尿が泡立つ病気とは。肝臓トラブルのサインかもしれない尿の特徴

尿は腎臓との関係が密接です。尿に異常がみられるときは腎臓に異常がある、そのイメージは正しく、その可能性はおおいに高いと言えます。

しかし尿は腎臓の健康状態を反映するだけにとどまりません。肝臓の健康状態も反映します。

尿が泡立つときは糖尿病の疑いがあるといわれますが、実は肝臓も何らかの問題が起こっているのかもしれません。

尿を「要らない排泄物」と考えるのではなく、重要な肝臓からのサインであると考えましょう。

しばらくしても消えない泡に注意!

筆者は男なので、男性の(というか筆者自身の)場合しかわからないのですが、おしっこをすると便器の中で尿が泡立つこと、確かにありますよね。

というか、泡立たないことがないくらい、「泡立ち率」は高い気がします。

冒頭でも触れた通り、「尿が泡立つ人は糖尿かもしれない!」などといわれることは確かにあります。

ただ、よーく考えてみると、おしっこがダイレクトで便器内の水たまり(?)に着水すれば、そりゃぁ泡立つに決まっていますよね。

おしっこではなく、たとえば便器の水の中に水鉄砲を撃ち込んだとしても、多少の泡立ちは起こるはずです。尿ともなると、水よりもいろいろな物質が含まれていますから、多少粘性も高いでしょう。比重も大きいかもしれません。

とすると、水と尿の間で生じる衝撃は、水どうしによる衝撃よりも大きくなる可能性は極めて高く、そうなれば気泡(要は泡)が生まれる可能性も高まるのは、ある意味当然であると考えられます。

それならば、おしっこをして尿が泡立つこと自体には、実はそれほど大きな問題がないのではないか・・・の仮説は、現段階では憶測の域を出ないものの、十分成り立つのではないかという気は確かにします。

実際尿には「ウロビリノーゲン」と呼ばれる物質が含まれており、これが尿に粘性を持たせています。この物質は健常者の正常な尿であっても一定量含まれます。粘性と比重が大きい液体が着水すれば、泡立つのは当然です。

ですから、結論からいえば、おしっこをして泡立つこと自体はそこまで大きな問題にはならないということになります。あーよかった・・・と、筆者も少し安心しました。

ただ、より大きな問題となるのは、排尿直後の泡ではなく、排尿してしばらく時間が経過してもなお、泡が消えないケースです。これは、尿中のたんぱく質の量と関係しているからです。

要するに、たんぱく質の量が不当に多い尿が排出されるとすると、排尿後しばらく時間が経過しても泡が消えない可能性は十分考えられるのです。そしてその原因は、糖尿だけでなく「肝臓」にあるかもしれません。

ですから、尿の状態で何か不安を感じたら、尿検査や肝機能の血液検査を受けてみるとよいかもしれませんね。糖尿に関しては、自分で実施できる検査キットも流通していますので、市販品も有効ですよ。

ただ、尿の勢いは年齢や背の高さなどによっても異なりますし、健康状態によっても異なります。そして立ってするか座ってするかによっても異なります。ですから尿の泡だけでなく、やっぱり検査が有効ですね。

尿の泡は尿中たんぱく質量の増量が原因。考えられる肝臓の病気

尿の泡は、糖尿病との関連が密接な「尿糖」による影響の可能性が高いです。また、尿中のたんぱく質量が増加すると、尿に泡が生じる可能性が高まります。この場合、腎臓の機能が低下している可能性が高いです。

しかし肝臓の問題とも無関係ではありません。

胆石症によるたんぱく尿の可能性

実は、尿中のたんぱく質(これを「尿たんぱく」と呼びます)が増加した尿(これを「たんぱく尿」と呼びます)は、胆石症との関係が密接です。

胆石症自体も重大な肝機能障害のひとつに数えられますが、胆石症が起こるその原因が、肝機能低下にある可能性は極めて高いです。胆石は、コレステロール代謝がうまくいかないことで起こりやすいです。

コレステロール代謝は肝臓で行われますので、コレステロール代謝不良は肝機能低下の典型的症状なのです。それが胆石症にリンクしてきます。そして胆石症が尿たんぱくを増加させ、たんぱく尿をもたらします。

たんぱく尿は、排尿後しばらくは泡が消えづらい・・・という流れです。胆石以外にも、胆石と似たメカニズムでできる尿路結石でもたんぱく尿がみられることが多いですね。尿路結石は肝機能障害とはいえませんが。

まあお腹の中に石ができるような異常事態ですから、尿中にたんぱくが放出されるようなこともそれは起こるんじゃないかな、とも思えてしまいますよねぇ・・・

肝炎によるたんぱく尿の可能性

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるくらい自覚症状には乏しいです。しかし痛いとかかゆいとか熱が出たとか、そういった自覚だけが自覚症状ではありません。「尿の泡」も自覚症状となりえます。

胆石症の場合は、まったくの無症状という可能性がないわけではありませんが、しかしたいていは何らかの症状があると考えられます。しかし初期の肝炎ともなると、ほんとうに無症状のことも多いです。

肝炎とはいっても、B型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎や、アルコールによる肝炎、薬物性肝炎など、種類は豊富です。

いずれの肝炎でも、たんぱく尿による尿の泡がみられることが多いですから、特に自覚症状がないのに尿が泡立っていると感じたら、肝炎の可能性も多少は疑ってみるべきでしょう。

また、肝炎が悪化すれば肝硬変へとステージ進行しますので、肝硬変でもたんぱく尿による尿の泡がみられる可能性は高いでしょう。

場合によっては「水で流しても泡が流れない」というとてつもなくしぶとい泡をつくるたんぱく尿もあるそうです。

経験がないのでイメージすら難しいですが、尿たんぱくはそれくらい高い粘性を尿に持たせるんですね。

腎臓や糖尿だけではない!尿の泡は肝臓トラブルのサインかも

今回は尿の泡が消えないという、少々不吉な事例について考えてみました。尿である以上、真っ先に腎臓の問題を疑ってかかるべきではあるでしょう。次いで、糖尿病の可能性も十分考えられます。

どちらも自覚症状に乏しいですが、もうひとつ忘れてはいけないのが、肝臓の問題が尿に泡をもたらしている可能性です。とはいえ、食べた直後や運動直後、発熱中・発熱後にはたんぱく尿が排出されやすいです。

ですから尿の泡だけからすべてを正しく判断できるものではないということは、あらかじめ認識しておく必要があるでしょう。とはいえ、警戒するためのサインとしては、尿の泡も有効です。

毎日尿の泡とにらめっこをするのもなんとなく気がめいりそうなので、たまに尿の泡の様子を観察する・・・という程度でも、肝臓その他のトラブルに気を配る意味ではまずまず重要といえるでしょう。

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