自分で改善!脂肪肝の治し方。診断されたらすべき行動の流れ
重大な肝疾患は多く、肝硬変や肝臓がんといった深刻な肝機能障害があらわれる肝臓病がまさにこれにあたります。
しかし、見かけ上はそこまで深刻な障害とはいえない「重大な肝疾患」もあります。たとえば脂肪肝はALT(GPT)やAST(GOT)など、基本的な肝機能の数値の上昇を示す、いわゆる「肝機能低下」の状況です。
しかしこの中には「NASH(ナッシュ)」と呼ばれる深刻な肝臓病も含まれるのです!
肝機能の低下、脂肪肝だと診断を受けたときの改善方法、治し方を考えましょう。
脂肪肝と診断されたら?NASHを判定する精密検査を受けて
NASHは、非アルコール性脂肪肝炎と呼ばれる重大な肝臓病です。簡易な血液検査などからは、一般的な「肝炎」もしくは「脂肪肝」と大差ない場合が多く、しかも自覚症状に乏しいのがNASHの特徴です。
そのため肝生検(内視鏡などで肝臓組織を採取して顕微鏡で検証する臨床検査)や画像検査、特殊器具を用いたNASHの検査を実施することで、「まさか自分が!」と思う人がNASHであると認定されることさえあります。
NASHは将来肝硬変や肝臓がんなどの重大な肝臓病に発展する可能性が大きい肝臓病なので、脂肪肝の人はできれば上記のような精密な検査を受けていただきたいのですが、実際のところ、脂肪肝の人の大半が精密検査など受けません。
それでも将来重大な肝臓病へと移行する人はごく一部であり、脂肪肝が改善されればそのリスクは大きく低下します。それであれば、自力でNASHを改善することも十分可能なのではないか、の考え方もゼロではないでしょう。
NASHは脂肪肝を発端とする肝臓病ですから、脂肪肝を改善してNASHを改善するという考え方もアリでしょう。それならばということで、ここではあえて「自力でNASHを改善するための治し方」をピックアップします。
ただし、どこかのタイミングで精密な検査を受けることをおすすめするという前提でのお話になります。このことだけはちゃんと確認して、次に進んでいただきたいと思います。
NASHを改善することは可能?自力によるNASHの治し方
NASHはとても怖い肝臓病ですから、病院での治療を前提としていただきたいところではあります。
医療機関で行われるNASH治療についてはこちらのページにまとめてありますので、ぜひご参考いただきたいと思います。
いくら自分でNASHを改善するとはいっても、治療の方向としては、病院で行う手法から大きな逸脱をみるわけではありません。異なる点でいえば、病院の投薬治療に対し、自力では投薬治療を行わないという点が挙げられます。
とはいえ、病院でのNASH治療に関しても、投薬治療と投薬を行われない治療とが並行して導入されることが多いですし、検査結果次第では投薬治療がまったく導入されないNASHもあります。
では、投薬を行わないNASHの治療はどういった手法で行われるのかというと、NASHが脂肪肝に端を発する肝臓病であることを考えればおわかりでしょう。そう、食事療法と運動療法の2本柱が軸になりますよね。
その意味では、サプリメントを利用して肝機能改善を当面の目標にしながら徐々にNASHを改善していこうという考え方が、自力によるNASHの治し方の1つであるとも考えられます。
ただしサプリメントによる肝機能改善の手法は、サプリメント自体が肝臓にとって大きな負担になってしまう危険性もありますので、どんなサプリメントがご自身の症状に合っているか、主治医と相談する必要があります。
逆にいえば、そこまでするならはじめから病院でNASHの治療を行うという考え方のほうが、難しいNASHの治し方としては無難な気も正直します。
上記を踏まえ、それでも自力でと考えるなら、それもアリとは思いますが。
なお、サプリメントについてはいわゆる「ドリンク剤」も含まれます。ドリンク剤の中には、肝機能改善の効果があるものもありますが、ドリンク剤全般に言えることは、肝臓への負担のリスクが高いことです。
ドリンクク剤のデメリットに関してもよく考えつつドリンク剤などのサプリメント・サプリ飲料を導入していただきたいと思います。ということで、ここからは食事療法と運動療法についてお話を進めます。
食事療法によってNASHを改善する方法
食事療法にしても運動療法にしても、ベースとなるのは脂肪肝をどう解消するかという部分です。
そのためあまり専門的な治し方ではなく、基本に忠実な改善方法を食生活や運動習慣に反映させていくことが大切です。
食事療法で最も重要なことは、肝臓への負担を最小限にとどめることができる食事を心がけることです。肝臓に負担をかけないためには、特定の栄養素ばかりを摂取しすぎないことが大切です。
特に、脂肪肝にとって天敵となるのが、糖質(炭水化物や甘いもの)と脂質です。この両者の摂取を控え、低カロリー食を心がけることで、脂肪肝は徐々に改善されていくことが想定されます。
もちろん短期間ではなく、長期的継続的な目標を掲げて実行します。そのプロセスで肝機能改善の効果があるかどうかが重要なポイントになります。その確認のため、食事療法スタートから一定期間経過後、血液検査を受けましょう。
食事だけではなかなか難しいところがありますので、運動療法も同時に取り入れて、効率的な改善を目指します。
運動療法によってNASHを改善する方法
こちらも特に「NASHを改善するための運動!」と考えるのではなく、脂肪肝を徐々に改善していこうという目標のために運動をしましょう、という考え方に基づきます。体育会系の厳しい訓練ではありません。
すでにご存じかと思いますが、脂肪肝改善のための運動療法として有効なのが、有酸素運動です。有酸素運動により、トリグリセライド(中性脂肪)減少、高コレステロール血症緩和の効果が期待されます。
これにより、肝臓に蓄積した脂肪が徐々に減っていく、あるいは脂肪が蓄積しづらい環境が整っていきます。有酸素運動には、たとえば
- ウォーキング
- ジョギング、軽いランニング
- 水泳、水中歩行
- 軽いサイクリング
といった方法があります。はぁはぁ息を切らして汗だくになって行う運動というよりは、ちょっとしたハイキングのような「楽しさ」とともに実施できるのが有酸素運動の運動レベルです。
ほんの少しでも楽しさを感じることができれば、ストレスの解消効果もあります。ストレス解消もまた、肝機能改善の遠回りの効果ではありますので、ぜひ実行していただきたいと思います。
上記の有酸素運動に先立って、軽いストレッチなどを準備運動に加えればベストですね。
なお、無酸素運動(筋トレや短距離ダッシュ)も、エネルギー消費(脂肪の燃焼)には効果的です。ただし、過剰な無酸素運動は過多な乳酸を産生させる原因となり、肝臓へのさらなる負担となるおそれもあります。
ですからNASH(あるいは脂肪肝)の改善方法として運動療法を導入するのであれば、有酸素運動をベースに、無酸素運動はあまり力を入れすぎないよう注意しましょう。
有酸素運動にくらべれば無酸素運動のほうがずっと達成感があるのでついついオーバーワークになってしまいがちです。気持ちはよくわかりますが、オーバーワークには少し注意してみてくださいね。
自力によるNASHの治し方を試してみたら必ず医療機関で検査を
今回は、おすすめしない方法というわけではありませんが、危険な肝臓病であるNASHの治療法という意味でベストではありません。やはり医療機関で治療していただくことがNASHの治療法として最も推奨されます。
ただ、心疾患とか脳血管疾患などとちがってある程度時間的猶予がありますし、たとえNASHが改善されたとしても、先々まで実行していただきたい予防方法にもそっくり重なる治療方法なので、あえてご紹介しました。
要は、どのタイミングでもかまわないので、NASHの診断はもちろん、脂肪肝の診断を受けた人は医療機関で一度精密な検査を受けることが推奨される、ということだけは心にとどめていただきたいのです。
なお、今回の治療方法はNASHに限らず
- 非アルコール性脂肪性肝疾患・NAFLD(ナッフルディー)
- 単純性脂肪肝・NAFL(ナッフル)
にも共通する治療方法および予防方法でもあります。つまり、NASHの診断がなくても、脂肪肝の診断が下った時点ですぐにでも実行していただきたい脂肪肝の改善方法およびNASHの予防方法であると理解してください。
慣れないうちはなかなかたいへんなことも多いと思いますが、慣れれば意外とスムーズに進められるという意見も多く聞かれますので、まずは実行してみていただきたいと思います!