コーヒーは肝臓に良い、悪い?実は肝臓への良い効果がたくさん!

かつて、胃に良くない、眠れないなどのデメリットをはじめ、都市伝説レベルの根も葉もないコーヒーに関する情報がいろいろ語られました。

しかし近年では一転、コーヒーのさまざまな効能に注目が集まり、評価はうなぎのぼりです。

コーヒーが胃に悪いとは言われましたが、肝臓との関係は(個人的には)ほとんど耳にしたことがありません。とはいえ、胃に問題があるとしたら、肝臓に影響がないはずがありません。

コーヒーをこれまでどおりに安心して飲むことができるのか、それとも「要注意飲料」なのか・・・肝臓との絡みで分析してみることにしましょう。

やっぱりコーヒーは肝臓に悪い?コーヒーが肝臓に悪い理由

コーヒーを飲んで胃が悪くなるのなら、肝臓が悪くなっても不思議ではありません。何しろ肝臓は、胃や小腸を経て血中に吸収された栄養分が大量に流れ込む臓器ですから、胃は大丈夫でも肝臓はダメージを受けるケースだってあります。

結論を言えば、コーヒーによって肝臓が悪化するリスクは十分考えられます。ただし、表現が難しいのですが、コーヒーが肝臓に悪いわけではなく、肝臓に悪いコーヒーを飲むことで肝臓が傷むと考えるべきです。

コーヒーは悪くない!コーヒーを飲んで胃や肝臓が悪くなるのはコーヒーの質の問題

たとえば「青魚」、青魚の脂は頭がよくなるとかコレステロールを下げるとかいろいろ良いことが紹介されるようになってきていますよね?この紹介は医学的に証明されていますので、まぎれもない事実です。

しかしどうでしょう、腐った青魚を食べたら、やっぱりお腹を壊しますよね?食べた量によっては少なくとも「食あたり」程度のトラブルは起こりますし、悪ければ重篤な「食中毒」の大騒ぎになるかもしれません。

実は、コーヒーによる「胃のむかつき」などの不調も、腐った青魚を食べたのと似た状況が起こっていると考えられるのです。コーヒーの場合は「腐る」というところまでは至りませんが。

ただ、コーヒーが古くなると、胃のむかつきなどの不調の原因になります。古くなるということは、長く空気に触れている可能性が高いですから、酸化が起こっていることを意味します。

コーヒーだけではありません。日本茶でも紅茶でもウーロン茶でも、いわゆる「カフェイン飲料」の場合、コーヒー豆や葉っぱが古くなって酸化が起こると、胃腸のトラブルが起こりやすくなるのです。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。胃腸が弱っていても肝臓自体の不調が自覚されないことのほうが多いです。酸化したコーヒー豆でいれたコーヒーを飲むと、気づかないだけで、肝臓にも良くない影響が及んでいる危険性が高いです。

具体的にいえば、コーヒーに含まれる脂質が酸化することで過酸化脂質となり、肝臓は過酸化脂質を通常の脂質と異なる一種の有害物質ととらえて代謝・解毒を行い、これが肝臓への大きな負担となります。

ですから「身体にイイらしいからたまにはコーヒーでも飲むか」といって1年前のコーヒーをいれたりすると肝臓を悪化させるリスクがありますので、普段コーヒーを飲みなれていない人はよくよく注意してください。

ということで、新鮮なコーヒーであれば、肝臓だけでなく胃のむかつきなどが起こらない可能性が高いです。でも、「買ったばかりの缶コーヒーでも胃の調子が悪くなるんだけど」という声もきかれます。

はて、品質はもちろん鮮度にも問題などあり得ないように思われる缶コーヒーは、肝臓に悪影響を与えることになるのでしょうか?

缶コーヒーを飲むと調子が悪くなる理由・・・肝臓への影響は!?

近年コーヒーの健康効果の高さも手伝ってか、非常に人気が高まっている印象も強い缶コーヒーですが、人気の缶コーヒーなのだから、まさか酸化したコーヒー豆を使用することなんてないよね・・・と思うでしょう。

ところが実は、そうでもないんです。缶入りのお茶や紅茶、ウーロン茶ではそういうことは起こりませんが、缶コーヒーは酸化が進んだコーヒー豆が使用されている確率が高いです。

缶コーヒーと缶のお茶類のちがいはどこにあるのでしょうか。実は、原材料の素材に原因があります。お茶はご存知のとおり「葉っぱ」です。しかしコーヒー豆は「豆」と呼ばれますが、実はコーヒーの「種子」なんです。

まあ豆の多くもマメ科の植物の(主に)食用種子ですが、コーヒー豆も同様です。種子には、「菜種油」などで知られるとおり、「油」の成分が多く含まれています。油には酸化しやすい性質があることはよく知られます。

缶コーヒーの場合、その製法などによりますが、どうしても原料となるコーヒー豆の酸化が進みやすくなるため、上でお話した「酸化したコーヒーを飲むと不調が起こる」のパターンにそのまま当てはまってしまいます。

ということは、缶コーヒーによって肝臓がダメージを受けるリスクもあると考える必要もあります。ただし、コーヒー豆をあえて酸化させることで独特の風味を与える製法もあります。

ですからこれはあくまでも一般的な缶コーヒーのお話であり、缶コーヒーの品質に問題があることを意味しません。この点は誤解なきようお願いします。そして、コーヒーは肝臓への効果にも優れています。

優れた肝臓への効能があるコーヒー!その優れたパワーをご紹介!

コーヒーには血圧低下をはじめ、さまざまな健康効果があるということが最近大々的に宣伝されるようになってきており、テレビに出演されたお医者さんまで「コーヒーを飲んでください」なんて平然という時代になりました。

まあお医者さんがいうくらいですから、コーヒー豆が酸化していない条件で、コーヒーには何らかの健康効果があると考えられます。そして、肝臓への高い効果も十分期待されるのです。

コーヒーの成分から肝臓への効果の可能性を探る!

肝臓への何らかの効果が期待できるということを検証するためには、まずはコーヒーの成分を分析する必要がありますよね。コーヒーというと、かつて悪名高かった「カフェイン」が思い出されます。

しかしカフェインには健康効果が高いことがわかってきており、カフェイン以外の成分も注目に値します。では、コーヒーの主な成分とそれぞれの成分の肝臓への効果をまとめます。

コーヒーの主成分 主な健康効果 肝臓への効果
カフェイン 自律神経系のバランスを整える 副交感神経の活性による精神安定、睡眠導入の効果
クロロゲン酸 発がん性物質の除去・肝硬変など重篤な肝疾患の予防 肝がんへの予防効果は特に強い
トリゴネリン 脳のエネルギー代謝の促進・コレステロール値の改善 コレステロール値が改善されたのは肝機能が正常化されたから

わかりづらいところもあるかと思いますので、少し補足しておきましょう。特にカフェインの肝臓への効能についてですが、古くから「カフェインを摂取すると眠れなくなる」などと言われてきました。

しかし実際には、自律神経系のバランスを整える、つまりは交感神経系の活性が高すぎて興奮状態にあるとき、カフェインの効果によって副交感神経系の活性が高まり、精神安定の効果が生まれます。

これにより、睡眠導入の効果も得られることになるわけですが、問題はそのあとです。実は肝臓と睡眠との間には、密接な関係があるのです。睡眠している間は肝臓をはじめ各種臓器も休息しています。

ということは、睡眠が足りていないと肝臓の休息時間も不足し、睡眠不足がそのまま肝臓疲労の原因になってしまうのです。カフェインはその部分に対し有効に作用することがおわかりいただけると思います。

それと、トリゴネリンの成分の説明のところで、「コレステロール値が改善されたのは肝機能が正常化されたから」と述べました。これは、コレステロールは食品から摂取されるだけでなく、肝臓でも合成されるからです。

つまり、肝機能が低下していると、(特に悪玉)コレステロールの合成が過多になりやすいのです。ですからトリゴネリンの効果によりまず肝機能が改善され、コレステロール値も安定すると考えるのが自然なのです。

がぶ飲みは厳禁!カフェインの過剰摂取は肝臓への負担を大きくする

肝臓の主な働きのひとつは「代謝」です。肝臓における代謝とは、血中のある物質を都合のよい別の物質に変化させることです。肝臓の重要なもうひとつの機能である解毒も、物質が分解され代謝されることで実現されます。

とはいえ肝臓は魔法使いではありませんので、化学的な手法によって代謝を行います。その手法が、「酵素」による化学変化を利用する方法です。つまり代謝は、肝臓が分泌する酵素によって達成されます。

健康効果が高いとされるカフェインも、肝臓で代謝されます。ところが、あまりにもカフェインを摂取しすぎると、カフェインに割り当てられた酵素の比率が高すぎてしまうというデメリットが生じます。

たとえば、ぜんそく薬に「テオフィリン」という薬があるのですが、このテオフィリンが代謝されるときには、カフェインを代謝するときに必要な酵素と同じ酵素が必要になります。

ということは、テオフィリンを服用したときにコーヒーをたくさん飲むと、ちょっとマズイことになります。つまり、テオフィリンの薬効がカフェインによって抑制されてしまうかもしれないのです。

ここまでお話するとピンときた読者の方もいるかと思いますが、要は、昔から言われる「食べ合わせ」に関するお話に似た状況が、テオフィリンとカフェインの間で起こっているのです。

たとえばこれが、アルコールやニコチンの代謝の際に生成されるアセトアルデヒドのように、肝臓に対する毒性が強い物質がカフェインのせいで代謝されなかったとすると、肝臓への深刻なダメージがおよぶリスクが高まります。

ただし、これはあくまでもカフェインの量が過剰な場合のお話であり、常識の範囲の摂取量であれば、そこまで深刻な状況には至りません。カップ4~5杯程度を上限とすれば、カフェインの問題はほぼ起こりません。

コーヒーをがぶ飲みすることは、できるだけ避けたほうが無難です。

コーヒーだけでなく何ものでも「行き過ぎ」は控えるべき!

「食べすぎはよくない」と言われるのは当たり前のことですが、食べすぎも飲みすぎも遊びすぎも、とにかく「行き過ぎ」は身体にとってプラスはありません。栄養管理臓器である肝臓にとってもマイナスは大きいです。

コーヒーは、健康効果が高い飲みものとしてその評価が見直されていますが、コーヒーも飲みすぎは控える必要があるのは、ここまでのお話からもおわかりのとおりです。

そして実は、「コーヒーを飲むと眠れない」という昔からの格言めいた言いならわしは、「飲みすぎると眠れない」が正しいものと理解していただきたいと思います。

これについて詳細な説明は避けますが、カフェインは大量に摂取すると眠れなくなる作用も発動します。ほどほどの摂取量であれば、睡眠をスムーズにしますので、飲む量には十分注意していただきたいと思います。

コーヒーを飲んで肝臓から健康になるためには、コーヒー豆の鮮度や飲む量などに多少の注文はつきますが、そんなに難しい注文ではないはずです。ぜひ正しくコーヒーを飲用し、肝臓および全身の健康にアプローチしていただきたいと思います。

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