非アルコール性脂肪肝NAFLとは?お酒を飲まないのに脂肪肝になる

脂肪肝には過剰な飲酒が原因になるアルコール性脂肪肝と、過剰な飲酒歴のない非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)とがあります。

そしてNAFLDの一部は肝硬変や肝がんなどに進行してしまうこともある非アルコール性脂肪肝炎(NASH)ですが、多くは非アルコール性脂肪肝(NAFL)になります。

NAFLがどのような病気なのか、詳しく説明をしていきましょう。

非アルコール性脂肪肝(NAFL)とは

まず「脂肪肝」とは、肝臓に中性脂肪が普通以上に溜まってしまった状態です。肝細胞の30%以上に中性脂肪が蓄積すると「脂肪肝」とされます。

脂肪肝はその原因から2つに分けることができます。

  • 原因に過剰な飲酒歴がある「アルコール性脂肪肝」
  • 原因に飲酒は関係ない「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLDナッフルディー)」

▼NAFLDについて、詳しくはこちらの記事で解説しています。
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)ってどんな病気?

さらに、この非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)もまた2つに分類できます。

  • 非アルコール性脂肪肝(NAFLナッフル)
  • 非アルコール性脂肪肝炎(NASHナッシュ)

脂肪肝の分類図

NAFLDのうちの10~20%ほどがNASHになります。NASHは肝硬変や肝がんへと進行してしまうこともあり、注意が必要です。

ただNAFLDの多くはNAFLで、これは肝硬変や肝がんなどの心配はありません。「単純性脂肪肝」と呼ばれることもあります。

つまりNAFLとはその原因に過剰な飲酒歴のない脂肪肝で、肝硬変や肝がんなどへと進行してしまう心配もないものになります。

NAFLと診断されるまで

肝臓は「沈黙の臓器」とも言われ、何らかの異常が起きていても自覚症状はほとんど現れません。血液検査や画像検査(超音波検査やCT検査)の結果に異常があって、初めて肝臓に問題が起きていることに気がつきます。

脂肪肝の場合、超音波(エコー)検査をすると肝臓が白っぽく見えます。この結果などから脂肪肝と診断されるようになるのです。

ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎といった他の肝臓病になっていないかについても、検査をして確認します。アルコールが原因の脂肪肝でないことをはっきりさせるため、過剰な飲酒歴がないことも確認します。

他の肝臓病がなく、過剰な飲酒歴もないということが確認されると、NAFLDと診断されることになります。

NAFLDと診断がされたら、次はNAFLなのか、それともNASHなのかを区別する必要があります。そのためには肝生検が必要になります。

肝生検とは、実際に肝臓の組織をとって顕微鏡で観察するという検査です。この検査結果によって、NAFLなのかNASHなのかかをはっきりさせることができます。

生検針という針を肝臓に刺して、細胞の一部を取り出します。腹部だけの局部麻酔の場合や、全身麻酔による腹腔鏡での採取の場合があります。

そしてNAFL、もしくはNASHと診断がついたなら、その後の治療方針も決まってきます。

このようにNAFLと診断されるまでには、いくつかの段階があるのです。

肝臓の病気は自覚症状が現れにくいため、定期的に検診を行って異常に気づくようにすることが大切です。そして脂肪肝を指摘された場合には、放っておかないようにしましょう。

NAFLになっても、特に自覚症状はあらわれない!

先ほども言いましたが、脂肪肝になっていても自覚症状は何も出ません。NAFLでもNASHでも、体調がいつもと違うと思うような症状は何もないのです。ですから、異常に気づくには検査を受けるしかありません。

そして検査で脂肪肝と指摘されたとき、特に気になる症状はないからと放っておかないようしてください。

以前は、アルコールが原因でない場合の脂肪肝はそれほど深刻な病気ではないと考えられていました。しかし最近になって、もしもNASHであった場合には肝硬変や肝がんになる危険性が高いことがわかってきたのです。

NAFLの場合には肝硬変や肝がんなどになることはないと考えられます。しかしNAFLなら放っておいてもよいというわけではありません。まれにNAFLがNASHに移行してしまうこともあるのです。

ですから定期検診をしっかり行うようにし、そこで何らかの指摘があった場合には症状がないからと放っておいたりしないようにしましょう。自覚症状をアテにしてはいけません。

NAFLもNASHも自覚症状はほぼありませんが、まれにだるさ、疲労感などが出ることもあります。ただしそれらの症状があっても肝臓が原因とは気づきにくいですから、やはり一番大切なことは定期検診を続けていくということでしょう。

NAFLはメタボリックシンドロームと深い関係がある

NAFLやNASHの原因は食べ過ぎや運動不足、肥満などで、その根底にはメタボリックシンドロームがあると考えられています。糖尿病や脂質異常症、高血圧などがあることも多くなります。

NAFLやNASHは、メタボリックシンドロームの症状が肝臓に現れたものとも言えるのです。

▼NAFLの原因については、こちらで詳しく解説しています。
非アルコール性脂肪肝NAFLの原因は酒じゃない?メタボや高血圧に注意

NAFLになっても何の治療もしないままで同じ生活を続けていると、メタボリックシンドロームの症状も悪化していってしまいます。

NAFLは、進行して肝硬変や肝がんなどになる危険はないと考えられています。しかしそのまま放っておいてしまうと、メタボリックシンドロームによって動脈硬化を起こし、心筋梗塞や脳梗塞になってしまうことがあるのです。

NAFL改善のためにも、メタボリックシンドローム改善のためにも、一番重要なことは生活習慣の見直しです。今のままの生活を続けていては、症状は悪化し続けていってしまいます。

悪化してから慌てるのではなく、検査で指摘されたらすぐに生活習慣を見直すようにしてみてください。生活習慣を見直すことでNAFLが改善できるだけでなく、メタボリックシンドロームも改善できるのです。

▼NAFLの改善法については、こちらで詳しく解説しています。
非アルコール性脂肪肝NAFLの改善法。食事・運動の目標の決め方

NAFLが危険なNASHになってしまうこともある!

NASHは肝硬変や肝がんなどに進行してしまうこともあり、命の危険もある病気です。悪化させないためにも、すぐに治療をしていかなくてはいけません。

それに比べNAFLは肝臓に中性脂肪が溜まり過ぎてしまっただけで、肝細胞が炎症を起こしてしまったりはしていません。肝硬変や肝がんなどに進行する心配はなく、肝機能に大きな問題が出ることはないとされます。

しかしNAFLと診断されたから一安心というわけではありません。NAFLがNASHになってしまうこともあるのです。

ですからNAFLだからと安心してしまったりせず、生活習慣を見直して食べ過ぎや肥満などに注意してください。肥満が進んだり、糖尿病になってしまったりすると、NAFLがNASHに移行してしまう可能性も高くなります。

定期的に医師の診察を受け、肝臓の状態をチェックしてもらうことも大切です。

NAFLがNASHに移行していても、もちろん自覚症状は何もありません。肝硬変になり、ある程度進行してしまったころにやっと症状が出るくらいです。そのときに慌てても、もう手遅れです。

近年、生活習慣などの影響により肥満人口が増加しつつあり、メタボリックシンドロームの患者も増えてきつつあります。そしてそれにともない、NAFLDの患者数も増えてきています。

あまりお酒を飲まない人は、肝臓のことを気にする機会が少ないかもしれません。また検診で肝臓のことを指摘されても、自分はお酒は飲まないから大丈夫と思ってしまうかもしれません。

しかしお酒をそれほど飲まなくても肝臓に問題が出てしまうことがあるということを、きちんと知っておいてください。

食べ過ぎや運動不足といった生活習慣は、肥満やメタボリックシンドロームだけでなく肝臓にとっても大問題なのです。日常生活の中でできることから改善していき、無理なく気長に健康的な生活を送るれるようにしていきましょう。

NAFLと診断されれば心配ないわけではないんですね。NASHになってしまったりしないよう、まずはできることから、、、今日からエスカレーターは止めて階段を使うようにしてみましょう。
この記事をシェア

合わせて読みたい

ページ先頭に戻る