肝機能低下でおこる症状一覧。顔色や疲れやすさに注意!

肝機能が低下している・・・この手のことばはよく耳にします。健康診断などでそう指摘・診断された経験がある人もいるでしょう。

しかし健診で指摘された程度の肝機能低下の場合、そこまで深刻な自覚症状が現れることはありません。

そもそも肝臓は、かなり大きなダメージを負っても自覚症状が現れにくい臓器です。

ただ、肝機能低下が原因だったことに気づかないような、何らかの身体の不調を自覚する可能性は十分考えられます。

肝機能の低下で自覚できる症状にはどのようなものがあるのか、解説していきます。

肝機能低下によって起こりうる症状

肝臓は人体内にある最大の臓器です。それだけ多くの細胞(肝細胞)が肝臓を構成していることを意味します。

それだけに、「肝機能」ということばはどこか抽象的な響きを感じる人が多いのではないでしょうか?

肝機能低下とは、一定数以上の肝細胞や肝内組織が破壊され、肝機能の一部(まれに全部)が正しく機能しない状態を指します。

しかし膨大な肝細胞の数を詳細に管理することはできません。

そこで、主に血液検査による「肝機能検査」が、肝機能が低下しているか否かを知るための重要な指標となります。肝機能検査の数値についてはこちらの記事でくわしくまとめてあります。

肝機能が低下して症状が現れる代表的な疾患は?

肝臓病という「ことば」は確かによく聞かれますが、肝臓病という「病気」はありません。肝臓に起こるさまざまな疾患の総称が「肝臓病」です。

心臓病にしても腎臓病にしてもこれは同じことです。厳密な意味で「病名」とは異なるのです。それゆえ「肝臓病になると○○が起こりますよ」というような話はよく耳にするものの、実際のところ一概には言えないのです。

いくら大きな臓器であるとはいっても、同じ場所で起こっている疾患ですから、似たような症状が起こりやすいのは事実です。しかし症状の軽重にも種類にもよって病名が変わることもあります。

ですからひとくくりに「肝臓病」としてとらえるのではなく、疾患ごとに症状を検証する必要があります。

肝臓病には肝細胞以外の肝内胆管、また

  • すい臓
  • 脾臓(ひぞう)
  • 胆のう
  • 十二指腸

など直近の臓器からの影響も受けやすい臓器でもあります。これらの臓器にトラブルが起こっているケースも考えられるのです。

ですから肝細胞以外の肝臓組織や多臓器のトラブルが起こると、症状や部位によっては当然肝機能が著しく低下します。

それでは肝機能低下による代表的な症状、症状の目安をまとめましょう。

代表的な症状 代表的な肝疾患
無症状(自覚症がない) アルコール性脂肪肝
肥満やメタボなどが原因の脂肪肝、初期肝硬変など
黄疸(おうだん)(※) 結石
胆石
胆管がん
胆汁うっ滞(胆汁が流れない)
慢性肝炎
急性肝炎
肝硬変
肝がんなど
全身性の疼痛など苦痛を伴う症状 中等度以上の肝硬変、肝がんなど

※注意・・・上記疾患とは無関係の、体質的に黄疸が現れやすい人もいる。このケースでは特に心配はない。

(参考:肝機能障害を引き起こす原因-全国健康保険協会 より)

はじめに述べたとおり、上記のご紹介はあくまでも代表的な症状とその目安であって、実際のところ症状には個人差が大きく、簡単に理解することも表現することも非常に難しいと言わなければなりません。

ほかにも皮膚にかゆみや湿疹が出る肝硬変や肝炎もありますし、倦怠感、食欲不振、発熱などが見られる肝機能障害もあります。大切なことは、原因がよくわからない症状を放置しないことです。

もしかしたら肝臓に重大な問題が起こっている可能性もありますし、肝臓とは無関係の何かが原因で起こっている症状かもしれません。わからないからこそ、専門家(お医者さん)の力と知恵を借りる必要があります。

なんとなく感じられるからだの不調

また、具体的な「症状」とまでは言えないものの、「体調の変化」として感じられることがある肝機能低下による現象には、

  • 以前とくらべて顔色が悪くなったように感じる(詳細記事)
  • お肌の状態がすぐれない
  • 以前よりも疲れやすい、疲れが抜けきらない気がする(詳細記事)
  • 最近お酒に弱くなったように感じる、あまりお酒を飲みたくなくなった
  • 頻繁にお腹が張る
  • なんとなく気分がすぐれず(だるい)、集中力が弱くなっている
  • 体臭がきつくなっている気がする(詳細記事)
  • (お料理や調理の際)あぶらものを見るとイヤな感じがする、見ただけで気持ち悪くなる
  • 下痢しやすくなった(詳細記事)
  • あるいは便秘しやすくなった(詳細記事)

などが挙げられます。いずれも肝機能低下と無関係の可能性もありますが、これらの変化を感じた際にも、「もしかしたら・・・」と肝機能低下の可能性も少し考えてみていただきたいと思います。

肝機能低下でこわいのは「自覚できない」症状

たとえば風邪をひいて咳が出るケースでは、「咳が出る」という現象がその風邪の症状であると解釈されます。しかし実際には、風邪の菌やウイルスが炎症を起こしてこの菌やウイルスを外に出そうとするのが咳です。

しかし目に見えない菌やウイルスが目に見えないところで何か悪さをしていることも「風邪による症状」です。こちらの症状は「自覚」としては明確ではありません。必ずしも病気の症状に自覚があるとは限らないのです。

肝機能低下による初期の症状(検査値が少し高めという程度)はこのタイプの典型です。少々肝機能が低下していても、痛いとかかゆいとかめまいがするとか、そういった明確な自覚症状が現れないことがほとんどです。

たとえば「脂肪肝」は、自覚症状がほとんど現れない肝疾患として知られます。ただし、肝臓で脂肪の代謝が間に合わなくなり、余剰の脂肪が肝細胞に付着するという「症状」は確かに起こっています。

肝機能低下による自覚症状はなくても、「肝細胞が破壊してその細胞が果たすべき機能が損なわれている」という症状は、症状として目にみえる形をしていないだけで、確実に「肝疾患の症状」と解釈される必要があります。

ということは、何らかの策を講じてこれを改善・回復させる必要があります。しかもできるだけ早く肝機能の低下を自覚し、できるだけ早く治療をはじめる必要があります。

そのためには・・・もうおわかりですね?肝機能検査は非常に重要な意味を持つことになるのです。

無症状も含めて症状が多様だから判断が難しい!

肝臓には痛みを感じる神経がかよっていないため、肝臓に何らかのトラブルが起こったときに、肝機能が低下することがあっても肝臓自体に痛みを感じることは基本的にありません。

そのため、ぶつけてどこかに傷ができたといった種類のトラブルとは完全に分けて肝疾患をとらえる必要があります。それだけ肝機能の低下を察知するのが難しいといえます。

ただ「肝機能の低下」が起こっているわけですから、そこに何らかのヒントが隠されていることは多いです。とはいえ、肝機能障害が起こっていても自覚症状に乏しいのが肝疾患の特徴です。

なんだかよくわからない症状が起こっているときには、まずは病院でお医者さんに相談していただきたいと思います。そしてすすめがあったなら、迷わず血液検査などをしていただきたいとも思います。

また、何も起こっていなかったとしても、血液検査(基本的な肝機能検査)くらいは定期的にしておいたほうがよいことも間違いありません。難しい判断だけに、誤る危険性があるということも考えておきましょう。

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