肝臓に悪い食べ物一覧。検査数値を上昇させる食品の特徴とは

肝臓に良い、あるいは肝臓に負担をかけない食べ物についてはおそらくいろいろなところで語られているかと思います。

一般的には、「高たんぱく・低脂肪の食べ物」が肝臓に負担をかけない望ましい食べ物だといわれていますね。

では逆に、「肝臓に悪い食べ物」というのが果たしてあるのか、あるとすればどんな食べ物なのか・・・これに関しては、正直あまり積極的に語られていない印象があります。

今回はあえてそんなテーマでお話していきます。

肝臓に悪い食べ物=ALTとASTの数値が上がる食べ物として考える

特に肝臓の状態がよろしくないという人にとっては、肝臓に悪い食べ物はなにか、非常に気になるところかと思います。

ただ「肝臓に悪い」という言い方がそもそもあまりにも抽象的すぎるので、正直判断が難しいです。

そこで、「肝臓に悪い」というのはいったいどういう状況なのかを考えるとどんな見方をすればいいのか決まってきます。

食べたら肝硬変になる食べ物なんてこの世にはあり得ません。そういう極端な状況ではなく、「肝臓の数値」に着目して、肝臓に悪いと思われる食べ物について考えます。

「肝機能の数値が上がる食べ物」はとっても身近!

肝臓が悪いというよりは、肝機能の数値が高いと将来的に肝臓が悪くなる可能性がありますよ、という事実に着目し、「肝臓の数値が上昇しやすい食べ物」を絞り込むというのがひとつの方法になるでしょう。

とはいえ肝機能の状態を示す検査項目はかなりの数が存在します。詳細は「肝臓の血液検査値のページ」をご覧いただきたいのですが、私たち素人がそのすべてを同時に考えるのも正直無理があります。

そこで、肝機能検査の最も基本的な情報となる

の数値が上昇しやすい食べ物は何かを考えることにしましょう。特にALT(GPT)の数値を目安とします。

というのも、AST(GOT)は心臓や筋肉など、肝臓以外の問題でも数値が上昇することがあるからです。ALT(GPT)も肝臓以外の問題で数値が上昇することはありますが、より肝臓の状態が反映しやすい項目なんです。

ALT(GPT)が上昇する原因はいろいろあります。たとえば

  • 炭水化物(糖質)
  • アルコール
  • 脂質

など、私たちが普段口にする食べ物や嗜好品の多くがALT(GPT)の数値を上昇させるファクターを持っているのです。

特にALT(GPT)は、中性脂肪の上昇に敏感なところがあり、中性脂肪が上昇することで一緒に上昇しやすい傾向があります。

・・・ということは、中性脂肪が上昇しやすい食べ物はALT(GPT)も上昇させるかもしれないと考えることができます。

▼中性脂肪の数値を上昇させやすい食べ物

脂質が多い食べ物 バタ-、クリ-ム、牛肉や豚肉など
糖質が多い食べ物 果物、はちみつ、菓子類、ジュ-スなど
アルコール飲料 ビ-ル、日本酒、焼酎など酒類全般

(参考:血液中の中性脂肪が高い人の食事-現代食事考かしこく食べる(公益社団法人千葉県栄養士会)より)

アルコール飲料については食べ物ではなく「飲み物」になるかと思いますが、やはり肝臓とのかかわりでアルコールを無視するわけにはいきません。再確認の意味で「中性脂肪を上昇させやすい食べ物」に加えました。

ちなみにアルコールは、ALT(GPT)、AST(GOT)もそうですが、γGTP(γ:ガンマ)の数値も著しく上昇させることがあります。γGTPもALT(GPT)、AST(GOT)とならんで肝機能検査の代表的な数値です。

また、「中性脂肪を上昇させやすい食べ物」の中にはふくまれていませんが、上でもふれた「炭水化物」も糖質に含まれますので、中性脂肪はもちろん、ALT(GPT)の数値を上昇させやすいといえます。

炭水化物というのは、日本人の多くにとっては主食となる

  • ご飯(お米)
  • パン
  • 麺類
  • イモ類

をはじめとするさまざまな食べ物があります。

そんなこと言われたら食べるものがなくなってしまうじゃないか!と思った方へ

ご飯もパンも麺類もイモ類も肉も果物もお酒も、何から何までダメと言われたら、食べるものがなくなっちゃうだろ!と思った人もいると思います。確かに、これらを一切食べないということであれば、食べるものがなくなりますよね。

ただ、上記でご紹介したのはあくまでも「中性脂肪の上昇に伴ってALT(GPT)、AST(GOT)などの肝機能数値が上昇する可能性がある食べ物」です。「食べてはいけない食べ物」ではありません。

そもそも炭水化物(糖質)や脂質は、私たちの活動のベースとなる重要なエネルギー(栄養素)です。糖質や脂質が枯渇したらたいへんなことになります。糖質も脂質も摂取しなければならないエネルギーなのです。

もうお気づきかと思いますが、重要なことは、過剰に摂取すると必要以上に中性脂肪が上昇し、脂肪が肝臓に蓄積されて脂肪肝になりますよ、ということです。

そもそも食べ物は「食べるべきもの」なのですから、肝臓に悪い食べ物なんてこの世にはないと筆者は解釈しています。上記の食べ物に限らず、どんなものでも過剰に摂取すれば肝臓にとってもどこにとってもロクなことはありません。

少し食べただけで肝臓がダメになってしまうような食べ物はありません。あるとすれば毒キノコくらいのものです。しかし毒キノコは食べ物ではなく「毒物」です。はじめから食べたらダメに決まっています。

食べるためのものとして日本で流通するものに、肝臓やほかの臓器に悪いものなんてありえないと解釈していただいてもかまいません。

ただし、同じものばかり食べて栄養が偏ったり、なんでも大量に摂取するのは絶対にNGなのです。

真偽のほどはわかりませんが、「コンビニ弁当は身体(肝臓?)によくない」といった都市伝説もまことしやかにささやかれています。もちろん、1年中ずっとコンビニ弁当を食べれば、肝臓に良いはずはありません。

しかし月に1回くらいの割合なら、糖尿病や腎臓病など特別な事情がない限り、身体に悪影響がおよぶことなどあり得ません。

筆者も月イチくらいでコンビニ弁当を利用しますが、肝臓にはまったく影響が出ていません。

ただ、現在肝臓の数値が高めの人(無論明らかな肝臓病の人も)は、大量に食べないのは当然として、やはり糖質、脂質、そしてアルコールは控え目にすべきです。

体重にして2kg落とすだけで、ALT(GPT)の数値はだいぶ下がりますよ。

食べ物よりも「食べ方」のほうがずっと重要

今回は「肝臓に悪い食べ物」というテーマでお話してきましたが、もうおわかりですね?肝臓をケアする上でより重要なことは、食べ物をどうすべきかよりも、ご自身の肝臓の現状を把握した上で、「食べ方」に気を配ることです。

肝臓ケアのベースは「腹八分目」です。そして食べすぎないこと。少しでも量を多く食べたい人は、毎日しっかりと運動をしましょう。もちろん少食の人も運動は健康を維持する上で重要ですが。

同じもの(同じ栄養素)ばかり食べ続けるのもよくありません。また、食べ方についてもうひとつ補足しますと、食事中にあまり水分をとりすぎると、胃液などの消化液の働きが薄まり、肝臓に負担がかかることもあります。

食べすぎないために水分を豊富にとるという考え方も悪くはないのですが、食事中ではなく、食事の前にしっかりと水分補給するようにしてください。もうひとつ、消化を助けるという意味では、「よく噛むこと」も重要です。

特に炭水化物(糖質)の分解はだ液でもある程度行われますので、よく噛んで食べれば肝臓への負担は小さくなります。噛む回数が増えれば、いわゆる「満腹中枢」も刺激され、たくさん食べなくても満腹感を得られるといわれます。

現在、あるいは将来、肝臓が不安だと感じている人は、参考にしていただきたいと思います。

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