B型肝炎の3つの治療方法。それぞれの特徴や副作用を知ろう
肝炎ウイルスは目に見えないものであるというのもそうですが、肝炎は特に「自覚症状がほとんどない」という難しさがあります。
それだけで十分治療が難しくなるわけですが、A型肝炎とは異なり、B型肝炎とC型肝炎ははっきりした症状が出るまでに相当時間がかかるという問題もあるのです。
では、症状が出てからの治療はどのようなものになるのか?今回はB型肝炎の治療方法を解説します。
B型肝炎にかかったら導入される治療方法
B型肝炎ウイルスはC型肝炎ウイルスとくらべるとその感染力は極めて強く、感染して一度キャリアになってしまうと、ウイルスのすべてを体外に排除することは非常に難しいといえます。
キャリアなど感染についての用語説明はこちらからどうぞ。
しかし方向性としてはC型肝炎の治療と同じ方向の治療が行われることになります。
C型肝炎は根治治療(完治を目指す治療)に近く、B型肝炎は対症療法(症状の軽減を目指す治療)に近いイメージがあるという点で異なります。
B型肝炎の治療方法は大きくわけて3とおりに大別されます。
抗ウイルス療法 | インターフェロン(IFN)、核酸アナログ製剤などによる治療 |
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肝庇護(かんひご)療法 | ウイルス駆除はせず、ウイルスから肝臓を保護する治療 |
免疫療法 | ステロイドリバウンド療法 |
B型肝炎の抗ウイルス療法とは、注射と内服薬による治療方法
C型肝炎の抗ウイルス療法では、C型肝炎ウイルスを攻撃することはもちろん、体外に排除するイメージの治療が行われました。しかしC型肝炎ウイルスよりも感染力が強いB型肝炎ウイルスの場合、「攻撃」がメインの治療です。
B型肝炎の抗ウイルス療法では、インターフェロン療法、核酸アナログ療法と呼ばれる治療方法が採用されます。インターフェロンは注射治療、核酸アナログ製剤は内服薬を服用する治療です。
- インターフェロン療法(注射)の概要とねらい
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- 35歳未満が治療の対象となることが多い(医師の判断による)
- B型肝炎ウイルスの増殖を食い止める効果
- 有効率はおよそ30%(30%の割合で明確な効果がみられる)
- 核酸アナログ製剤投与(内服薬)の概要とねらい
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- 35歳以上が治療の対象となる(症状が進行した35歳未満の患者も対象)
- B型肝炎ウイルスの増殖を食い止める効果
- 有効率はおよそ80%かそれ以上(80%以上の確率で明確な効果がみられる)
- 投与を中止すると再発する危険性が高いので注意が必要
(参考:B型肝炎-医療法人社団慈昴会肝臓専門外来より)
B型肝炎の肝庇護療法はウイルスから肝臓を守る治療法
B型肝炎治療のひとつである「肝庇護療法」は、文字通り、B型肝炎ウイルスから肝臓を庇(かば)い、護(まも)る、つまりは「庇護(ひご)する」ことを目的とした治療方法です。
B型肝炎の肝庇護療法には、
- 注射による治療
- 内服薬の投薬治療
とがあります。一般的には、身体への負荷を最小限にとどめることができる肝庇護療法を採用するのがB型肝炎治療の特徴です。
ただし、効果の高さでいえば、肝庇護療法よりも抗ウイルス療法のほうが効果的であるといえます。一般的に慢性肝炎として症状があらわれるB型肝炎ですが、まれに急性症状がみられることがあります。
急性肝炎の場合、ごくまれに劇症肝炎へと移行して死に至る危険性も考えられますので、体力が十分にあってより確実に治療できると医師が判断した場合、抗ウイルス療法を採用することもあります。
- 肝庇護療法(注射・内服薬)の概要とねらい
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- 肝機能の正常化と肝炎の進行を食い止めるねらい
- 治療の効果は必ずしも高くない
(参考:B型肝炎-医療法人社団慈昴会肝臓専門外来より)
抗ウイルス療法は画期的なB型肝炎の治療法ですが、肝庇護療法は抗ウイルス療法以前から採用されてきた割と原始的な治療方法なので、効果がない患者さんに対しては抗ウイルス療法への乗り換えが検討されます。
もともとある免疫力を低下させる!?B型肝炎の免疫療法
「免疫療法」という響きから、肝炎ウイルスなど何らかの影響で低下した免疫力を上昇させ、ウイルスに対抗しよう・・・という治療をイメージするかもしれませんね。しかし実は、「まったくの逆」なんです。
免疫療法は、生まれながらにもともと持っている免疫力をあえて低下させることによって痛みなどの症状を軽減させるイメージになります。
つまり、B型肝炎に対する免疫療法は、完全な対症療法になるのです。
リウマチ性疾患や痛風、末期がんなど激痛を伴う疾患に対して投与されることが多い強力なステロイド剤であるプレドニゾロン(プレドニン)を投与することにより、白血球(免疫)の働きが低下し、症状を軽減することができます。
しかしB型肝炎の免疫療法は、強い副作用がみられることが多いので一般的な治療法とはいえず、かなりの重症で入院している患者さんに対し、医師の慎重な判断のもとに選択される治療法であるといえます。
感染力が強いB型肝炎ウイルスだけに粘り強くしっかりと治療したい
再三お話してきたように、B型肝炎ウイルスはとにかく感染力が強く、一度キャリアになってしまうと、たとえば「数十年」といった人生の大半をウイルスとともに過ごさなければならない、非常に厄介なウイルスです。
それだけに、あまり強引な治療で無理やりB型肝炎ウイルスをはがしとるようなイメージではなく、どちらかといえばウイルスとうまく付き合っていくというイメージで、粘り強く治療を続けていただきたいと思います。
もちろんこれはB型肝炎ウイルスに対して寛容になりましょうということではありません。ウイルスは危険を伴うだけに厳しく対処しなければなりません。それでもB型肝炎ウイルスはなくなりませんよ、ということです。
だからこそ、辛抱強く粘り強い治療が必要になるとお考えいただきたいと思います。