのはまぁOKとして、要注意なのは匂いの変化
冒頭で「汗に匂いなんてない!」と言ってしまったので、汗くささのすべてが肝臓の問題によるとの誤解が生じるかもしれませんが、そこはまた異なる解釈が必要になります。
汗自体に匂いがないということに関してはまぎれない事実です。では、汗をかくとなぜ汗くさくなるのかというと、これは皮膚に常駐している細菌類が分泌された汗を分解する過程で発散される匂いなのです。
皮膚の常駐菌がいるのは誰でも当たり前ですし、汗をかくのも当たり前ですから、汗をかいて汗くさくなるのもある意味当たり前のことなのです。ですから、汗くさいこと自体には、あくまでも健康上の問題としての大きな意味はないのです。
しかし汗くささ(一般に言われる「汗の匂い」)については、体臭と呼ばれるほど強烈な刺激臭とは異なります。アセトアルデヒドやアンモニアのような刺激臭を感じたときには、健康上の問題として注意する必要はあるでしょう。
まあ体臭の問題は健康ばかりの問題ではないので、特に女性にとっては悩ましい問題となるとは思いますが、健康と絡めて考えることも忘れないでいただきたいと思います。