おして痛いなら肝臓がボロボロかも!?代表的な足ツボ4つ

近年では徐々に良い薬が開発されつつあるようですが、かつて肝疾患は、治らない疾患(つまり、それ以上悪くしないようにすべき疾患)であると考えられていた時代もありました。

それだけに、肝臓を悪くした人にとっては、何か重苦しい気持ちのまま日々生活しなければならなかったわけですが、しかし「治らない」というのはあくまでも西洋医学での話であって、東洋医学では少々違った見方もありました。

東洋医学(漢方)の神秘的な治療に1つに「ツボ」があります。今回は肝機能とツボの関係に迫るとしましょう。

肝臓に通じるツボがある!肝経・胆経のお話

WHO(世界保健機関)で認められているツボは、ちゃんと名前がついているもので、全身に360ほどあるといわれます。ツボの知識がない人からすると、そんなにあるのか?と思うかもしれません。

数自体よりもWHOでツボが認められている、つまりはツボ刺激による医学的有効性が認められていることのほうが筆者個人としては少々驚きなのですが、いずれにしても今後ツボがさらに注目を集める日がくるのかもしれません。

臓器のキモと東洋医学のキモを「ツボ」がつなぐ

さて、今回は肝臓とツボとの関係についてお話しするわけですが、肝臓とツボというのは一見関係がなさそうな気もします。しかし「肝」という字は「きも」、つまりは「重要な部分」という意味に通じます。

東洋医学のキモであるツボが、臓器のキモである肝臓と密接に関係していると考えるほうがむしろ自然かもしれませんね。肝臓と密接にかかわっているツボのことを特に、「肝経(かんけい)」と呼びます。

正しくは、「厥陰肝経(けついんかんけい)」といいます。厥陰肝経は主に足に位置しているため、「足の厥陰肝経」とも呼びますが、いずれにしても「肝経のツボ」といえば、その道では当たり前に通じます。

ちなみに、肝臓と密接にかかわる臓器である胆のう、胆道などのツボである「胆経(たんけい)」も、肝経同様「肝機能」と関係があると考えられます。そういえば「胆」も「きも」と読みましたね。

胆のう系の機能のことは「胆機能」とは呼ばず、「肝機能」に含めて考えるのがふつうです。ですからここでは肝経に加えて胆経も含めて「ツボと肝機能の関係」としてお話しを進めていきます。

ここをおすと痛い!肝臓のトラブルの重要なサインになるツボ2つ

ツボのなかには、そのツボと関係のある臓器や部位の状態によらず、おすと痛いツボもあるようですが、肝経や胆経の多くは、肝機能が良好な状態でおしてもそんなに強い痛みは現れないようです。

ですからまずは、肝経・胆経のツボをおしたときに、「痛い!」というくらいの強めの痛みを感じるかどうか、この部分をしっかりとチェックしていただきたいと思います。

とはいっても、肝経・胆経にはかなりの数のツボがありますので、そのすべてをチェックするのもたいへんです。ただ、肝経の代表となるツボがあるので、まずはここをおさえておきましょう。

おすと痛いなら肝臓トラブルのサインかも?:大敦(だいとん)

肝経のツボ、「大敦(だいとん)」と呼ばれるツボがもっとも代表格です。親指の爪の人差し指寄りのへりあたりにあるツボで、ここをおして強い痛みを自覚するかどうかを確かめます。

おすと痛い場合肝臓トラブルがある可能性が高いツボ、大敦の位置を表すイラスト
(出典:大敦(だいとん) |医道の日本社)

もちろんこのツボだけが肝経のすべてではありませんが、まずはこのツボをおしてみて強い痛みを感じるかどうかをチェックしてみて、もし強く痛んだらとしたら、あなたの肝機能に問題があるかもしれません。

部位的に少々狭くて指ではおしづらいので、つまようじの後ろ側で刺激するとおしやすいと思います。とがったほうでやると、肝臓とは無関係に絶対痛いので、必ず逆側でおしてください。

ちなみにこの大敦のツボをおすと、以下の症状やトラブルの解消・軽減の効果があるとされます。

  • 悪心
  • 頭痛
  • さまざまな肝機能障害

おすと痛いなら肝臓トラブルのサインかも?:竅陰(きょういん)

もうひとつ、胆経の代表的なツボとして「竅陰(きょういん)」をご紹介しておきましょう。竅陰は足の薬指の小指側のへりあたりにある胆経です。「足竅陰(あしきょういん)」とも呼びます。

おすと痛い場合肝臓トラブルがある可能性が高いツボ、竅陰の位置を表すイラスト
(出典:足竅陰(あしきょういん) |医道の日本社)

ちなみにこの竅陰のツボをおすと、以下の症状やトラブルの解消・軽減の効果があるとされます。

  • 頭痛
  • 片頭痛
  • 眼痛
  • 高血圧
  • 胸痛
  • 救急などのトラブル

肝臓が不調かな?と思ったらおしてみて!他にもある肝経と胆経のツボ

肝経と胆経の具体的なツボをひとつずつ説明していくことにしましょう。まずは肝経から。

おすと痛いなら肝臓のダメージが考えられるツボ:太衝(たいしょう)

肝臓と胆のうは、総胆管(そうたんかん)と呼ばれる管で連絡しており、肝臓でつくられた胆汁は総胆管を通って胆のうに流れ込みます。これと同様に、ツボどうしにも連絡路のようなものがあります。

ツボどうしの連絡路を、東洋医学の範囲では「経絡(けいらく)」と呼びます。肝臓のツボと胆のうのツボを結ぶ経絡が弱っているときにおして痛むのが、「太衝」と呼ばれるツボです。

太衝は、足の親指と人差し指の谷間をまっすぐ上にのぼったところの骨のくぼみにあたるツボです。

おすと痛い場合肝臓にダメージがあると考えられるツボ、太衝の位置を表すイラスト
(出典:太衝(たいしょう)|医道の日本社)

このツボをおして強く痛むときには、肝臓疲労や肝機能低下の余波として、以下の症状やトラブルが現れることがあるとされます。

  • 目のかすみ
  • めまい
  • 情緒不安定

「肝臓のツボと胆のうのツボを結ぶ経絡が弱っている」というのもイメージしづらいですが、太衝自体が属している経絡は「肝経(足の厥陰肝経)」ですので、この経絡にに属する部位や臓器が疲労していることを意味します。

臓器単位で見るなら、肝臓や胆のう・胆道などがこの経絡に属しています。つまり、西洋医学風に表現してみると、そのまま「肝臓や胆のう・胆道の疲労」と解釈することができます。

おすと痛いなら肝臓のダメージが考えられるツボ:臨泣(りんきゅう)

胆経が属する経絡の疲労の可能性を示唆するツボが「臨泣」と呼ばれるツボです。臨泣をおしたときに強く痛みを感じるなら、胆経の経絡に疲労が懸念されます。

臨泣は、足の薬指と小指の谷間からまっすぐ上にのぼった骨のくぼみの部分に位置するツボです。「足臨泣(あしりんきゅう)」とも呼びます。

おすと痛い場合肝臓にダメージがあると考えられるツボ、足臨泣の位置を表すイラスト
(出典:足臨泣(あしりんきゅう)|医道の日本社)

臨泣をおすことで、以下の疾患やトラブルの解消・軽減にも有効であるとされます。

  • めまい
  • 船酔い
  • 片頭痛
  • 胆嚢炎
  • 胆石症
  • 三叉神経痛 など

ツボによる肝機能改善という新しい考え方も積極的に採用してほしい

今回は、肝機能と関係するツボについてお話ししてきました。上の「経絡図」からもおわかりかと思いますが、すべてのツボをご紹介できたわけではありません。今回は比較的自分でもおしやすい「足のツボ」に特化しました。

肝臓疲労や肝機能の低下を示唆するツボは、ほかにも手や胴体にたくさんあるようですが、特に「おしたときの痛みがサインとなる」という意味では、足のツボは特に有能である印象があります。

西洋医学だけを信じるというスタンスが悪いわけではありませんが、肝疾患をはじめ、西洋医学のテリトリーだけでは補完しきれない疾患がたくさんあることも周知の事実です。

ということは、ツボに代表される東洋医学を信じないというスタンスは、ある種の可能性を自ら否定してしまうことにもなりますので、日本人にとっては「新しい考え方」であるツボによる対処も少し採用してみてもよい気がします。

ただ、血液検査などで肝機能障害を示すはっきりとした数値が出ているにもかかわらず、ツボだけでなんとかしようという発想もまた危険です。何事も「バランスこそ肝」なのです。

肝機能改善を目指す医療に対しても、洋の東西をバランスよく採用するスタンスが私たちにとって「肝」となるのかもしれませんね。

この記事をシェア

合わせて読みたい

ページ先頭に戻る