二日酔い解消には味噌汁!具材より味噌にあったその根拠

二日酔いを改善するためには、二日酔いの症状を取り除き、お酒により深いダメージを負った肝臓の状態を再び元気にするケアが必要になります。つまり肝機能の回復ですね。

二日酔いによいといわれる食材のひとつに「味噌汁」があります。ほかにも「しじみ汁」がよいとか、味噌汁の具材には「あさり」がよいなどという話もききますよね。

具材なのか味噌汁なのかの部分も含め、今回はまず「二日酔いと味噌汁」の関係から検証します。

さて、本当に二日酔いを解消する効果はあるのか…?

二日酔いは味噌汁で解消?具材以外の「味噌」の効果

味噌汁は「薬」ではないわけですから、味噌汁を飲んだからといって二日酔いが治るものではない・・・という考え方も当然あり得ますよね。しかし健康に関する古くからの言い伝えは正しいことが多いのもまた事実です。

互いに相容れない部分も多いですが、医学的根拠が明確でないからといって、健康に関する昔からの言い伝えを無視するのは早計といわなければなりません。しかし味噌汁の二日酔い改善の効果には、それなりの根拠があります。

味噌汁には具材にかかわらず二日酔い改善の効果があった!

二日酔いというと、「しじみ汁」のイメージが強いですが、味噌汁の具材は必ずしも「しじみ」である必要はありません。実は、具材にかかわらず「味噌汁」だけでも十分二日酔い改善の効果が期待できるんです。

二日酔いによる不快や症状の多くの原因となるのは、「低血糖」と「脱水症状」です。そして、ふらつきや吐き気の原因となるのが、アルコールが正常に代謝されずに生成されたアセトアルデヒドという有害物質です。

二日酔いの症状の主要な原因であるこれら3つの要因をすべて取り払うことができるなら、二日酔いを改善できる確率が高くなります。味噌汁は「汁」と呼ばれるくらいですから、当然水分を含みます。

二日酔いを改善するために必要な水分量はコップ1~2杯分といわれます。コップの大きさにもよりますが、平均的なサイズでいえば、ちょうど味噌汁をお椀に1杯分の水分に近い分量ですね。

ということは、お椀1杯の味噌汁を飲み干せば、脱水は解消される可能性が高まることになります。さあ今度は「低血糖」の解消です。しょっぱい味噌汁が低血糖を解消することができるのでしょうか?

厳密にいえば、十分ではないにしても、低血糖の緩和にはつながります。というのも、味噌汁には100gあたり6gの糖分が含まれているからです。味噌汁1杯分となると、おそらく30g~50g程度の味噌をつかいます。

ということは、単純計算ではありますが、味噌汁をお椀1杯飲むことで、糖分は2~3g摂取できることになります。問題は、「2~3gの糖分」が二日酔いによる低血糖を解消する分量に相当するのか、です。

糖尿病の患者さんがインスリンを過剰に接種して低血糖になった場合、砂糖をなめるだけで危機を脱することがあるという話を昔はよく耳にしました。最近ではもっと有効な方法があると思いますが。

同じ低血糖ではありますが、二日酔いの低血糖とインスリン過剰による低血糖では、症状のレベルが異なると考えるのが自然です。インスリン過剰の場合、即生命の危険をはらむレベルです。

砂糖2~3gというと、「小さじ1杯弱」です。小さじ1杯という分量は、ペロリと簡単になめるような量ではありませんよね?もちろん「砂糖」と「味噌に含まれる糖分」とはまったく別ものではありますが。

しかし上記の計算からも、少々の二日酔いによる低血糖であれば、味噌汁1杯分で改善される可能性があることはお分かりいただけるかと思います。

そして最大の問題は、「アセトアルデヒドの対処」ですね。しかしアセトアルデヒドについても「味噌汁」が素晴らしい効果を発揮するんです。

味噌汁の二日酔いへの最大の効果は具材ではなく「味噌」が発揮する

味噌汁といえば、先述したしじみやあさり、わかめ、数々の野菜といった、おいしい具材がメインです。しかし二日酔い改善の最大の効果を発揮するのは、具材のほうではなく、実は「味噌」自身にあったのです。

おさらいしますと、二日酔いの不快な症状の原因となるのは、

  • 脱水
  • 低血糖
  • アセトアルデヒドの分解(代謝)

でした。このうち脱水については味噌汁の「汁」が、そして低血糖については「味噌に含まれる糖分」が解決できそうだというところまでお話しました。最大の問題として残るのが、有害物質「アセトアルデヒド」です。

マルチな才能を持つ味噌をもってしても反撃はここまでか・・・に思われますが、実は、味噌には私たちが想像する以上に高いポテンシャルを備えているんですね。味噌はアセトアルデヒドの分解を促進します。

実は味噌には「コリン」と呼ばれる成分が含まれています。コリンは認知症の改善にも注目されている必須栄養素(食事からしか摂取できない栄養素)で、肝機能改善にもひと役買っています。

コリンの原料は、レシチンと呼ばれる栄養素で、これが大豆、卵黄などにたくさん含まれているわけですが、味噌といえば、その原料は、そう「大豆」でしたよね?味噌にコリンがたくさん含まれるのは当然です。

わずか大豆30gにコリンは85mgも含まれます。ちなみに最も多いのは、豚レバーや卵黄です。しかし大豆や味噌をはじめとする大豆製品にも十分豊富なコリンが含まれていますので、味噌汁だって同様ですよ。

また、味噌にはコリン以外にもビタミンB1、B2などの「ビタミンB群」が豊富に含まれています。ビタミンB群は肝機能回復に欠かせない栄養素であることは、二日酔いの特効薬のページでもご紹介しました。

コリンというとなんとなくかわいらしいイメージがあることばですが、その響きとは異なり、なかなか素晴らしい効果・効能を備えているんですね。

そしてなんといっても「味噌」のすばらしさ、そして「味噌汁」の能力の高さを、二日酔い対策をきっかけとして再確認していただけたのではないでしょうか。

(参考:レシチン・コリン-公益財団法人長寿科学振興財団健康長寿ネットより)

二日酔いだけじゃない!味噌や味噌汁のパワーを再確認してほしい

今回はたまたま「二日酔い対策としての味噌・味噌汁」というテーマでお話してきましたが、味噌や味噌汁が秘める能力は、二日酔いにだけ発揮されるわけではありません。

基本的な栄養素をはじめ、認知症予防、がん予防など幅広い病気の予防になるとの説も有力です。肝臓に対しても、脂肪肝を改善するなどのさまざまな効能が研究されています。

このお話を通じてひとつ気になることがあるのですが、それが現代人の「味噌汁ばなれ」です。もちろん人には好ききらいがありますから、何がなんでも味噌を食って味噌汁を飲めというわけではありません。

ただ、これだけおいしく、高い能力がある食材を自ら手放してしまう現代人の動向は、正直「もったいないなぁ」と思われてなりません。この機会に、味噌や味噌汁のパワーを再確認していただければ幸いです。

そして、少しでも味噌や味噌汁への関心が高まったならとてもうれしいです。

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