C型肝炎で段階的にあらわれる症状。風邪に似た症状や尿の色に注意


肝臓のさまざまな疾患の総称、あるいは俗称を「肝臓病」と呼びますが、肝臓病は自覚症状が大きくないことで知られます。肝臓は時に「沈黙の臓器」と呼ばれることからもそのことがわかります。

肝炎もそのひとつです。肝炎の分類は数多く分かれますが、その代表的肝障害であるウイルス性肝炎に注目すると、A型肝炎、B型肝炎など、かなりつらい症状がみられる肝臓病もあります。

C型肝炎も重い症状があらわれるウイルス性肝炎です。

あらわれにくいC型肝炎の症状。あらわれるときは段階的に

C型肝炎の症状をひとことであらわしてしまうなら、「C型肝炎ウイルスの感染が原因で現れる症状」となります。C型肝炎ウイルスというとなんとなく専門的なにおいがして難しく感じられるかもしれませんね。

ただ実際には、たとえば指先に切り傷をつくったときに、これを放置すると熱を持ったり化膿したりするのと同じです。

この場合の悪化の原因は、多くは細菌ですが、C型肝炎もこれと似ています。

C型肝炎ウイルスによって肝臓が炎症(肝臓が熱を持ったり腫れたりする)が、C型肝炎の主要な症状になります。しかし実際には、自覚症状があらわれないことも多いです。

ただ、C型肝炎の症状の詳細を分析するためには、いくつかの段階に分けて考える必要があります。その段階は次の3つに大別されます。

  1. C型急性肝炎の症状
  2. C型肝炎発症から肝硬変(C型肝硬変)に至るまでのC型慢性肝炎の症状
  3. C型肝硬変炎の症状

3の「C型肝硬変の症状」については、「一般的な肝硬変の症状」に説明してありますので、そちらをご覧いただきたいと思います。

C型急性肝炎の症状は突然あらわれる!

ウイルス性肝炎は、感染するウイルスのタイプによってそれぞれ症状が異なる部分があります。C型肝炎ウイルスに感染すると、多くはC型慢性肝炎の症状へと移行しますが、ときおり急性肝炎を発症することもあります。

急性肝炎は、それまで肝炎の症状が一切なく、突発的にあらわれる肝炎の症状の総称です。C型急性肝炎は、C型肝炎ウイルスの感染が原因となって発症する急性肝炎です。

C型急性肝炎は、C型肝炎ウイルスの感染から2~14週間以降にあらわれる急性肝炎の症状です。しかし実際には、C型肝炎ウイルスに感染して急性肝炎の症状が現れることは極めてまれです。

しかし1点だけ十分に警戒しなければならない点があります。

それは、急性肝炎を発症すると、まれに劇症肝炎を発症することがあるという点です。劇症肝炎は、生命の危機といっても過言ではない肝炎です。

C型肝炎ウイルスの感染による急性肝炎自体がまれなので、そこからさらに劇症肝炎の症状が起こることはもっとまれではあります。ただ、万一劇症肝炎を発症したら一大事であることは覚えておかなければなりません。

C型慢性肝炎では風邪に非常に似た症状があらわれる

C型肝炎ウイルスに感染したとしても、すべてがC型慢性肝炎にかかるわけではありません。B型肝炎にくらべると感染力が弱いウイルスなので、感染後自然に体外に排出されることもあります。

その場合「不顕性感染(ふけんせいかんせん)」と呼ばれ、無症状のまま事なきを得ることがほとんどです。しかし実際には、60~80%程度の割合でC型肝炎ウイルスが残留し、やがて慢性肝炎を発症します。

C型慢性肝炎の症状は、まれに急性肝炎(ごくまれに劇症肝炎)を発症しますが、多くはC型慢性肝炎として症状があらわれます。(C型)慢性肝炎は、

  • だるさ
  • 食欲不振
  • 頭痛
  • 発熱

など風邪に似た症状がみられます。

しかも、中にはかなり軽微な症状しかあらわれなかったり、あるいは不顕性感染として経過することもあります。

そのため、C型肝炎ウイルスが体内に残りやすいのがこのウイルスの怖いところです。

ウイルスが体内にとどまることで、時間をかけてウイルスが増殖すると、「キャリア」と呼ばれる状態に至ります。C型慢性肝炎は、その後C型肝硬変、さらには肝がんへと移行する危険度が非常に高いです。

ここで最も警戒しなければならないことは、C型肝炎ウイルスの潜伏期間は長く、症状が少々わかりにくいところがあり、その割に放置すればC型肝硬変や肝がんなど生命を脅かす危険性が高い疾患を招きやすいという点です。

C型肝炎ウイルスの感染経路はほぼ血液感染ですが、心当たりがある人で、風邪気味、あるいは原因不明の体調不良が続く人は、一度肝機能検査やウイルスチェックをしたほうがよいかもしれません。

ただ、目に見える異常があらわれることもありますので、合わせてチェックしておきましょう。

C型肝炎であらわれることがある可視の症状
  • 黄疸(おうだん)・・・白目や皮膚の一部が黄変する
  • 褐色尿・・・尿が強い黄色、茶色などに濁る
  • 手掌紅斑(しゅしょうこうはん)・・・手のひらや手の甲に赤いシミ状の病変があらわれる

(参考:C型肝炎の症状-C型肝炎(国立研究開発法人国立医療研究センター肝炎情報センター)より)

さらに重症化すると、

  • むくみ
  • 腹の張り
  • 腹に水がたまる「腹水」

などの症状があらわれることもあります。ALT(GPT)、AST(GOT)、総ビリルビンなどの肝機能の数値も、重症化してから上昇しやすいです。

ただし、肝機能の数値はC型肝炎ウイルスに感染する前から悪かったとか、感染しても異常が見られないなど、かなり不安定な推移になることもあるので、数値だけから判断するのは危険です。

一番安全なのは、C型肝炎のウイルス検査を受けてウイルスの有無を確認することです。まあそのきっかけとなる症状に乏しいこともあるのですが・・・

定期的な肝機能検査と不安解消のためのウイルス検査を受けよう

C型肝炎ウイルスは血液感染します。たとえば性的接触、入れ墨、注射器からの覚醒剤使用などが血液感染の原因になります。

自覚症状に乏しい以上、こうした「ことの発端」を思い出す必要があるかもしれません。

ですからたとえば、これまで肝機能数値の大きな異常がなかったのに、急に数値が上昇しはじめたといった場合には、上記の「発端」からC型肝炎ウイルス感染の疑いをイメージすることはできるはずです。

特に多いのは、避妊具なしの性行為による感染です。避妊具なしの性行為後、肝機能検査の数値が上昇した場合、不安ならC型肝炎ウイルスのチェックを受けたほうがよいといえるでしょう。

ただそのためには、やはり最低限の肝機能検査(血液検査)は定期的に受けておく筆宝があるということにもなります。簡易な健診でも実施されますので、肝機能検査はできるだけ定期的に受けるようにしましょう。

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