C型肝炎の感染経路。血液感染する具体的なシチュエーションとは

A型肝炎にしろB型肝炎にしろ、ウイルス性肝炎である以上、肝炎ウイルスが何らかの経路で感染して起こります。肝炎ウイルスに限定されませんが、この経路のことを「感染経路」と呼びます。

ウイルス性肝炎の中で最も怖いとされることが多いのがC型肝炎です。

怖いならば感染しないように注意したいところですが、そのためには、その感染経路をよく把握しておく必要があります。

今回はC型肝炎ウイルスの感染経路を検証します。

C型肝炎の感染経路を知って感染を予防しよう!

C型肝炎の感染経路はコレコレで、だからコラコラには十分注意しましょうね・・・で完結できるほどC型肝炎ウイルスの感染の予防は簡単ではありません。もちろんほかの肝炎ウイルスもそれは同様のことがいえます。

だからといって、誰もかれもが肝炎ウイルス感染の脅威にさらされるというわけでもないのですが、そのあたりをはっきりさせるためにも、C型肝炎ウイルスの感染経路をいくつかの種類に分けて検証する必要があります。

C型肝炎ウイルスは「血液感染」で感染が起こりますが、その感染経路を大きく分けるなら、

  • 垂直感染(いわゆる母子感染)
  • 水平感染(母子感染以外のあらゆるルートを経た感染)

の2タイプに分けることができます。それぞれを注意深く検証していきましょう。

C型肝炎ウイルスの垂直感染について考える!

垂直感染の「垂直」というのは、母親を上、その真下に赤ちゃんをイメージしたときに垂直方向に感染することでつけられた感染経路の種類の名前です。血液感染であることには変わりありません。


(出典:HBV母児感染と幼児間の水平感染 – 株式会社特殊免疫研究所)

では、どのタイミングで垂直に、つまりは母から子に感染するのかというと、C型肝炎ウイルスはあくまでも血液感染ですからこれは「出産」のタイミングで感染することになります。

厳密にいうと、お母さんの「産道」で感染が起こります。出産の際にお母さんは出血しますが、その血液がC型肝炎ウイルスに感染していたとすると、お母さんの血液を介して赤ちゃんに感染する可能性が高まります。

ここからひとついえることがあります。それは、感染経路が「出産の際の血液」にあるということは、たとえC型肝炎ウイルスに感染している女性が妊娠したとしても、妊娠しただけでは赤ちゃんにC型肝炎ウイルスが感染することはないことを意味するということです。

それはつまり、C型肝炎に感染している女性であっても、ちゃんと対処をすれば無事に元気な(C型肝炎ウイルスに感染していない)赤ちゃんを出産することができる確率が高いことを意味します。

垂直感染(母子感染)によって肝炎ウイルスが感染する症例としては、B型肝炎の母子感染がよく知られます。しかしC型肝炎はB型肝炎ほど感染力が強いウイルスではありません。

ですから、垂直感染によるC型肝炎ウイルスの感染確率は5~10%にとどまり、うち約3割は、3歳までに自然治癒するというデータがあります。ちゃんと対処をすれば、垂直感染はほぼ起こりません。

ですから垂直感染という感染経路によってC型肝炎ウイルスが感染して3歳までに大きな問題となる確率は、1.5~3%に計算上はなります。確率としては高くないかもしれませんね。

しかしC型肝炎ウイルスは、仮に感染が起こってしまったとしたら、将来肝硬変や肝がんを発症する危険度が極めて高い<ことを忘れるわけにはいきません。1.5~3%ならいいか・・・と考えることはできないのです。 そういう意味でも、確率は決して高くありませんが、この機会に垂直感染という感染経路でC型肝炎ウイルスが感染する危険性を再確認していただきたいと思います。

C型肝炎ウイルスの水平感染とは具体的にどんなもの?

C型肝炎ウイルスの水平感染は、母子間で起こる垂直方向の感染ではなく、水平方向の感染が起こるイメージでこのように呼ばれます。どういうことかを解説するために、まずは具体的な水平方向の経路を確認します。

▼C型肝炎の水平感染の要因

注射や透析などの医療行為を通じての感染 注射針―→患者
(主に避妊具なしの)性的接触による感染 異性・パートナー―→本人
注射器使用による覚醒剤 注射針―→覚醒剤使用者
入れ墨やピアスなど カミソリなどの器具―→サービス利用者
血液製剤(かつては輸血も) 血液製剤―→患者
感染者との接触(主に医療従事者) 患者―→医療従事者

「感染源 → 被感染者」の図式が成立する垂直感染(母子感染)以外のすべのC型肝炎ウイルス感染経路が「水平感染」に相当します。

C型肝炎の感染原因別割合円グラフ
(出典:C型肝炎の感染原因/感染経路別割合(1999年4月~2009年)-国立感染症研究所感染症情報センター より)

(主に避妊具なしの)性的接触による感染を除けばいずれもかなり特殊なシチュエーションかな、という印象もあり、性的接触による感染経路も割合的にはそれほど大きくありません。

しかしウイルス性肝炎の中ではC型肝炎の患者数が最も多いのが実際のところです。

ただし、これはかつて輸血や血液製剤といった経路で感染した患者さんがいまだにC型肝炎ウイルスに悩まされている(この状況を「キャリア」と呼びます)ことを意味しています。

ということは、今後C型肝炎ウイルス感染者数は徐々に減少していくと考えられるかもしれませんが、しかし目に見えない「ウイルス」が相手だけに、いついかなるときに感染するかがわかりづらいことは事実です。

それだけに、特に水平感染の心当たりがある、あるいはその危険が考えられるという人は、C型肝炎のウイルス検査を受けるなどの何らかの対処が必要なのかもしれませんね。

C型肝炎ウイルスは大きな脅威!感染経路を把握して感染を予防しよう

感染力自体はそれほど強くないとはいえ、感染してキャリアとなってしまうと、肝硬変、さらには肝がんなど、生命の極めて大きな危険を伴う肝臓病の原因となるのがC型肝炎ウイルスです。

それだけに、C型肝炎ウイルスの感染経路をしっかりと把握することで、感染のリスクを最小限にとどめる、つまりは感染を予防する意識付けが何より重要であるといえるはずです。

そのためにも、ぜひ今回のお話を参考にしていただき、C型肝炎ウイルスの感染をしっかりと予防していただきたいと思います。

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