スルフォラファンの効果で肝機能を改善!悪酔い対策にも

最近はスーパーなどで見かけることも多くなったブロッコリースプラウトを食べたことはありますか。これには「スルフォラファン」という成分が含まれていて、とても栄養価の高い野菜だと言われます。

スルフォラファンにはいろいろな効果が期待されています。肝臓に対しても、肝臓の機能を高めたり悪酔いを予防するような効果があるのではないかと考えられているのです。

スルフォラファンがどのような成分なのか、詳しく見ていきましょう。

スルフォラファンはフィトケミカルの一種

ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、大根などはアブラナ科に属する野菜です。これらの野菜に特有のにおいやピリッとした辛味の元となる成分が、食事によって体内に取り込まれて変化したものが「スルフォラファン」になります。

スルフォラファンはフィトケミカルの一種です。フィトケミカルとは植物が自分自身を守るために作りだした天然の化学物質で、最近は第七の栄養素として注目されています。ポリフェノールなどもフィトケミカルの一種になります。

スルフォラファンは、食品中では前駆体の「スルフォラファングルコシノレート」として存在しています。これが同じく食品に含まれる「ミロシナーゼ」という酵素に出会って反応すると、スルフォラファンへと変化します。

切ったりよく噛んだりすることで細胞が壊れると、その中に存在していた前駆体のスルフォラファングルコシノレートと酵素のミロシナーゼが出会い、そしてスルフォラファンになるのです。

スルフォラファンには解毒作用や抗酸化作用がある

スルフォラファンは、私たちの体を守っている酵素の生成を促してその働きを活性化する作用があると考えられます。酵素が活性化されることで、スルフォラファンは抗酸化作用や解毒作用を持ちます。

私たちの体には元々、過剰な活性酸素を除去するための抗酸化酵素が存在します。しかしストレスなどによりその酵素の働きが悪くなったり活性酸素が増えてしまうと、活性酸素を除去しきれずにがんや生活習慣病を引き起こしてしまいます。

スルフォラファンには抗酸化酵素を活性化させる働きがあります。それによって強い抗酸化作用を持ち、活性酸素を除去してダメージをから体を守ってくれます。

また体には、有害物質を解毒して無毒化するための解毒酵素も備わっています。有害物質の解毒は肝臓の役割のひとつなのですが、スルフォラファンが解毒酵素を活性化することで肝臓の解毒作用を高めることができます。

有害物質はDNAを傷つけて発がんのリスクも高めてしまいます。スルフォラファンは有害物質を解毒することで、がんを予防する効果も期待できます。

肝臓にもメタボにも!スルフォラファンの効果

スルフォラファンには抗酸化作用や解毒作用があり、それによって様々な効果が期待されています。肝臓に対してだけでなく、それ以外に全身にもいろいろな良い影響が考えられるのです。

スルフォラファンに期待できる効果について詳しくみていきましょう。

ただしこれらの効果については、現在のところまだ動物の実験で確認されただけというものも多くなります。

スルフォラファンにいろいろな働きのあることがわかってきたのは、1990年代ころからです。現在いろいろと研究が進められているところで、今後はもっとはっきりとしたことがわかってくるでしょう。

解毒作用

スルフォラファンは解毒酵素の働きを活性化することで肝臓の解毒作用を助け、肝臓の機能を高めると期待ができます。

ラットでの実験で、スルフォラファンを摂取していると肝臓がダメージを受けにくいことがわかりました。スルフォラファンが肝臓の解毒作用を助けることで、肝臓の機能が低下してしまうのを抑えたと考えられます。

またヒトでの実験の結果でも、スルフォラファンが肝機能の改善に効果があると期待できるものでした。

まだはっきり効果があるとまでは言い切れないのですが、スルフォラファンには肝臓の機能を高める効果があると期待ができるでしょう。

さらに体内に入った有害物質はやがて発がん物質となってDNAを傷つけ、がん発症のリスクとなってしまいます。有害物質の解毒作用が活性化することで、発がんリスクも抑えられると考えられます。

抗酸化作用

活性酸素は細菌やウイルスと闘って体を守る働きがある反面、過剰になってしまうと生活習慣病や老化の原因になってしまいます。がんを引き起こす原因にもなりますし、シミやソバカスも増やしてしまいます。

さらに活性酸素は肝細胞にダメージを与えて炎症を起こし、肝臓の機能を低下させていってしまいます。

スルフォラファンは体内の抗酸化酵素の働きを活性化することで、活性酸素を除去します。そして酸化ストレスを抑え、肝臓へのダメージを抑えてくれます。実際にスルフォラファンを継続して摂取することで、肝機能が改善されたことが確認されています。

そしてスルフォラファンは糖尿病の人に対しても良い効果が期待されています。高血糖の状態が続いていると血管はダメージを受けて合併症を引き起こしてしまうのですが、これにも活性酸素が関係しているのです。

スルフォラファンを摂取することで活性酸素が除去されると、ダメージを受けた血管は修復されて合併症を予防できる可能性があります。今後、もっと詳しいことがわかってくるでしょう。

悪酔いの軽減

お酒を飲むと、アルコールは有害物質と見なされて肝臓で解毒されていきます。その解毒の途中でアルコールが分解されてできるのがアセトアルデヒドで、これが悪酔いの原因です。

スルフォラファンは、アセトアルデヒドを分解するために必要な酵素「アルデヒド脱水素酵素(ALDH)」の活性を高めてくれます。実際にマウスでの実験で、アセトアルデヒドの分解が速くなったことがわかりました。

アセトアルデヒドが分解されてしまえば、悪酔いはしないですみます。スルフォラファンには悪酔いを軽減、予防するような効果が期待できるのです。

ピロリ菌の除菌

スルフォラファンの効果は、肝臓以外でもいろいろと確認できています。

スルフォラファンには、胃炎を引き起こしたり胃がんの原因となるピロリ菌を除菌する効果も期待されます。実際に人での実験で、ピロリ菌が減るという結果が出ました。

花粉症の症状を抑える

動物での実験で、ブロッコリースプラウトのエキスを摂取するとスギ花粉症によるいろいろな症状が抑えられることがわかりました。

ヒトでの研究はまだですが、スルフォラファンによって花粉症の症状が抑えられると期待ができます。

肥満予防

マウスでの実験で、ブロッコリースプラウトのエキスを摂取すると脂肪の多い食事をしても体重や体脂肪量の増加が抑えられることがわかりました。さらに脂肪肝も抑えられ、血糖値の異常も防げました。

脂肪の摂り過ぎによる肥満やメタボリックシンドロームは、近年、大きな問題になってきています。スルフォラファンに肥満やメタボを予防する効果があることがわかれば、うれしいニュースでしょう。

スルフォラファンを効果的に摂るにはブロッコリースーパースプラウト

スルフォラファンはアブラナ科の野菜に含まれている成分です。その中でも特にブロッコリーに多く含まれます。

ただ気をつけたいのは、スルフォラファンの含有量は品種や成長段階によって全然違ってくるということです。スーパーに同じように並んでいるブロッコリーでも、品種によってその含有量は違います。

さらにブロッコリーの成長段階によってもスルフォラファンの量は違い、ブロッコリーの新芽のブロッコリースプラウトには成熟したブロッコリーの7倍ものスルフォラファンが含まれています(発芽して1週間くらいのもの)。

そしてスルフォラファンの含有量が一番多いのは、発芽3日目の「ブロッコリースーパースプラウト」です。発芽3日目のスプラウトには、成熟したブロコリーの20倍以上ものスルフォラファンが含まれているのです。

せっかく買うのなら、スルフォラファンの含有量の違いも知っておきたいですね。またスルフォラファンを効果的に摂取するためにも、次のようなポイントについても気にしてみてください。

できれば生で食べるとよい

先ほども言いましたが、スルフォラファンは食品中ではその前駆体の形で存在しています。切断されたりよく噛まれたりして細胞が壊れると、同じように食品中に存在していた酵素と出会い、スルフォラファンに変わります。

スルフォラファンは熱に強いのですが、実は酵素は熱に弱くなります。加熱してしまうと酵素がその力を失い、細胞が壊れても前駆体はスルフォラファンに変化することができなくなります。

そのためブロッコリースプラウトは火を通さず、できれば生で食べるほうがお勧めです。

ただし腸内細菌の持つ酵素の働きによっても、前駆体はスルフォラファンに変化できることがわかっています。火を通したらスルフォラファンの効果が全くなるなると言うわけではありません。

料理のバリエーションを増やすためにも、たまには加熱してもよいでしょう。スルフォラファンは水溶性のため、茹でた場合にはそのスープごと飲むようにしてください。

(ピロリ菌対策としてブロッコリースプラウトを食べるときには、生で食べた方が効果が出やすくなります。)

よく噛んで食べる

スルフォラファンの前駆体と酵素が出会ってスルフォラファンへ変化するためには、細胞がしっかり壊れることが大切です。そのためよく噛んで、細胞をしっかり壊すようにしましょう。

ジュースやスムージーを作って細胞を壊すこともお勧めですが、その場合には作ったらすぐに飲むようにしましょう。スルフォラファンは揮発性のため、時間が経ってしまうと効果が弱くなってしまいます。

食べる頻度は3日に1度で大丈夫

スルフォラファンの作用は約3日間も続きます。そのため毎日摂らなくても、3日に1度摂るようにすれば大丈夫です。

スルフォラファンと同じように抗酸化作用の高い成分には、ビタミンCなどがあります。ビタミンCは摂取後にその効果がどんどん落ちていってしまうため、毎日きちんと摂ることが大切だと言われます。

ビタミンCの場合には、ビタミンC自体が直接働いて自分が酸化されることで抗酸化作用を発揮します。そのため時間が経つと抗酸化作用がどんどん落ちていってしまうのです。

それに対してスルフォラファンの場合には、酵素の働きを活性化させることで間接的に抗酸化作用を発揮します。そのため効果が長く続くようになるのです。

ブロッコリースーパースプラウトは身近なスーパーフードとも言われます。スーパーフードとは、一般的な食品よりも栄養分を豊富に含んでいる食品を言います。他にはチアシードやアサイーなどがあります。

スーパーなどでも買える野菜ですから、一度試してみても良いかもしれません。スルフォラファンの効果については、今後の研究によってさらに詳しいことがわかってくるでしょう。

通常の食品からの摂取であれば、安全性は特に問題ないと思われます。サプリメントから摂取する場合には、品質に注意し使い方も守るようにしてください。

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