C型肝炎の検査は血液検査で保険適用。手遅れになる前に受けよう

C型肝炎の予防の方法にはいろいろありますが、最も有効な方法であると考えられるのは、「C型肝炎ウイルスの検査」を実施することです。理由は次の3つ。

  • ウイルスである以上目に見えない(感染したことがわからない)から
  • C型肝炎ウイルスが長年体内に残留しやすいから
  • 万一感染していたとしたらその後の重大な肝臓病の予防になるから

今回は「C型肝炎の検査」のお話をします。

C型肝炎に気付かないまま検査の有効性を考え、その方法を知ろう

C型肝炎の検査を実施する有効性は、「検査によって生命を脅かす危険を軽減できる」ところにあります。どんな病気であっても、検査することによって多少なりとも危険を軽減できることは事実です。

ただ、C型肝炎ウイルスは上でも触れたとおり「重大な肝臓病」への進行の脅威を大きくする要因になります。「重大な肝臓病」というのは、主に肝硬変であり、肝硬変から進展する肝がんでもあります。

検査が病状の悪化や最悪の死の危険を軽減できるのは、どんな病気でも同じです。

ただ、それでもなお、声を大にしてC型肝炎の検査を推奨したいそのこころは、ウイルスが体内に残留しやすいところにあります。

C型肝炎の感染経路(詳しくはこちらで)を検証してみても、このウイルスだけは検査が有効であることがわかると思いますが、やはりそれ以上に、時に感染から20年も経過して肝硬変や肝がんを発症するという根拠が特筆されます。

肝炎ウイルスの感染からの肝疾患の推移
(出典:C型肝炎検診を受け肝臓がんを予防しましょう-ひもんやwebだより より)

C型肝炎は「治る(治療できる)ウイルス性肝炎」です。であるにもかかわらず20年も経過して肝硬変を発症するということは、その間C型肝炎の治療をしなかったことを意味します。

ということは、治療しなかった患者さんのほとんどが、「C型肝炎に感染していることに気づかなかった」と考えるのが自然です。それ以外の理由としては、いろいろな事情で治療できなかったケース。他にもごく少数派として考えられるのが、不幸にもC型肝炎の脅威をご存じなかったという理由になると思います。

しかしいずれにしても、あまり現実的ではありません。C型肝炎は、感染に気付かないリスクが高いのです。

では、C型肝炎ウイルスの感染に気付くためにはどうしたらよいか・・・もうおわかりでしょう。冒頭で述べたとおり、やっぱりC型肝炎のウイルス検査を実施するのが一番の早道であり、一番の安全策なのです。

C型肝炎のウイルス検査の有効性についてもう一度まとめると、

「自覚症状がごく小さい肝臓病であること、長期間体内にウイルスが残留すること(この状態を「キャリア」と呼びます)、生命を脅かす肝臓病への移行の危険度が高いことから、C型肝炎ウイルス検査は有効である」

・・・と結論づけることができるのです。

C型肝炎ウイルス検査の方法。簡単な血液検査だけなのですぐできる

C型肝炎ウイルス検査の最大の目的は「肝がんの予防」です。肝がんをはじめ、「がんの検査」ともなるとかなり手間や費用がかかってしまうことが多いですが、肝炎ウイルス検査の方法は実に簡単です。

今回のテーマであるC型肝炎だけでなく、A型肝炎、B型肝炎のウイルス検査についても同様です。

特にB型肝炎のウイルス検査は、C型肝炎ウイルスと同時に実施することができます。

B型肝炎だけ、あるいはC型肝炎だけでも怖いですが、この両者が「同時感染」を起こすと肝がんの危険性はますます増加しますので、できれば同時に検査するとよいでしょう。

肝炎ウイルスの検査は簡単な血液検査なので健康保険の適用範囲内になりますし、自治体によっては無料で実施しているところもあります。ですから、不安な人はどなたでも手軽に実施していただける検査です。

とはいえ、風邪のように街を歩いているだけでC型肝炎ウイルスに感染したなどということはありえませんので、C型肝炎の感染経路から感染の危険度を判断することは十分可能です。

また、年齢的には40代以上が圧倒的に多くなる傾向がありますので、血液感染の不安や原因不明の体調不良など、C型肝炎の症状に思い当たる40代以上の人は、一度ウイルス検査を受けてみることをおすすめします。

C型肝炎ウイルス検査(HCV検査)の方法は、血中のC型肝炎ウイルス抗体の有無を調べる方法で実施します。

要は簡単な血液検査なので、短期間で実施でき、検査結果も比較的早く知ることができます。

HCV抗体の数値(数)によって、次の3段階で評価が行われます。

C型肝炎ウイルスの感染が強く疑われる 陽性:+
要精密検査 感染の可能性がやや高い/可能性は高くないが疑いはある
C型肝炎ウイルスに感染している可能性は低い 陰性:-

精密検査は「HCV核酸増幅検査」と呼ばれる種類の検査で、これにより陽性、陰性が決定されます。

感染経路のページをご覧いただければ、かつて輸血によりHCV感染の危険があったということをご理解いただけるかと思います。現在はその危険はほぼありませんので、輸血の心配はほぼ不要です。

しかし、HCVに感染した血液による新たな感染の危険がゼロになったわけではありません。そういった意味でも、HCV感染の不安を感じている人は、ぜひ一度HCV検査を受けていただきたいと思います。

C型肝炎ウイルス検査によって救われる命がある

今回最もお伝えしたかったことは、「C型肝炎ウイルス検査によって救われる命がある」という事実です。感染者、あるいはキャリア本人もそうですし、感染者やキャリアにかかわる人々もそうです。

「備えあればうれいなし」といわれますが、ご自身がC型肝炎ウイルス検査を実施することによって、ご自身を含む複数の生命が救われるかもしれないということを、よくご理解いただきたいと思います。

何しろ「生命」にかかわることですから、その「うれい」は非常に大きく、「備え」のもつ意味も非常に重いです。そうした事情からも、少しでも不安があるなら、ぜひC型肝炎ウイルス検査を受けていただきたいと思います。

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