ウコンの効果。主成分クルクミンの肝機能を高める作用
お酒大好きという人は、肝臓のことも気にしてウコンを飲むようにしているかもしれません。ウコンには肝臓の働きを良くさせる作用があって、二日酔いにも効くと言われます。
そんなウコンの主成分はクルクミンで、このクルクミンがいろいろな作用をもたらすと考えられています。
クルクミンにはどのような作用あるのでしょうか。クルクミンに期待される効果についてみていきましょう。
クルクミンは秋ウコンの主成分
クルクミンはウコンに含まれる黄色い色素成分で、ポリフェノールの一種です。
カレー粉としても使われますし、天然の着色料としてマスタード、マーガリン、たくあんなど色づけにも使われます。食用としてだけでなく、染料として利用されることもあります。
ウコンはショウガ科の植物ですが、一口にウコンと言っても実はたくさんの種類があります。種類ごとに含まれる成分は違い、それぞれに特徴があります。クルクミンは特に秋ウコンに多く含まれます。
代表的なウコンには次のようなものがあります。
- 秋ウコン(鬱金、ターメリック)
- 春ウコン(キョウオウ)
- 紫ウコン(ガジュツ)
- ジャワウコン(クスリウコン) など
秋ウコンにはクルクミンが多く、切り口は鮮やかな黄色になります。秋ウコンの根茎を乾燥させてパウダー状にしたものがターメリックで、沖縄では鬱金(ウッチン)とも呼ばれます。
春ウコンにはクルクミンはあまり含まれず、精油やミネラルを多く含みます。切り口は薄い黄色で、苦いため食用には向きません。健康食品などに使われます。
紫ウコンにはクルクミンは含まれず、精油成分を含みます。切り口は紫色で、芳香健胃薬として利用されます。
ジャワウコンはインドネシアの伝統医療で利用されてきた植物で、クルクミンや精油などを含みます。
ウコンのサプリメントには、秋ウコンが使われることが多くなります。ウコンは肝臓の機能を高めるとされますが、これはウコンの主成分のクルクミンによる作用と考えられます。
クルクミンにはどのような作用が期待できるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
クルクミンに期待される効果・作用
クルクミンには様々な作用があるとされます。ただ今はまだ、ヒトを対象にした試験が十分に行われているわけではなく、ヒトに必ず効果があるとは言い切れないものもあります。
クルクミンに期待される作用は次のようなものになります。
抗酸化作用
クルクミンには抗酸化作用があり、過剰な活性酸素を除去する働きが期待されています。
活性酸素は細菌やウイルスから体を守ってくれる重要な存在ですが、過剰な活性酸素は正常な細胞を傷つけるなどしてしまい、病気を引き起こす原因になるとも考えられています。
糖尿病や動脈硬化といった生活習慣病や老化などには、活性酸素の存在が密接に関係しているとされるのです。
私たちの体にはもともと、過剰になった活性酸素を除去するための仕組みもあるのですが、年齢とともにその仕組みは働きにくくなっていきます。さらにストレスや生活環境の悪化などによって、活性酸素は徐々に増えていっているのです。
過剰になった活性酸素を除去すれば、生活習慣病や老化を予防できるとも考えられています。そしてクルクミンには、活性酸素を除去するための抗酸化作用があるのではないかと期待されているのです。
実際に試験管内では、クルクミンが強力な抗酸化作用を持つことは確認されています。ただ実は、ヒトの体内でもそのような効果があるのかどうかについてはまだはっきりしていません。
今後の研究によって、もっと詳しいことがわかってくるでしょう。
肝機能を高める作用
クルクミンには肝臓の解毒作用を助けたり、胆汁の分泌を促す働きがあるとされます。これらの働きは肝臓の重要な役割であり、それらの働きが助けられることにより、クルクミンには肝臓の機能を高める作用があると期待されます。
肝臓にはいろいろと重要な役割があります。例えば有害物質を無害化する解毒作用や、「胆汁」という、脂肪を分解して消化吸収を助けるための液体を分泌する働きがあるのです。
クルクミンによってこれらの働きが助けられることで、肝機能が高まると考えられます。またそれにより、疲労回復の効果も期待できます。
実際にマウスの実験により、クルクミンに肝機能を高める効果があるという結果が出ています。ヒトでの確実な結果はまだわかっていませんが、効果は期待できるでしょう。
二日酔いを予防する作用
体にとってアルコールは有害物質です。体内に入ると肝臓の働きによって分解されアセトアルデヒドとなり、さらに分解されて最終的に水と二酸化炭素となって体外へと排泄されていきます。
二日酔いの原因は、アルコールの分解によって生成されたアセトアルデヒドです。アセトアルデヒドには強い毒性があり、それがいつまでも体内に残ることで吐き気や頭痛といった二日酔いの症状が出てしまうのです。
クルクミンにはアルコールの分解を促す働きがあります。分解が進みやすくなることで体内にいつまでも残ってしまうアセトアルデヒドは減り、それによって二日酔いを予防することができるのです。
コレステロール値を下げる作用
先ほども言いましたが、クルクミンには胆汁の分泌を促す働きがあります。胆汁とは肝臓で作られる消化液で、実はこの材料としてコレステロールが必要です。
つまり胆汁の分泌が促されてたくさんの胆汁が作られるようになると、その材料となるコレステロールもたくさん必要になります。
このようにクルクミンには、胆汁の分泌を促すことでコレステロール値を下げる作用もあるのです。
美肌の作用
クルクミンには抗酸化作用があります。それによって活性酸素を除去していくことができ、美肌を維持する作用も期待できます。
活性酸素は生活習慣病や老化の原因とも言われますが、美肌を維持するためにも非常に悪影響となるものです。過剰な活性酸素があるとシミやシワの原因となり、肌のハリも失われていってしまうのです。
クルクミンによって活性酸素が除去されることで、美肌を維持していくことができると考えられます。
この他にもクルクミンには消化機能を改善する、関節リウマチの症状を改善させる、脳を活性化することでアルツハイマー病を予防する、がんを予防したり進行を抑えるというような作用もあると期待されています。
ヒトで確実に効果があるとまで研究結果が出ていないものもありますが、いろいろな作用が期待できるのではないかと考えられます。
クルクミンを効率良く摂るには?過剰摂取には要注意!
クルクミンを多く含む食品は秋ウコンです。とはいっても、秋ウコンそのものを手に入れられる機会はあまりないでしょう。カレー粉のターメリックにも、クルクミンが含まれます。
現実的にはウコンのサプリメント、またはクルクミンのサプリメントなどとして摂ることがほとんどと思われます。
以前、健康食品としてウコン製品を摂ったところ肝障害を発症してしまったというケースがありました。
この理由としては品質に問題のある製品を摂取してしまった、もしくは特異体質のためにウコンが合わず薬物性肝障害となってしまったということが考えられます。
必ず確かな品質のものを、使い方に書かれた量を守って摂取するようにしてください。もしも問題があった場合にはすぐ中止しましょう。
ウコンは食材としても利用される成分のため、それらと同じくらいの摂取量であれば安全性に問題はないと考えられています。
ただしウコンには鉄が多く含まれます。C型肝炎やNASHでは鉄を摂ることで症状が悪化するために、鉄の摂取が制限されています。このような患者が気付かずにウコンを摂ってしまうと、鉄を摂り過ぎることになってしまいます。
せっかく肝臓のためにと飲んでいたもので、肝臓の症状が悪化することになるのです。ですからC型肝炎やNASHで鉄を制限するように指示されている人は、ウコンは絶対に摂らないようにしましょう。
ウコンの種類によっても、鉄の含有量は違います。今まで使っていたものは問題なくても、種類を変えたら急に鉄の含有量が増えるということもあるので注意してください。
また胆石があるなど胆のうに問題がある場合には、ウコンを使わないほうがよいでしょう。胆のうが収縮することで、症状が悪化することが考えられます。
その他、妊娠中や授乳中の人も止めておきましょう。他に薬を飲んでいる人は、主治医に相談してから飲んでください。
クルクミンには本当に効果があるのか
実は2017年始めに、ウコンに含まれるクルクミンには効果がないのではないだろうかという論文が出されました。
試験管内の実験では、クルクミンには様々な効果が認められます。しかし実際にヒトで実験をしてみると、なかなか思っていたほどの効果が出ないようなのです。
ただし今のところ言えるのは、クルクミンに何の効果もないというのではなく、今後の研究にかかっているということでしょう。クルクミンに過剰な期待はし過ぎないほうがよいかもしれませんが、全く意味がないとも言い切れません。
またウコンにはクルクミン以外にも様々な成分が含まれています。それらの成分の作用によって、ウコンの効果が現れているということも考えられます。
最近、秋ウコンに「ビサクロン」という成分がわずかに含まれていることが発見されました。そしてこの成分には、肝障害を抑えたり二日酔いを改善したりする作用があることがわかってきたのです。
クルクミン、そしてウコンにはまだまだ未知の可能性があるのではないでしょうか。今後の研究により、今まで考えてもいなかった結果が出ることがあるかもしれません。新たな研究結果にも注目してみてください。