二日酔いにアラニンが効く!予防+つらい症状を治す効果がある食べ物

お酒を飲む人にしじみが良いという話はよく知られているでしょう。しじみに含まれる「オルニチン」という成分が肝臓の働きを助けて、二日酔いの症状を軽くさせると言われます。

実はそれだけでなく、しじみには「アラニン」という成分も含まれ、これもアルコールの分解を促し二日酔いをを改善してくれます。アラニンとはどんな成分なのか、詳しくみていきましょう。

アラニンはタンパク質を構成する非必須アミノ酸

私たちの体の基礎となるタンパク質は、たった20種類のアミノ酸がいろいろな組み合わせで結合して作られています。アラニンはその20種類のアミノ酸のひとつで、体内で合成することができる「非必須アミノ酸」になります。

特に細胞の中の細胞質という部分に多く存在していて、体内のほとんどのタンパク質にみられるアミノ酸です。アミノ酸の中で一番小さいのは「グリシン」ですが、アラニンはその次に小さなアミノ酸になります。

アラニンは体内で合成できる

アミノ酸には体内で合成できるものとできないものがありますが、アラニンは体内で合成できるアミノ酸です。ピルビン酸とグルタミン酸から合成されます。

詳しく説明すると、ピルビン酸はグルコースを分解する反応経路「解糖系」で作られる物質です。酸素が十分にあれば、ピルビン酸はアセチルCoAとなりクエン酸回路(TCAサイクル)へと入っていきます。その他にも様々な反応経路のカギとなる物質です。

グルタミン酸はタンパク質を構成する非必須アミノ酸のひとつで、アミノ基を持っています。グルタミン酸の持つアミノ基がピルビン酸へと移動すると、アラニンが合成されるのです。

α-アラニンとβ-アラニンがある

アラニンには、α-アラニンとβ-アラニンが存在します。一般的に「アラニン」と言った場合には、「α-アラニン」のことになります。この記事でも、α-アラニンについて説明させていただきます。

α-アラニンとβ-アラニンは、構造が少しだけ違っています(構造異性体)。そしてそれぞれの働きも違います。β-アラニンはタンパク質の構成するアミノ酸ではなく、遊離アミノ酸として存在しています。

β-アラニンは、ビタミンB群のひとつであるパントテン酸の構成成分です。またカルノシンやアンセリンといった、イミダペプチドの成分にもなります。ちなみに、イミダペプチドには疲労回復の効果があるとして期待されています。

β-アラニンは筋肉の持久力を高める効果があるとして、サプリメントにもなっています。運動をされている人は、既にサプリメントで摂っているかもしれません。

ただしこの後に書かれたような二日酔いに対する効果は、α-アラニンだけに期待できる効果です。β-アラニンでは逆効果となってしまうため、気をつけてください。

アルコールと一緒にβ-アラニンを摂ると、アルコールの分解を助けてくれるはずのL-システインやタウリンの働きを邪魔してしまうのです。二日酔い対策としてアラニンを試してみようと思ったときには、必ず「アラニン」「α-アラニン」を使いましょう。

アラニンに期待できる、二日酔い改善&二日酔い予防の効果

お酒を飲むと、肝臓は有害物質のアルコールを分解して無毒化しようと一生懸命に働きます。分解される過程でアルコールはアセトアルデヒドになり、そして酢酸になり、最終的には水と二酸化炭素になって体の外へと排出されます。

二日酔いの原因は、アルコール分解の途中で作られるアセトアルデヒドです。分解がスムーズに進んでくれればアセトアルデヒドが増えてしまったりすることなく、二日酔いを改善したり予防することができるのです。

飲み過ぎると、次第にアルコール分解は滞ってしまう

アルコールが分解されるときには、アルコール脱水素酵素とアセトアルデヒド脱水素酵素という2つの酵素が必要です。そしてさらに「NAD」という補酵素も必要になります。

NADはアルコール分解の仕事をすると「NADH」に変わります。アルコールの量が増えるとたくさんのNADがNADHへと変わっていきます。そして次第に、NADが足りなくなっていってしまうのです。

NADが足りないとアルコールの分解はスムーズに進まなくなってしまいます。分解がスムーズに進まないと、アセトアルデヒドがたくさん残ってきます。そしてアセトアルデヒドの毒性によって、吐き気や頭痛といった二日酔い症状が出てきてしまうのです。

アラニンにはアルコール分解を促す働きがある

ところで、私たちは活動するためのエネルギーをグルコース(ブドウ糖)から作り出しています。運動をするのにも、内臓を働かせるのにも、さらに脳の活動のためにもグルコースが必要です。

もしもグルコースが不足するなどということが起きてしまうと、エネルギー源がなくなり一大事です。そのため私たちの体は、もしも食事からのグルコースが不足した場合には別の仕組みを使ってグルコースを作れるようになっています。

この別の仕組みが「糖新生」です。アラニンは糖新生によってグルコースを作り出すことのできるアミノ酸になります。

そしてグルコースを作りだす際に、NADHをNADに変えていきます。先ほどの繰り返しになりますが、NADはアルコール分解のために必要な補酵素です。アルコール分解が滞る理由のひとつがNAD不足だったのです。

アラニンは、そんなNAD不足状態を解消してくれます。NADを増やすことで、再びアルコール分解がスムーズに進むように促してくれるのです。

二日酔い対策には、アラニンだけでなくグルタミンもいい

二日酔いの対策には、アラニンだけでなくグルタミンも期待ができます。グルタミンにも、アルコールの分解を促す働きがあることがわかってきているのです。

グルタミンとは、アラニンと同じタンパク質を構成する非必須アミノ酸のひとつになります。

グルタミンについては、「グルタミンの効果で二日酔い解消!多く含まれる食べ物を生で食べよう」の記事で詳しく書かれています。

アラニンとグルタミンの働きについては、ラットの実験により確認されました。ラットにお酒を飲ませ、アラニンやグルタミンの入った餌を与えるといった実験をしたところ、二日酔いのような状態から回復するのが早かったのです。

他にもいろいろな実験が行われ、肝機能を改善したり肝障害からの改善にも効果が期待されています。脂肪肝や肝硬変などに対しても、良い効果があるかもしれません。

ただしこれらの効果について、現在のところはまだ、ヒトにも確実に効果があると言えるまでの結果は出ていません。今後の研究に期待されます。

アラニンは長時間の運動、美肌にも効果がある

アラニンに期待できる効果は他にもあります。長時間の運動をする場合にもその運動をサポートしてくれて、長い時間運動を続けることを可能にしてくれるのです。

運動をするときのエネルギーは、グルコースを分解して作ります。運動を長い時間続けていると、次第に食事からのグルコースが足りなくなってきてしまいます。そうしたときに今度は、アラニンからグルコースを作り出すことができるのです。

そのため、アラニンを摂取しておくと運動でたくさんのグルコースが必要になったときにもエネルギー不足の心配がありません。長い時間運動をしてもエネルギーが確保でき、運動を持続していくことができると期待されるのです。

他にも、アラニンはお肌にもよいとされます。アラニンは天然保湿成分として肌の角質に存在し、水分を保ち潤いを守ってくれています。化粧品にも配合されている成分になります。

わずかに甘味があるため食品添加物として利用されることもあります。またリアクション・フレーバーと言われる香りを作るもととして、加工食品などにも利用されています。

アラニンは、私たちの身近なところでいろいろと使われているのです。医薬品の成分として、輸液などに配合されていることもあります。

アラニンを効率よく摂取するには?含有量が多い食べ物

二日酔いの対策としてアラニンを摂取するときには、必ずα-アラニンを摂取するようにしましょう。

アラニンは次のような食品に多く含まれています。

  • しじみ
  • アサリ
  • 海苔
  • カニ
  • 高野豆腐 など

しじみはオルニチンをたくさん含んでいて、二日酔いに良いと昔から言われています。オルニチンにはアンモニアを解毒し、肝臓の機能を助ける働きがあります。

そして実は、しじみが二日酔いに良い理由はそれだけでなくアラニンにもあったのです。さらにグルタミンやメチオニンなども含まれていて、これらも肝臓の機能を助けてくれます。メチオニンは必須アミノ酸です。

このようにしじみには、肝臓によい成分がたくさん含まれています。それらの相乗効果によって、二日酔い症状に効いていたのです。

「二日酔いにしじみ汁」は昔の人の知恵とも言えるでしょう。

アラニンはサプリメントでも摂ることができます。その際には、必ず使用方法を守るようにしてください。

なお糖尿病の人は副作用が出てしまう可能性もあるため、サプリメントの摂取は控えたほうがよいでしょう。

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