顔色が悪いのは肝臓のせい!?原因となる肝疾患と顔色の特徴

健康のバロメータとなる情報はいろいろありますが、「顔色」もそのひとつです。

顔色と内臓疾患の関係は密接であるといわれます。特に、肝臓や腎臓の状態が悪いときには顔色も悪くなる…聞いた事ないでしょうか?

今回は「肝臓と顔色」の関係を解説いたします。

肝臓が悪いと顔色が悪くなる!しかしその理由は…

熟練のお医者さんであれば、肝臓(もしくは腎臓)がダメージを負っていることが、患者さんの顔色から判断できる場合が多いでしょう。しかしそれは、あくまで何人ものそうした患者さんと対峙した経験のなせる業です。

私たち素人に真似できる芸当ではありませんね。素人判断ほど怖いものはありません。

何しろ顔色の悪さの原因は肝臓や腎臓にあるかもしれないのです。ヘタをすれば生命にかかわります。モラルの問題はともかく、真似なんてできません。

ただ、間違いなくいえることは、

  • 無症状のことが多いアルコール性肝障害
  • ウイルス性肝炎
  • 肥満に伴う脂肪肝
  • 脂質異常症(高脂血症)

などが原因で皮膚の色が黒ずんだり顔色が悪くなったりすることがある、 という事実です。

(参考:検診の予備知識-一般社団法人東京都総合組合保健施設振興協会 より)

顔色が悪くなる体調不良や疾患はいろいろあります。

顔色が青白くなる「貧血」はその代表でしょう。ほかにも、胃潰瘍や十二指腸潰瘍でも顔色が悪くなることがあります。そして、肝臓のトラブルにもいくつかあります。

確かにイメージ的には、肝硬変や肝がんなどの重度肝臓疾患が原因で顔色が悪くなる印象はあります。いわゆる「土気色(つちけいろ)」と呼ばれる、黄土色とこげ茶色の間といった顔色の肝疾患患者さんは確かにいます。

では、重度肝疾患になるとなぜそんな顔色になってしまうのかというと、考えられる原因は大きくわけて「2つ」あります。

  • 黄疸(おうだん)
  • 肝機能障害による血流の低下

肝臓トラブルで顔色に異変が起こる代表!黄疸

まずは1つ目、肝疾患といえばもちろん黄疸(おうだん)です。

黄疸は、一般的には白目の部分や皮膚の一部に現れるといわれますが、胆汁色素であるビリルビン(ビリルビン色素)が原因で、顔全体の色が土気色に変化することはよくあります。

なお黄疸は、目、顔以外にも、肝疾患の症状によって身体全体のさまざまな部位に出現する可能性があるので、顔色だけが肝臓のトラブルのサインになるとは限りません。この点には注意してください。

同じ肝障害でも、どちらかといえば慢性的な症状にくらべて急性症状、ショック症状の際に顔色の悪化が顕著になる傾向があります。

顔色の悪化を伴う肝疾患・肝機能障害
  • 急性肝炎・・・黄疸によって黄土色に変色し、肝硬変になると黄疸が進行した暗褐色の顔色になる
  • 胆石症・・・黄疸によって黄土色に変色し、ショック症状が起こると真っ青な顔色になる

肝臓が弱っていると血流が悪くなり、顔色に影響がでる

そしてもう1つの原因は、肝機能障害による血流の低下です。

顔色とはそもそもなんの色なのかというと、実は顔の皮下の血管および血管をとおる血液の色が顔色を構成する色素の1つです。

肝機能障害によって血流が低下し、顔色が悪くなることも当然考えられます。ただ、顔色に影響がおよぶレベルの血流低下を招くほど重度な肝疾患だと、すでに黄疸を発症している可能性が高いです。

上記の「胆石症」のところで、ショック症状の際には顔色が真っ青になると記しましたが、これはショック症状により血流が一時的に停止した影響です。それゆえ、みるみる顔色が青白く変色していきます。

とはいえショック症状などそうそう起こる症状ではありませんので、肝疾患による顔色の悪化の多くは「黄疸(ビリルビン色素)」が影響していると考えられるのです。

ちなみに、肝疾患以外にも貧血、胃腸障害、一酸化炭素中毒など、さまざまな疾患・症状によって顔色が悪化することがありますので、注意してください。

「顔色」をどう判断するかが大きな問題になる

顔色にはいろいろな色があります。今回問題にしている「悪い顔色」にもいろいろあります。あくまでも「顔色」の話です。「顔」の話ではありません。悪い顔色の代表に「青白い顔」があります。

貧血気味の人は、比較的この「青白い顔」に悩まされることが多いようです。白いからといって「美白」とはちがいます。貧血の意味するとおり「血の気が失せた顔色」、つまり「血色が悪い顔色」です。

ただし実際のところ、貧血で青白い顔色の肌と、「美白」に相当する色白の肌がどのくらい異なるのか、その程度を表現する尺度はありません。ほんとうに、青白い顔と色白の顔は異なるのでしょうか?

たとえばグラスの底のほうにたまっている水を見て、「少ししか入っていない」と表現する人と「少しだけ入っている」と表現する人とがいます。その人の主観で見方や表現は180度ガラッと変わってしまうものです。

同様に、瘦せてどこか頼りない面持ちの人は、たとえ色白であったとしても「青白い」と表現されてしまい、逆に比較的肉付きがよく健康的、活動的な人であれば、貧血だったとしても「色白」と解釈されることもあるのかもしれません。

実際、かっこいいサーファーさんの焼けた肌色を見て、「彼はきっと肝臓か腎臓が悪いね」などと考える人はいないでしょう。たとえ肝臓や腎臓がほんとうに悪かったとしても、肌色と関連させて考える人はいないはずです。

という具合に、「顔色の悪さ」というのは、青白さに限らず、浅黒い、どこか不健康に思われる色であったとしても、その人の見方によって印象が変わってきてしまうものです。だからこそ素人判断はしないほうがよいといえます。

ただ、これまでいつでも健康そうな血色の良い顔色だった人が、徐々に黒っぽい不健康そうな顔色に変わっていったとするならば、これはもしかしたら肝臓なり腎臓なりに良くないことが起こっている兆候かもしれません。

もちろん顔色以外にも、なんとなくけだるそうにしていたり、調子が悪そうだったりする要因も踏まえ、そっと指摘してあげてもよいかもしれないですね。

顔色はあくまでも「1つの有力情報」ととらえる

いろいろな文献を見てみても、あまり積極的に肝疾患と顔色の悪さを関連付けようとする学者さんは多くないようです。

もちろん明らかに顔色が悪くなったといった大きな変化には敏感に反応すべきではあります。

とはいえ、自覚症状として、ふだんと何ら変わらない生活を送ることができていて、特に不調などは感じないということであれば、むやみに心配しないほうが精神的には健全でしょう。

ただ、なんとなく違和感を察知していたり、どうも調子がすぐれないなどというある程度はっきりとした自覚(ふだんとの差異)があって、なおかつ顔色が悪いときには、一度肝機能検査をしたほうが無難であることは確かです。

ぜひ参考にしていただきたいと思います。

この記事をシェア

合わせて読みたい

ページ先頭に戻る