肝機能を回復する方法。食事・睡眠・運動が重要な理由が奥深い

自覚症状には乏しいかもしれませんが、肝機能検査(血液検査)のたびに数値がどうもはっきりしない日本人が多いようです。

何しろ肝臓という、大きさの割には感覚的な存在感がない臓器だけに扱いが難しいです。

肝機能が低下したなら、回復させる必要があります。しかし扱いが難しい臓器の機能をどう回復させるのか、そもそもほんとうに回復は可能なのか・・・ここが最大のポイントでしょう。

それでも肝機能、回復させましょうよ!

肝機能を回復する方法。日常で意識できる3つのポイント

肝機能の回復を考える上で、肝機能低下が

  • 明らかな肝疾患(肝臓病)によるものであるのか
  • 肝臓疲労や食べすぎ飲みすぎなどが原因なのか

によって場合分けする必要があります。後者の場合、今回紹介する方法をできるだけ実践してみてください。

日常に取り入れられる

  1. 食事
  2. 睡眠
  3. 運動

にまつわる肝機能の回復方法を、具体的に紹介していきます。

次の検査で驚く結果がでるかも…?

肝機能改善への道1~暴飲暴食を避け食生活を改善しよう

肝臓は、食べ物から運ばれる栄養を取り扱う臓器です。そのため暴飲暴食によって肝機能低下が起こります。

まずは暴飲暴食をやめて食生活を改善するところからはじめましょう。

アルコールの過剰摂取により肝臓が傷む(アルコール性肝障害など)ことはよくご存じかと思います。アルコール摂取の推奨上限は1日当たり20mL(厚生労働省)です。

まずはお酒の飲みすぎには要注意ですね。しかし実際には、飲みすぎばかりなく「食べすぎ」が問題になることも多いです。

もちろん糖質(炭水化物)の過剰摂取は脂肪肝の原因になりますが、それだけではありません。

糖質にしても脂質にしても、あるいはほかの栄養素にしても、過剰に摂取すること自体、肝臓にとってメリットになることは何ひとつありません。

それとは別の問題があります。

その問題とは、「ほかの臓器の不調による負担が肝臓にかかってくること」です。食べすぎれば胃が疲労することはよく知られます。胃で十分な消化ができなければ、栄養処理の肝臓における負担が増加するのです。

胃や小腸、特に飲酒と関係が深いすい臓などの不調により、間接的に肝機能が低下します。ということは、暴飲暴食により低下した肝機能の改善は、関連するほかの臓器を改善したその先にあることを意味します。

これはなかなかたいへんな回り道です。だからこそ、暴飲暴食は避け、食生活を正しながら肝機能を改善する、あるいは低下させないことが何よりも重要なことです。

ちなみに、「肝臓に良い(肝臓に負担をかけない)」とされる食べ物についてもこちらこちらにまとめてありますので、どうぞご参考ください。

肝機能改善への道2~睡眠が重要!身体の疲れをしっかり癒して肝機能改善を!

ときおり「肝臓疲労」などということばを耳にしますが、これは肝臓に継続的な負担がかかっている状況を指します。もちろん上記でお話した暴飲暴食などが原因で肝機能が低下した状態に相当します。

しかし暴飲暴食だけが原因ではありません。私たちの身体的、精神的な疲労が肝臓疲労の原因となることも多いです。

肝臓疲労を回復させるためには、私たち自身の疲労を回復させる必要があることは言うまでもありません。

私たちの身体的、精神的な疲労を回復させるためには、「しっかりした休養をご自身に与えてあげる」ことが重要です。そのために「睡眠」が欠かせないことは、経験則として実感される方が多いでしょう。

睡眠と肝臓の間にどんな関係があるのか疑問を感じるかもしれませんね。ちょっと簡単にお話しましょう。

肝臓はご存じのとおり、非常に多忙な臓器です。私たちが何かを食べて栄養が運ばれるたびに、「代謝」という仕事に追われます。

代謝は肝機能の代表です。また、一度に代謝しきれなかった栄養は肝臓に「貯蔵」されます。貯蔵も重要な肝機能なんです。しかもこの栄養は脂肪であることが多く、貯蔵過多により脂肪肝に陥ります。

私たち自身は食べたあと「ちょっと一服」などといってゆっくり休んでいられますが、肝臓の働きはここからが本番です。次の食事までに代謝が終わっても、貯蔵された栄養の代謝を行う必要があります。

肝臓には休んでいる暇がないのです。しかしずっと働きづめにさせるわけにはいきません。肝臓の働きづめこそ、肝臓疲労、つまりは肝機能低下の原因になります。では、肝臓はいつ休むことができるのでしょうか?

実は、肝臓だけでなく胃や腸などの消化器は、私たちが睡眠をとっている間に休息しているのです。どんなに食いしん坊の人であっても、さすがに眠りながらでも食べ続ける人はいないでしょう。

肝臓は、そのことをちゃんと知っているんです。だから人間が眠っている間は、肝臓もしっかりと休息をとることができるのです。ところが、私たち人間が睡眠不足になったらどうでしょう?

当然その間も肝臓は働き続けることになりますよね?これが肝臓疲労の原因です。

月に1日や2日ならタフな肝臓は頑張り切りますが、慢性的な睡眠不足だとさすがの肝臓もダウンしてしまいます。

つまり、継続的な肝臓疲労は、肝機能低下の大きな原因になります。ですから睡眠不足の解消は、肝機能回復の重要な手がかりになるのです。

肝機能改善への道3~運動不足の解消!無酸素運動より有酸素運動を

細かい事情はよくわからないけれど、有酸素運動はなんとなく身体によいという印象がありますよね?

有酸素運動というのは、ウォーキングやスイミングなど、呼吸をしながら行う運動です。

睡眠をしっかりとって身体を休ませることが肝機能回復への手がかりになるのなら、有酸素にしろ無酸素にしろ「運動」はむしろ控えたほうがいいんじゃないの?という素朴な疑問も浮上しますよね。

しかし実際には運動も睡眠同様肝機能を回復させる上で重要な手がかりになってくるんです。

特に「有酸素運動」が、肝機能の回復には効果的です。一見矛盾するような事実ですが、その裏に何があるのでしょうか?

ここで1つクイズを。

★問題★
筋肉量が多い人と少ない人とでは、どちらが低下した肝機能を回復しやすいでしょうか?

見事正解した読者にはステキなプレゼントをご用意・・・などまったくしていないのですが、ちょっと考えてみてください。いかがでしょうか?

実は、筋肉量が多い人のほうが低下した肝機能を回復しやすいんです!

運動によって肝機能が回復しやすいのは、運動によって筋肉量が増えるために肝機能が回復しやすいんですね。

もしかしたら聞いたことがある人もいるかもしれませんが、筋肉って「第二の肝臓」などとも呼ばれることがあるんです。もちろん「それじゃ肝臓なんて要らない」などということはありませんよ。

肝機能が低下して本来代謝されるべき栄養素(特に糖やアミノ酸)が代謝されないまま血中を運ばれると、筋肉で肝臓のように代謝を進めてくれるんです。そして肝臓にはもうひとつ「解毒」の機能もありました。

実は血中のアンモニアなど有害物質も、肝機能低下の際にはピンチヒッター的に筋肉で解毒してくれるんです。それゆえ運動することによって筋肉量が増えれば、肝機能低下が起こっても回復しやすくなるのです。

ただし1点注意したいところは、その運動が「有酸素運動」であること。

無酸素運動

  • ウェイトリフティング
  • 腕立て伏せ
  • 全力疾走など

の場合、「乳酸」と呼ばれる物質を過剰に生成します。

過剰に生成されると、乳酸を代謝するために肝臓への負担が大きくなってしまうのです。ですから無理やり筋肉を増やそうとしすぎると、むしろ逆効果になってしまいます。

もちろん無酸素運動がいけないわけではありませんが、肝機能回復のためには有酸素運動をベースに実施してください。

基本に忠実な生活習慣で肝機能を回復させよう

今回の内容をまとめますと「正しく食べ、よく眠り、適度に運動をする」という、生活習慣病予防のお手本のようなお話になりました。

実際、肝機能を回復させるには、基本に忠実な生活習慣に勝るものはありません。

サプリメントやドリンク剤などに頼る肝機能回復の手法がないわけではありませんが、場合によってはむしろデメリットとなってしまう危険もありますので、慎重である必要があります。

やはりベースとなる「基本に忠実な生活習慣」を心がけ、できるだけ肝臓に負担をかけないよう日々の生活を送ることをおすすめします。それと、あまりにも数値が悪いようなら早めに病院に行きましょうね!

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