二日酔いに柿が効く根拠。有効成分タンニンの含有量がトップクラス!


A:二日酔いにはやっぱりカキがいいよね!
B:そうだね、タウリンが豊富で肝臓や二日酔いには最適だよ
A:タウリン?タンニンじゃなくて?
B:カキといえばタンニンじゃなくてタウリンでしょ?
A:いやいやカキはタンニンだよ・・・

A、Bのイントネーション認識が一致しないとこういうかみ合わない会話になってしまうこともあると思います。

今回のカキは「柿」のほう、タンニン豊富なフルーツのカキと二日酔いの関係に迫ります。

牡蠣もいいけど二日酔いにはやっぱり柿!その効果の秘密

「肝臓に良い食材」として必ず上位にランクインしてくるはずの牡蠣(カキ)に対し、もっと手軽に、しかも理想的なプロセスで二日酔いを改善してくれるのが、甘くておいしい「柿」のほうです。

もちろん牡蠣は肝臓に有効な食材としてすでに市民権を得ていますので、牡蠣のページにまとめてあります。

柿の効果は二日酔いのメカニズムと柿の成分を分析するとわかる

柿が二日酔いに効くことを証明するためには、まずは二日酔いがどういう状態であって、その状態が柿によってどう解消されるのかを検証する必要があります。

そりゃあ「飲みすぎの状態」ではあるわけですが、もう少し詳細な情報が必要です。そのためにもまずは二日酔いのメカニズムから確認します。

二日酔いのメカニズム(誘因・助長要因)の候補
  • ホルモン異常や脱水・低血糖
  • アルコール離脱による軽度禁断症状
  • 炎症反応(頭痛やむかつきなど)
  • 電解質異常
  • アセトアルデヒドによる不快(頭痛や吐き気、ふらつきなど)
  • 胃腸障害による吐き気や食欲不振
  • 睡眠をはじめ生体リズムが狂う

(参考:二日酔いのメカニズム-e-ヘルスネット(厚生労働省)より)

厚生労働省によれば、上記の要因が二日酔いの症状を引き起こし、二日酔いを不快と感じさせると説明しています。実際はメカニズムの詳細の全容が解明されたわけではありません。

いずれにしても、これらの要因が取り除かれさえすれば、二日酔いは完全に治まると考えられます。そこで注目すべきは「柿の成分」ですね。

生の甘柿/渋柿100gあたりの主要な成分
  • 水分(g)・・・83.1/82.2
  • たんぱく質(タンニン含む・g)・・・0.4/0.5
  • 炭水化物(糖分・g)・・・15.9/16.9
  • ビタミンB1(mg)・・・0.03/0.02
  • B2(mg)・・・0.02/0.02
  • ナイアシン(mg)・・・0.3/0.3
  • B6(mg)・・・0.06/0.05
  • 葉酸(mg)・・・0.018/0.020
  • パントテン酸(mg)・・・0.28/0.27
  • カロテン(mg)・・・0.42/0.30
  • ビタミンC(mg)・・・70/55

渋柿を好んで食べる人はいないと思いますが、二日酔いに効く有力な成分の1つが、渋柿の主成分である「タンニン」です。タンニンはたんぱく質の一種です。甘柿と渋柿とでは、多少成分構成が異なるんですね。

しかし甘柿だからといってタンニンが大幅に欠如するわけではありません。ですから、タンニンに二日酔い改善の効果があるとしても、無理して渋柿を食べる必要はありません。

要するに、二日酔い改善のためには、「甘柿」を食べれば十分な効果が期待できますよ!で、注目していただきたいのは、上の成分表示の上位3項目です。

と言いながら、さらに上の「二日酔いのメカニズム」も合わせてご覧いただきたいのですが、二日酔いの不快感の誘因となる主要因は、「脱水」と「低血糖」にありましたね。

脱水にしても低血糖にしても、重度な状況では生命の危険を伴う怖い症状です。急性アルコール中毒で命を落とすケースでも、低血糖が多少なりとも関係しています。

ということは、「二日酔いの予防」のところでもお話しましたが、二日酔い対策にはとにかく水分と糖分が重要であることがわかりますよね。

はい、再び「柿の成分」に目を移していただきたいのですが、甘柿100g中の割合でいえば、

  • 水分・・・83.1%
  • 糖分・・・15.9%

ということで、いかがでしょうか?もうおわかりですね?

なんと、二日酔い改善のために必要な水分と糖分だけで柿の99%が構成されることになるんです!ちなみにそのまま食べることはないと思われる渋柿でもほぼ同じです。

つまり、柿をひとつ(平均すれば100gくらい?)食べればそれだけで脱水症状と低血糖という二大危険要因が取り除かれる可能性が大きいことがわかります。まあ二日酔いともなればのどが渇くので、水は飲むと思います。

ですから水分不足は意外と起こりにくいはずです。しかし糖分摂取というのは水分摂取ほど簡単ではありません。秋の時期の二日酔いにはぜひ柿をかじって対処していただきたいですねぇ。

しかし肝心の「タンニン」にはあまり触れずにきてしまったので、柿の最大の魅力の1つであるタンニンその他の成分についてもまだまだご紹介できますよ。

柿に含まれるタンニンの活躍が特にスゴイ!

柿の渋み成分であるタンニンは、その嫌がらせのような風味とは裏腹に、健康面にとっては非常に素晴らしい効果を発揮する成分なんです。しかしタンニンを抽出してゴクゴク飲めるはずもありません。

そんなときはぜひ「甘柿」を食べていただきたいですね。甘柿を食べれば二日酔いだってだいぶ改善されますよ・・・というお話をここまではしてきました。しかしまだ、なぜタンニンが有効なのかの疑問が残りますね。

研究からタンニンについてわかっていることはいろいろありますが、二日酔いには特におすすめできる理由として、タンニンが血中のアルコール分を排出させる特長があるからです。

さらにさらに、アルコールとの関係でタンニンは大活躍しますので、ちょっとまとめてみましょうか。

二日酔いに対するタンニンの作用
  • 血中アルコールの排出促進
  • 血中アセトアルデヒドと結合して毒素を無効化
  • 肝臓における解毒作用を助けて肝機能を改善

上記は二日酔いへの作用に限定していますが、それ以外にも幅広い生活習慣病の予防効果があったり、アンチエイジングの効果があったり、さらに健康以外の生活の知恵にも活用されるのがタンニンなのです。

ちなみに、成分表示にあった豊富なビタミンCもアルコール排除の効果がありますし、βカロテン(β:ベータ)は肝機能の数値(特にALT(GPT))を下げる効果があります。

そして成分表示の6項目を占めたビタミンB群も、肝細胞再生の際には欠かせない栄養素です。ビタミンB群と肝臓の関係については、肝臓と市販薬のページに詳細をまとめてありますので、そちらをご覧いただければ幸いです。

タンニンだけでなく、水分と糖分以外の柿の有効成分も、二日酔いに対しては効果的な作用をもたらすんですね。ところで、渋柿ならたくさん手に入るんだけど、甘柿はちょっと・・・

と悔しがる方に必見の情報を、ここからちょっと公開したいと思います。

渋柿を甘柿に変換!
山にハイキングに行ったりすると、野生の柿を目にすることがありますよね?試しにちょっと皮をむいてかじってみると、正気の沙汰とは思えないレベルの「渋」に辟易することもあります。

でも、そんなしぶ~い山柿もわりと簡単に渋抜きできるんですよ!ちょっとその方法をご紹介しましょう。いろいろ方法はありますが、筆者がいつもやっている方法です。

  1. 収穫した渋柿を洗う
  2. お皿に焼酎を少量うつす
  3. ヘタの部分を皿の焼酎につけて布で拭い、焼酎がしみ込んだ布でヘタの裏側の実の部分を拭く
  4. 1~3をいくつかの柿に実施し、袋に入れて密閉する
  5. 1週間くらい(少し柿がやわらかくなるくらい)したら取り出す

大量に収穫できた場合は、専用の樽(たる)などを用意できれば尚可です。上記の渋抜き加工を施した柿をビニール袋に入れたまま樽やビニール桶などに入れて密閉すると、一気に大量の甘柿をつくることができます。

お庭に柿の木があるけれど渋柿だから食べられない・・・とか、渋柿をたくさんいただいたんだけどどうしよう・・・といったシーンでは、渋抜き加工はほんとうに有効です。

山柿の場合強烈な渋みがありますが、うまく抜けると非常においしい甘柿に変換できるんですよ。ぜひお試しを!ただし、山柿は仕込み期間を間違えるとのどが焼けるほど甘くなりますので要注意です。

あ、あと、お皿の焼酎が余ったからといって飲まないようにしましょう。あまり清潔とは言えませんので。

二日酔いや肝機能回復、それ以外の健康にマルチな才能の柿を活用しよう!

今回は柿がどれだけ優れたフルーツであるのかをご紹介しました。近年は「柿離れ」が叫ばれるような、少々もったいない時代になってきた印象もありますが、この機会に離れた柿を再考していただければ幸いです。

もちろん二日酔い改善や肝機能回復に柿が効果的であることは、今回お読みいただいた方には理解していただけたかと思います。しかし二日酔いや肝臓以外の健康効果、それ以外の効果も高いです。

また、柿の実だけでなく皮や葉の栄養価も極めて優秀なので、柿はまさに「捨てるところがない食材」です。皮は漬物と一緒に漬け込むことで利用できますし「柿の葉茶」、「柿の葉寿司」はあまりにも有名ですね。

非常にマルチな才能にあふれる「柿」を、いろいろなシーンでぜひご活用いただきたいと思います。

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