非アルコール性脂肪肝NAFLの改善法。食事・運動の目標の決め方

非アルコール性脂肪肝(NAFL)は、その原因に過剰な飲酒歴のない脂肪肝です。

食べ過ぎや運動不足が原因になっていて、肥満や糖尿病、脂質異常症があるという人も多くいます。

そんなNAFLを改善するためには、生活習慣を見直すことが重要です。改善に向けてどのようなことから始めていけばよいのか、みていきましょう。

NAFLを改善するにはメタボリックシンドロームを改善しよう

NAFLを改善するためには、なぜNAFLになってしまったのか、その原因を知ることが大切です。

NAFLはメタボリックシンドロームの症状が肝臓に現れたものとも言えます。食べ過ぎや運動不足といった生活習慣を繰り返すことで、肥満、糖尿病、脂質異常症といったメタボリックシンドロームの症状を合併していることも多くなります。

▼より詳しくはこちらの記事でご覧ください。
非アルコール性脂肪肝NAFLの原因は酒じゃない?メタボや高血圧に注意

そんなNAFLを改善するには、メタボリックシンドロームを改善することが重要です。そのためにもまずは食生活を見直すこと、そして体を動かすことから始めてみて下さい。

目標は7%の減量!

NAFLの一番の原因には肥満があります。食生活を見直したり運動を行うことで体重が落ちてくれば、肝臓についてしまった脂肪も減ってNAFLも改善されてきます。

そのためにも、まず今よりも7%の減量を目標にしてみてください。7%減量すると、肝臓の状態はかなり改善してくるとされます。例えば体重80kgの人なら、5~6kgの減量を目指してください。

ただし急激なダイエットは逆効果になってしまいます。炭水化物を極端に制限するといったような無理なダイエットをすることで「低栄養性脂肪肝」という脂肪肝になってしまうこともあるため、急激なダイエットは禁物です。

減量は1ヶ月に1kgを目安に行うようにしましょう。

食事療法や運動療法は今だけのことでなく、これから先もずっと気にしていった方がよいことです。ですから最初から無理をし過ぎずに、気長にずっと続けていけることをやってみてください。

張り切って頑張り過ぎてすぐに止めてしまうより、無理のないことを地道に長く続けていった方が、これから先の長い人生にも効果的ですね。

NAFL改善のための食事療法

現在の食生活を振り返ってみると、普段から食べ過ぎの傾向があって1日の摂取エネルギー量はかなり多くなってしまっているのではないでしょうか。

NAFLを改善するためにも、まずは1日の摂取エネルギー量を適正な量に抑えるようにしてください。

1日の摂取エネルギーの適正な量=目標体重×(25~30)kcal

摂取エネルギーの適正な量は、性別や活動量などによっても違ってきます。栄養士などに相談ができるようでしたら、一度詳しく話を聞いてみるとよいかもしれません。

病院によっては、院内で栄養指導の教室が開催されることもあります。また自治体などで相談ができることもあるので、確認をしてみるとよいでしょう。

ただ細かい計算をするのが面倒くさくてなかなか始められないというのでしたら、最初はまず、食べる量を今までより少し(2割くらい)減らすようにしてみてください。

特に動物性の脂質は減らした方がよいですから、肉類の摂り過ぎを控えるようにするとよいでしょう。

そして食生活改善のためにも、このようなポイントを見直してみましょう。

  • 今までよりも食事量を減らし、摂取エネルギーを抑える
  • 脂質を控える!特に動物性脂質を抑えた食事にする
  • 肉よりも魚を多く食べるようにする
  • 主食の炭水化物は減らし過ぎない
  • 主食はできればビタミン・ミネラルも多く含む胚芽米、玄米などにしてみる
  • 清涼飲料水やお菓子を摂り過ぎない
  • 野菜、豆類、キノコ類、海藻類をたっぷりと摂る
  • 血糖値の上昇を緩やかにするため、食べる順番を気にしてみる
  • 一日三食規則正しい食事をし、食べ過ぎないで腹八分目にする
  • 早食いはしないで、ゆっくりよく噛んで食べるようにする
  • だらだらと間食しないようにし、また夜遅くの食事もなるべく避ける

以上のようなことを意識して、食事をするように心がけてみて下さい。ただあまりストイックにやる過ぎると続かなくなってしまうかもしれません。たまにはご褒美で好きなものを食べたりと、メリハリをつけるようにしてみてください。

少し気にかけるだけで簡単にできることは、すぐに取り入れてみて下さい。

例えば食べる順番を

野菜

肉や魚などのタンパク質

主食の炭水化物

とするだけで血糖値の上昇は緩やかになり、脂肪肝を防ぐことができます。

ゆっくりよく噛んで食べることなども、それを習慣にしてしまえば無理することなくできるようになります。今のNAFLの状態だけでなく今後の人生を健康に送るためにも、できることからやってみてください。

炭水化物は適正な量で摂る

「脂肪肝」と言うと脂質の摂り過ぎが原因と考えられがちですが、炭水化物の摂り過ぎも大きな原因です。しかしだからといって、炭水化物を極端に減らしてしまうのはよくありません。

炭水化物は重要なエネルギー源であり、低血糖状態になると脳の機能も止まってしまうのです。ですからご飯やパンといった主食を極端に減らしたりせず、適量で摂ることを心がけてください。

おかわりは控えた方がよいでしょう。もちろん、ラーメンとチャーハンセットのような炭水化物+炭水化物といった食事は止めておきましょう。

ちなみに主食の一食分の適量の目安は次のようになります。

主食 目安量
ご飯 お茶碗に軽く1杯
食パン 6枚切りで1枚半
うどん(ゆで) 240g(約1袋)
そば(ゆで) 190g(約1袋)
スパゲティ(乾) 70g

(参考:脂肪肝・NASH・アルコール性肝炎の安心ごはん より)

砂糖や果糖などの糖質も炭水化物ですが、これらの摂り過ぎは脂肪肝になりやすくなるので控えてください。

清涼飲料水1本には、実は驚くほどたくさんの砂糖や果糖が含まれています。これらは飲み過ぎないように注意しましょう。糖尿病のリスクも上がってしまいます。

揚げ物は少し控えて、野菜をもっと食べるようにしましょう。外食は脂質や塩分が多くなりがちですから、注意した方がいいですね。まず今の食生活を見直してみましょう。

NAFL改善のための運動療法

減量をしてNAFLを改善するためには、体を動かすことも重要です。今現在ほとんど運動をしていない人にとって「運動療法」と聞くと大変なことと思われるかもしれませんが、まずは軽い運動から始めてみましょう。

何か道具を揃えたりわざわざシムに入会しなくても、ウォーキングならすぐに始められます。背筋を伸ばして少し大きめの歩幅でしっかり前を向くなど、普段歩くときにも少し意識をしてみましょう。

いつもはエスカレーターやエレベーターを使っているところを、なるべく階段にしてみることも効果的です。また最寄り駅の1駅手前で降りて歩いてみるのもよいでしょう。ダラダラ歩かず、歩幅を大きく早足で歩くようにしましょう。

基礎代謝を上げて消費エネルギーを増やすことも大切です。基礎代謝は筋肉をつけることで上がってきますから、スクワットのような軽い筋トレなどを行うこともよいでしょう。

もしも形から入った方がやる気が出るようでしたら、この機会に道具を揃えたりジムに入会したりするのも良いかもしれません。「いつか」と思っていたことがあるのなら、「今すぐ」始めてみてください。

ただし、突然激しい運動を始めてしまっては逆効果になってしまうこともあります。もしも心臓などに問題があるようでしたら、必ず医師に相談してから始めるようにしてください。運動をし過ぎて、膝を痛めたりしないようにも注意してください。

若い頃に運動をしていた方でも、残念ながら歳とともに体は変化しています。昔はできたからと無理をすると体はそれについていけないこともありますから、少しずつ運動強度を上げるようにしていきましょう。

食事と運動を少しだけ意識すればNAFLは改善できる

NAFLの場合には、食事療法や運動療法を行うことで肝臓の状態はかなり改善されてきます。薬を服用したりする必要はないでしょう。

ただNAFLなのになんの生活改善もせず、今までと同じ生活を送っていたのではNASHへと移行してしまうこともあります。NASHは進行すると肝硬変や肝がんになることもあるため、注意が必要です。

NAFLと診断されても何の自覚症状もないと思いますが、決してそのままにしたりはしないようにしてください。NAFLの原因は今までの生活習慣です。その生活習慣を見直し改善するように心がけてください。

またNAFLの状態が良くなったからと以前の生活習慣に戻ってしまっては、肝臓には再び脂肪が溜まっていってしまいます。そんなことのないように、自然に気長に無理なく続けられることを自分の生活習慣にしてしまってください。

NAFLを改善させる生活を送っていれば、メタボリックシンドロームにもならずにすみますね。どんなことも、日々の積み重ねが大切ってことです。
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