飲んだ次の日だるい…飲酒翌日のだるさの原因と解消法

お酒を飲んだ次の日にだるいと感じるのはよくあることです。特に二日酔いの症状の典型ですから、飲んだ次の日にだるいと感じること自体、肝臓が疲弊していればそれほど珍しい感覚とはいえませんよね。

ただし「だるい」という感覚は、二日酔いのだるさとはまた別の感覚としてとらえられることもあります。肉体的なだるさだけでなく精神的な気だるい感じに悩む人も多いです。

二日酔いでおこるだるさ、そして二日酔いでもないのにお酒を飲んだ次の日だるい理由も解説します。

お酒を飲んだ次の日だるいのは、「二日酔い」か「うつ病」かも

二日酔いになると、だるいのはもちろんですが、だるいを通り越してつらい、苦しい、やる気がしない、寝ていたい・・・などなど、ネガティヴな感覚にとらわれますよね?その原因はいろいろ考えられます。

飲んだ次の日だるい、つらい、苦しい・・・などの不快感の原因を細かく分析すれば見解は非常に多様ですが、大きく分ければ「2つ」の側面からアプローチすることができます。

飲んだ次の日のだるい感じはまさに「二日酔い」が原因!

明確なメカニズムまでははっきりしませんが、厚生労働省によれば、「飲んだ次の日だるい原因」と思われるいくつかの要因がピックアップされていました。

飲んだ次の日だるい原因の候補(一部抜粋)
  • 脱水や低血糖
  • 睡眠や生体リズムに狂いが生じる
  • 胃腸障害
  • 炎症反応
  • アセトアルデヒドによる弊害

(参考:二日酔いのメカニズム-e-ヘルスネット(厚生労働省)より)

「だるい」という感覚は少々抽象的で、その人によって若干感じ方が異なることもあるかもしれませんが、いずれにしても上記の要因が強い不快感の原因になっている可能性が極めて高いです。

脱水はのどの渇きや頭痛、吐き気などの原因になります。そして低血糖はふらつき、動作緩慢など、いわゆる「だるい」という感覚の直接的な原因になる症状があらわれることが多いです。

胃腸障害や炎症も「痛み」をはじめとする不快感の原因になることはもちろんですが、飲んだ次の日にだるい感覚に襲われる最大の要因は、「アセトアルデヒドの蓄積」にあります。

肝臓はいろいろな機能を果たす重要な臓器ですが、貯蔵(蓄積)もそのひとつです。アセトアルデヒドのような有害物質も肝臓に貯蔵され、順を追って無毒化され、事なきを得ます。これを「解毒(げどく)」と呼びます。

アセトアルデヒドは、お酒のアルコールを肝臓で代謝する際に生成される物質で、人体にとって害ある物質です。こんなものが血中に入って全身をめぐってしまっては、ロクなことがありません。

そういう厄介な物質も無毒化してくれるのが肝臓なのです。しかし肝臓はなんでもかんでも無尽蔵に蓄えられるわけではありません。アセトアルデヒドも、その人の肝臓に見合った量しか蓄えることができません。

お酒を飲めば遅かれ早かれ生成される有害なアセトアルデヒドが肝臓に入りきらなくなったらどうなるか・・・あふれた分は結局血管に入り込んで、全身をめぐってしまうことになります。

肝臓からあふれでたアセトアルデヒドは、血中に入り込んで全身に運ばれます。当然その一部は脳に運ばれることになります。これが大脳を麻痺(まひ)させることで、ふらつきやだるい感じを招くのです。

これが現段階でわかっている「二日酔いによるだるさの原因」です。ただし、「飲んだ次の日のだるい感じ」の原因すべてが二日酔いにあるわけではありません。

アセトアルデヒドがどうとか脱水・低血糖がどうとか、そういった表面的な部分だけでは説明できない深い事情が隠されていることもあります。

お酒を飲んだ次の日に「うつ」を発症!?だるさは「うつ」が原因かも

有害物質のアセトアルデヒドが大脳麻痺を引き起こしたり、脱水・低血糖などによって起こる不調が不快を招いたりという事情であれば、厳密にでなくてもなんとなく飲んだ次の日だるいことにも納得がいきますよね?

一旦納得がいってしまうと、逆にそれ「以外の理由」の理解が難しく感じられてしまうこともあるでしょう。それならばむしろ考え方の方向を大転換させてしまうほうがいいかもしれません。

ここまではどちらかといえば身体的な原因の検証でしたが、ここからは精神的な部分に探りを入れます。飲んだ次の日だるい原因のひとつと考えられるのが、「うつ」などの精神的な要因です。

うつというのは、明確な定義を与えられた精神神経障害ですが、極端に気分がふさぎ込んで落ち込む、無性に不安をあおられるなど、うつの診断を受けていない人がうつ病と同様の症状に見舞われることもあります。

実は、飲酒の翌日にはとかくうつ状態を招きやすいことが、医学的な根拠の元に証明されているのです。その人がうつ病かどうかはともかく、飲酒を伴ううつ状態に陥る危険性は誰にでもあります。

アルコールは、アセトアルデヒドをはじめとするさまざまな有害物質の原材料となります。そのため肝臓は、人体を健全に保つために一生懸命アルコールを代謝しようとします。

そのとき、アルコールを代謝するために大量の栄養素や体内物質が消費されます。それだけそういった物質が必要になるということです。このとき特に必要になるのが、カリウムとホルモン物質セロトニンです。

厳密には、アルコール代謝の際にはマグネシウムが必要になるのですが、マグネシウムが足りなくなると、カリウムが尿と一緒に出てしまう特徴があります。お酒には利尿作用もあるので大量のカリウムを喪失します。

カリウムは脳内で神経伝達をスムーズに行う役割も果たしますが、カリウム不足によってそれがうまくいかなくなり、これが「うつ」や「だるさ」の原因になると考えられています。

セロトニンについても同様で、セロトニン分泌量が減少すると、気分的に落ち着かなくなったり落ち込んだり考えがまとまらなくなったりといった一種の「うつ」状態が招きます。

セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれるホルモン物質で、セロトニンが正常に分泌してれば、精神的にも非常に落ち着き、快活な気持ちで生活を送ることができるとされます。

実際カリウム量やセロトニン分泌量が、うつの診断基準に加わることもあります。アルコールの影響であれば一過性のものなので、それでうつ病が決定するわけではありません。

しかしお酒を飲んだ次の日に「うつ病的な症状」を招くのも不思議ではありません。不思議どころか、このメカニズムがはっきりすればむしろ自然なことでもありますよね。

カリウム不足はカリウムを豊富に含む食材をしっかり食べること、セロトニン不足は日光を浴びることなど対処方法がないわけではありませんが、お酒による問題を解消するためには、お酒を飲みすぎないことが大切です。

肝臓をいたわることが「飲んだ次の日だるい」の問題を解消する

お酒を飲んだ次の日だるいと感じるメカニズムは異なりますが、結局のところ「肝臓がアルコールを代謝する負担」がだるさをはじめとする不快感の原因となっていることはおわかりいただけたかと思います。

つまり、「飲んだ次の日だるい」という、お酒を飲む人にとって宿命的な問題を解決するためには、お酒による肝臓への負担をできるだけ小さくすることが重要であると結論づけられることになります。

お酒による問題を起こさないためにはお酒を遠ざければいい・・・いわれてみればそのとおりなのですが、お酒が好きな人間からするとなんとも煮え切らない話になってしまいますよね。

肝臓の労わり方については、次の関連記事を是非ご覧ください。
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