4つのビタミンが肝機能を改善させる!含有量の多い食べ物まとめ
ビタミンの必要量はごく少量ですが、体の機能を整える潤滑油のような役割をしていて、ビタミンが不足しては健康な日々を過ごすことができません。
肝臓の機能が低下しているとき、体の中ではビタミンが不足ぎみになってしまっています。
このようなときに特に摂るように心がけたいビタミンは、ビタミンA、B群、C、Eです。それらと肝臓の関係と、多く含まれる食べ物について詳しくみていきましょう。
肝機能が低下しているとき、ビタミンは不足ぎみ
人が生きていくために欠かせない栄養素は、炭水化物、タンパク質、脂質の三大栄養素です。ただし、それだけでは健康を維持していくことはできません。ビタミンとミネラルもなくてはならない栄養素で、これらを合わせて五大栄養素と呼びます。
ビタミンとミネラルの必要量は三大栄養素に比べるとごく少量ですが、それがなくては体の中で三大栄養素をスムーズに使うことができません。
ビタミンやミネラルには、体内で行われるいろいろな代謝をサポートする役割があります。
肝臓にはビタミンを貯蔵する働きがあります。肝臓がダメージを受けて機能低下してくると、十分な量のビタミンを貯蔵することができなくなってしまいます。
また肝臓が受けているダメージと闘うためにも、普段よりもたくさんのビタミンが必要な状態になっています。このようなことから、肝機能が低下しているときにはビタミンが不足してしまいやすいのです。
肝機能が低下してしまっているとき、また肝臓に無理をさせてしまっているかなと思ったときには、ビタミンをしっかり摂るように心がけてください。特に抗酸化作用の高いビタミンA、C、Eや、糖質や脂質の代謝を促すビタミンB群を摂るようにしましょう。
肝機能を改善するビタミン4種と、それぞれ多く含まれている食べ物
肝機能が低下していたり、お酒の飲み過ぎなどで肝臓に無理をさせてしまっているときには、通常よりもっとたくさんのビタミンを摂るようにしましょう。
もちろん栄養素は単独で作用する訳ではありません。いろいろな栄養素が協力しあって作用し効果を出すため、バランスよく摂取することが重要になります。
その上で、特に次のようなビタミンを摂るようにしてみてください。
- ビタミンA
- ビタミンB群
- ビタミンC
- ビタミンE
肝臓は栄養素の代謝、アルコールなど有害物質の解毒、胆汁の生成といったような生きていく上で重要な働きをいろいろとしています。
ただその時に、活性酸素も発生しやすくなります。そして脂肪肝やC型肝炎などは活性酸素による酸化ストレスが大きなダメージになるとされます。
肝機能が低下してしまっているときには抗酸化作用のあるビタミンA、C、Eをなるべく摂るようにするとよいでしょう。
また肝臓には糖質や脂質を代謝する働きがありますが、これにはビタミンB群が必要です。ビタミンB群が不足すると代謝をスムースに行えなくなりますから、ビタミンB群もしっかり補うようにしておきましょう。
ではそれぞれのビタミンについて、詳しくみていきましょう。
ビタミンA…肝臓に多く貯蔵されるべきビタミンのひとつ
ビタミンAには粘膜を強くしたり免疫力を高めたりする働きがあり、肝がんなどがんの予防にも効果があるとして期待されています。薄暗い中での視力を保つ作用もあり、不足すると夜盲症(鳥目)になってしまいます。
ビタミンAは肝臓に多く貯蔵されている脂溶性ビタミンです。野菜にはβカロテンとして存在していて、高い抗酸化作用があります。βカロテンが体内に入るとビタミンAに変換されます。
脂溶性ビタミンのため、体内に蓄積されてしまうことがあります。ただし通常の食事から一時的に過剰に摂ってしまっても、すぐに健康に問題が出ることないでしょう。
サプリメントとして摂取する際には、必ず量を守るようにしてください。
- レバー
- ウナギ
- 銀ダラ
- ニンジン
- カボチャ
- ほうれん草
- モロヘイヤ など
ビタミンAは油と一緒に摂ると吸収率がよくなります。油で炒めたりして食べるようにしてみてください。特にアルコールをよく飲む人は、ビタミンAをしっかり摂るようにしましょう。
レバーにはビタミンAが豊富で、良質のタンパク質やその他の栄養素も含まれることから肝臓に良いと言われてきました。ただコレステロールが多く、肝硬変の人には害となる鉄も多いため、食べ過ぎは悪影響になります。
ビタミンB群…代謝をスムーズにする重要な補酵素
ビタミンB群とはB1、B2、B3(ナイアシン)、B5(パントテン酸)、B6、B12、ビオチン、葉酸の8種類のことで、これらは水溶性ビタミンになります。
体内の様々な代謝には酵素が必要ですが、ビタミンB群はその酵素の働きを助ける「補酵素」として働くことが多くなります。補酵素がなくては、代謝がスムーズに進まなくなってしまいます。
肝機能が低下している人は、ビタミンB群の中でも次のようなものをなるべく摂るように心がけてください。
- ビタミンB1
- 糖質の分解を促進して、肝臓の代謝機能を維持する。アルコールをよく飲む人は不足しやすくなる。
- 豚ヒレ肉
- 豚もも肉
- ウナギ
- サバ
- 大豆
- ビタミンB2
- 三大栄養素の代謝に関わっていて、特に脂質の代謝を助け中性脂肪を減らす。抗酸化作用もあり。
- レバー
- ウナギ
- サバ
- きのこ類
- 納豆
などに多くなります。
- ビタミンB3(ナイアシン)
- ナイアシンはいろいろな代謝に「補酵素」として関与する。アルコールの代謝にも関わり、お酒をたくさん飲むとナイアシンが消費され不足し、二日酔いしやすくなる。
- カツオ
- マグロ
- レバー
- きのこ類
- ナッツ類
に多く含まれます。
ビタミンB群は水溶性で、体内に貯蔵しておくことはできません。たくさん摂っても、使われなかった分は排泄されてしまいます。毎日の食事でこまめに摂るようにしておきましょう。
ビタミンC…高い抗酸化作用を持つ水溶性ビタミン
ビタミンCは野菜や果物に豊富な水溶性のビタミンで、高い抗酸化作用を持っています。血中のコレステロールを減らしたり、免疫力を高めるといった働きもあります。
コラーゲンの合成にも関係していて、不足すると細胞の結びつきが弱いために血管がもろくなり壊血病になってしまいます。まだビタミンが発見されていなかった大航海時代には、壊血病は謎の病気として恐れられていました。
- ピーマン
- 菜の花
- ブロッコリー
- 青菜類
- ジャガイモ
- サツマイモ
- レモン
- キウイフルーツ
- オレンジ など
ビタミンCは水溶性のため水に溶けやすく、また光や熱にも弱くなります。野菜や果物は新鮮なものを購入し、なるべく早く食べるようにするとよいでしょう。
たくさん摂っても体内に溜めておくことはできないため、毎日欠かさず摂ることが大切です。
タバコを吸ったりアルコールをたくさん飲む人は、体内での消費量が増えてしまいます。またストレスによっても失われやすくなります。
そのためタバコをよく吸う人、お酒をよく飲む人、ストレスが多い人などは特にたくさん摂るように気をつけておきましょう。
ちなみにビタミンCが体内で合成できないのはヒト、サル、ウシなど一部の動物だけです。イヌやネコは体内で合成することができるんですよ。
ビタミンE…過剰な摂取には要注意
ビタミンEはナッツ類に多く含まれる脂溶性ビタミンです。ビタミンCと同じく高い抗酸化作用があり、細胞膜に多く存在して細胞膜の酸化を抑えます。
LDLコレステロールの酸化を防ぐことで動脈硬化を予防したり、血行を良くする効果もあります。性ホルモンの生成などにも関係していて、生殖機能の維持にも大切です。
- モロヘイヤ
- カボチャ
- アーモンド
- ピーナッツ
- 植物油
- イクラ
- タラコ
- ウナギ など
ビタミンEは脂溶性ビタミンのため、大量に摂り過ぎると過剰症の恐れがあります。ただし過剰症は起こりにくいとされ、また食品から摂取でしたら心配する必要はありません。
抗酸化作用が高いのですが、それはビタミンE自身が酸化されやすいためです。
保存する際には酸化しないように注意し、光の当たらない冷暗所で空気にもなるべく触れないようにしておきましょう。また封を切ったら早めに食べ切るようにしてください。
非アルコール性脂肪肝炎などでは酸化ストレスがダメージの原因となっていて、その治療にはビタミンCやビタミンEが使われることもあります。
サプリメントではなく食事でビタミンを摂った方がいい理由
以上のように、肝機能が低下してしまっているときにはビタミンA、B群、C、Eといったビタミンをしっかり摂ることが大切です。
できればサプリメントで摂るのではなく、食事から摂るように心がけてください。
サプリメントは、それ自体が肝臓に負担となります。どうしても栄養が摂取できないといったときは仕方ないですが、サプリメントに頼り過ぎて食事が適当になるといった本末転倒なことにならないように注意してください。
そして忘れてはいけないのは、「栄養素は体内で単独で働くわけではなく、いろいろなものが協力し合って効果を発揮している」ということです。
体に良いからと1種類に偏って食べるのではなく、いろいろなものをバランス良く食べるようにしてください。