肝炎の種類。表比較でわかりやすい!ウイルス性とアルコール性

肝炎は肝臓病の代表的な疾患のひとつです。ただし肝炎は、「肝炎」という特定の病気を指すわけではなく、「アルコールやウイルスなどが原因で肝細胞が破壊され、肝臓全体が炎症を起こす状態すべて」を指します。

ですから肝炎にもいくつかの種類があることになります。

お医者さんが「肝炎にかかっていますね」と診断したとしても、それ自体正しいのはもちろんですが、厳密には、原因によって肝炎の種類が異なるのです。

肝炎の種類、それぞれの特徴を解説いたします。


肝炎には「ウイルス性」と「ウイルスと関係ない特殊なもの」がある

実際肝炎にはかなりの数の種類があります。「肝炎」の文字が採用されない肝臓病であったとしても、

  • 肝炎(肝臓の炎症)
  • 肝炎による肝機能障害
  • 肝機能低下

を伴う肝臓病は多いです。

事実、肝硬変は肝炎が悪化して起こることが多く、肝炎の前段階であるとされることが多い脂肪肝でも、すでに肝臓の炎症が認められることが多いです。

では、肝炎には実際にどんな種類があるのか逐一ご紹介し、それぞれ簡単に説明を加えていきます。

ウイルス性肝炎は主に3種類。特にB型C型の2つは要注意!

肝炎ウイルスと呼ばれるウイルスが感染して起こる肝炎を、ウイルス性肝炎と呼びます。

D型肝炎、E型肝炎など、日本ではめったに起こらないウイルス性肝炎もありますが、

は珍しくありません。

特にB型肝炎、C型肝炎は生命を脅かすレベルにまで悪化することが多く、C型肝炎患者の肝硬変への移行率は極めて高いという統計データもあります。

いちおうE型肝炎も含め、ウイルス性肝炎についてまとめてみましょう。

感染経路 症状タイプ・経過 備考
A型肝炎 経口感染(口から侵入) 急性肝炎(まれに劇症肝炎) 慢性化はない
B型肝炎 血液感染(輸血や性感染など) 急性肝炎・慢性肝炎 慢性化することはほぼない
C型肝炎 血液感染(輸血や性感染など) 急性肝炎・慢性肝炎 慢性化することが多い
E型肝炎 経口感染(口から侵入) 急性肝炎(まれに劇症肝炎) 特にない

肝炎ウイルスとは無関係に起こる肝炎の種類:アルコール性と非アルコール性

肝炎の場合、肝炎ウイルスの有無で大きく分けることができるわけですが、ここからは肝炎ウイルスとは無関係の肝炎の種類をご紹介します。

肝炎ウイルスと無関係の肝炎も、「アルコールとのかかわりの有無」によって、

  • アルコール性脂肪性肝障害・肝炎
  • 非アルコール性脂肪性肝障害・肝炎

が分類としてひとまとまりになります。

それ以外の特殊な肝炎として、自己免疫性肝炎薬物性肝障害が挙げられます。

アルコール性脂肪性肝障害は、主に肝炎(アルコールによる肝細胞の破壊が起こり、肝臓が炎症を起こして腫れたり熱を持ったりする)の症状が見られますが、軽度のものはアルコール性脂肪肝、重度化すると肝硬変へと移行します。

ですから一般の病名としては「アルコール性脂肪(性)肝障害」ですが、特にアルコールによる肝炎の状態では、「アルコール性(脂肪性)肝炎」と呼ばれることもあります。

これに対し、アルコールの影響をまったく受けない種類の脂肪性肝障害を、「非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD=ナッフルディー)」と呼びます。NAFLDにも、肝障害(肝炎)の活動タイプによっていくつかの分類が生じます。

特に活動性が高く(肝硬変への移行の危険性が高く)、肝炎や肝線維化が起こっている状態を「非アルコール性脂肪(性)肝炎(NASH=ナッシュ)」と呼びます。

このタイプの肝炎は、アルコール性肝炎にくらべても非常に危険度の高い肝炎であると考えられます。

というのも、アルコール性肝炎は生活習慣病の一種で、「生活習慣(飲酒習慣)を改める」という改善方法が容易に見つかるからです。

これに対しNASHの場合、アルコール以外の幅広い生活習慣のどこかに原因があったり、あるいはそもそも生活習慣には原因がなかったりすることも多く、活動性も高いことから危険度も高いと考えられます。

ちなみに、NASHほど危険度が高くないNAFLDを「単純性脂肪肝」と呼びます。NAFLDは日本人に非常に多くみられる代表的肝障害です。ややこしいのでまとめましょうね。

アルコール性脂肪性肝障害の分類
  • アルコール性脂肪肝
  • アルコール性脂肪性肝炎
非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)の分類
  • 単純性脂肪肝(NASHを除いた肝障害タイプ)
  • 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
特殊な肝障害・肝炎
  • 自己免疫性肝炎
  • 薬物性肝障害・肝炎

前の項でお話したウイルス性肝炎を含め、肝炎を発症することが多い肝障害は、このように分類されます。

種類を無理に整理する必要なし。症状を悪化させないことが重要

かなりややこしいお話でした。ですから万一何らかの肝障害・肝炎を発症した際には、分類や種類を整理して無理に理解を深める必要はありません。整理して理解したところで肝炎は治りませんから。

それよりなにより、万一肝障害・肝炎を発症したとしたら、それ以上の悪化を絶対に食い止める必要があるという意識が重要です。

脂肪肝の人は、これ以上悪化させて肝炎を発症させない必要があります。

すでに肝炎を発症している人であれば、これ以上悪化させて肝硬変を発症させない必要があるのです。どんな病気でもそうですが、肝臓病は自覚症状に乏しいだけに、その意識がより重要になります。

そして幸いにも、現状肝臓に何も問題がない人であっても、今後ずっと肝臓が健康である保証はありません。現在肝臓が健康な人ほど、今回のお話をよく理解していただき、肝臓を大切にしてあげていただきたいと思います。

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