梅干しが二日酔いに効く!肝機能回復の条件がそろった梅干しの成分

二日酔いの朝は市販薬やドリンク剤が良いといわれます。もっと身近なところでは、二日酔いに「柿」が良い、なんて聞きますよね。

柿は季節によってあったりなかったりしますが、それよりも通年で入手しやすく、しかも二日酔いに効果的な「身近な食材」があります。

梅干しです。

刺激的かつさわやかな酸味と風味は、確かに二日酔いに効きそうですね。

しかし刺激的でさわやかなだけが理由ではありません。肝臓との関係も無視できないほど、密接で納得なのです。

二日酔いに梅干しが効果的な理由は複数ある

梅は古くから高い殺菌効果、解毒効果があるとされてきました。このことはきっとみなさんもご存知かと思います。解毒の役割を担う臓器は肝臓ですから、梅の効果によって肝臓への負担が軽減される見当はつくでしょう。

しかし今回は、「梅」ではなく、あえて「梅干し」にスポットを当て、二日酔いへの効果的な作用を検証していきます。なぜ梅ではなく梅干しなのか・・・今回のポイントはここにあります。

少しミステリアスで、興味深いテーマですよね?ではさっそく検証開始です!

梅干しといえばもちろん梅!まずは梅の効能を再確認

梅干しが二日酔い改善に効果があるということは、肝臓にも何らかの形で有効に作用していることを意味します。つまり、梅干しには肝機能回復の効果があることになります。

肝臓が担う機能、すなわち「肝機能」には、主に3つの役割があります。

  • 血中から取り込まれた栄養素の代謝
  • 有害物質の解毒
  • 代謝・解毒を行う栄養素の貯蔵

です。ほかにも胆汁の生成など、いくつかの役割が肝臓にはあります。お酒を一定量飲むと肝臓はダメージを受けますので、これらの肝機能が低下します。つまり代謝や解毒などがうまくいかなくなるのです。

ではなぜ梅が肝機能を改善させることができるのかというと、実は、梅にも肝機能と似通った作用があるからなんです。

肝機能に通じる梅の代表的な効能
  • 胆汁をつくる(肝臓の代表的な機能)
  • 血中の毒素や老廃物を排除して血液をサラサラにする(肝臓の解毒機能)
  • アルコールの分解を促進する(肝臓が最もダメージを受ける肝機能)
  • 殺菌効果(A型肝炎などウイルス性肝炎の予防)

(参考:肝臓に良い食品/梅-大阪木津関連卸商組合より)

肝臓の代役的な働きを「梅」がみごとに果たしてくれるんですね!

もちろん肝臓を取り出してかわりに梅をくくりつけても代役にはなりませんが、肝臓の負担は食べた梅がずいぶん肩代わりしてくれることは間違いないでしょう。

ところで梅干しというと、冒頭でもふれた「刺激的な酸味」をイメージしますよね?梅干しの酸味はご想像どおり、「梅」から得られる強い味覚です。実は、この「酸味」が肝機能への好影響をもたらしているのです。

梅の酸味となる栄養素は「クエン酸」と「リンゴ酸」です。これがいろいろな栄養素(特に酸性物質)と結びつくことによって、食欲増進や腸内環境を整える作用を生み出します。

クエン酸にはじまる酸性物質の結合を「TCAサイクル」と呼び、この作用が梅干しによる二日酔いの改善の重要なポイントになります。

TCAサイクル略図
(出典:TCAサイクル-梅干っていいぞ!(かおるの梅)より)

「肝臓と胃腸の関係は密接ですよ!」というお話を、肝臓と便秘、あるいは肝臓と下痢との関係としてそれぞれお話したことがありましたが、さらにTCAサイクルの作用によって、上記に列挙した「梅の効能」を生むのです。

そしてもうひとつ重要な梅の成分が「ピクリン酸」です。ピクリン酸は肝機能を高めることが医学的に証明されているので、これが梅に含まれていること自体、梅干しの肝機能向上への期待度は急上昇します。

こういった複数の要因が、梅干しの「梅」の部分が二日酔いを改善する根拠になります。しかし今回のお話は「梅」ではなく「梅干し」です。つまり、二日酔い改善効果の要因はまだまだあるんです!

梅干しで忘れてはならないのは「しそ」による強力な効果

「梅干しといえば梅!」とは思うでしょうが、そんなの当たり前すぎてしまってどこかピンとこないフレーズのようにも感じられます。梅干しといえば、やっぱり「しそ」でしょう!

実はしそ(紫蘇/オオバ)にも肝機能改善の、そして二日酔い改善の効果をもたらす作用があるんです!梅干しにつかわれるしそは「赤じそ」のほうですね。青じそは赤じそにくらべ栄養価が高いです。

しかし梅干しにつかわれる赤じそは、青じそよりも殺菌効果などの薬効が豊かであると考えられているんです!梅だけでも十分に薬効を感じさせますが、そこに赤じそが加われば鬼に金棒という感じですよね。

実際「赤じそジュース」は二日酔いに効くジュースとして紹介されることも多いくらいです。梅ではなく梅干しをテーマにしたのは、実は今回のキモとなる「しそ」の薬効に着目してのことでした。

赤じその薬効は漢方薬としても注目されており、東洋医学では赤じそを特に「蘇葉(そよう)」と呼び、二日酔いだけでなくさまざまな症状に赤じそを用いています。

さて、赤じそがなぜ二日酔いに効くのかを考えるわけですが、そのためには当然赤じその成分に着目する必要がありますね。二日酔いとの関係が深そうな成分に着目しますと、やはり「ビタミンB群」に注目です。

赤じそ100gあたりに含まれるビタミンB群他の有効成分
  • ビタミンB1(0.13mg)
  • B2(0.34mg)
  • ナイアシン(1.0mg)
  • B6(0.34mg)
  • パントテン酸(1.0mg)
  • 葉酸(0.11mg)
  • ビタミンK(0.69mg)
  • カロテン(11mg)

肝機能回復の効果が高い栄養素としてビタミンB群が真っ先に思い出されますが、そのメカニズムについては二日酔いに効く市販薬のところですでにお話していますので、そちらをご覧いただければと思います。

ところで、ビタミンB群の栄養素以外で目につくのが、ビタミンB群以上に含有量が豊富なビタミンKとβカロテンですね。実はこの両者が豊富に含まれていることも、二日酔いと大きく関係しているのです。

というのも、ビタミンKは肝臓でつくられる栄養素であるため、二日酔いで肝機能低下が起こっている状況で思うようにつくられないビタミンKを、赤じその成分によって補完することができるからです。

そしてβカロテン(β:ベータ)については、肝機能値との関係が密接になります。特に、βカロテンを豊富に摂取している人はALT(GPT)が上昇しづらいことがわかっています。

お酒との関係が深い肝機能値というとγGTP(γ:ガンマ)のほうが密接ですが、ALT(GPT)も肝機能を代表する数値なので、二日酔いと直接の関係はなくても肝臓にとって赤じそが大きなプラスになることは確かです。

いかがでしょうか?これだけ「肝機能が回復する条件」との符合を見るわけですから、梅干しが二日酔いに効果的であるということをご理解いただけたのではないしょうか。

いくら口をすっぱくして言い聞かせても奥様の言うことを聞かずに二日酔いになってしまう困ったダンナさんには、ぜひ梅干しでダンナさんの口がすっぱくなるよう仕向けていただきたいと思います。

日本固有の食文化が二日酔いから救ってくれる

梅干しといえば、日本固有の食材であり、日本の食文化の象徴でもあるでしょう。しかしその薬効の高さはもしかしたら市販されているドリンク剤をしのぐものがあるかもしれません。

医学や化学の分野の研究が進み、その技術の一端が二日酔い対策に注がれていることは事実ですが、いにしえの知恵も科学技術の進化に勝るとも劣らないわけですから、昔の人はほんとうにすごかったんですね。

ただ、いくら梅干しが二日酔いに効くからといって、梅干しがあれば二日酔いになっても大丈夫・・・なんていう誤解はダメですよ!

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