B型肝炎の血液検査。検査結果の数値・記号があらわす意味

肝炎の症状はどれも似通った過程をたどりやすいです。

原因によって「ウイルス性肝炎」とか「アルコール性脂肪性肝炎・肝障害」など種類と呼び方は変わりますが、肝炎は肝炎であり、肝障害は肝障害です。だから症状自体は似ている部分があるのです。

ウイルス性肝炎となると、目に見えない上に感染経路もよくわからないといった事態も想定されます。そこで重要な意味を持つのが検査です。

今回はB型肝炎の検査について詳しく解説していきます。

保健所で血液検査…B型肝炎の検査は手軽に受けられる

B型肝炎やC型肝炎など主要なウイルス性肝炎は、日本で最大約280万人にもおよぶといわれます。しかし驚くべきは感染者数ではなく、「そのうち3割は感染に気付いていない」という事実です。

だからこそ、生命の危険も十分考えられるウイルス性肝炎の検査は有効性が高いのです。

A型肝炎のように症状が出てからでないと受けられない検査もありますが、B型肝炎はそういった厳しいしばりはなく、40歳以上の方で健康保険など法的な部分に問題がなければだれでも受けることができます。

ただし、仮にB型肝炎ウイルスに感染している場合、感染直後だとより正確な結果が出ないことが多いので、この点については要注意です。

知識に関する説明はそんなに難しくありませんので、さっそくまとめます。

B型肝炎の検査について必要な知識
  • 検査の種類・・・血液検査/採血後1~数週間で結果がわかる
  • 検査のタイミング・・・抗原・抗体検査/感染から3カ月以上経過すると正確な結果がわかる
  • 各市町村の住民基本健診もしくは各自治体の保健所にて実施

という具合に、比較的わかりやすく、手軽にB型肝炎の検査を受けることができます。

B型肝炎の検査結果をどう読むか?難しい専門用語の見方

検査をしたからそれで安心ということでは当然ありません。検査結果を見て「異常なし」であることがわかってはじめて安心を得ることができるわけです。

しかし検査によっては、結果の読み方が難しいこともあります。

B型肝炎の検査もまさにその典型で、検査結果が少し専門的な用語で記されることが多いです。検査結果をしかるべき医療機関に持参すれば、もちろん担当のお医者さんからの解説をもらえるとは思います。

しかしいきなりB型肝炎の検査結果を病院に持ち込むのも少々気が引けるという人いると思いますので、ここではB型肝炎検査の結果の読み方について、簡単に説明しておきます。

B型肝炎の検査は「抗原・抗体検査」です。これは、HBs抗原(B型肝炎ウイルス(HBV)そのもの)と、HBVに対するHBs抗体の陰性(-)・陽性(+)を判定する検査です。まずは抗原の検査を実施し、現状の感染状態を確認します。

HBV感染状況を判定する抗原検査(自治体の健診・保健所)の結果
  • HBs抗原陰性(-)・・・HBV感染はない。何らかの自覚症状があれば再検査・精密検査を実施する
  • HBs抗原陰性(+)・・・HBV感染が認められ、速やかな精密検査と治療が必要

上記の検査結果を受けて、さらに詳細な検査(精密検査)や治療が必要になることもあります。この場合、しかるべき医療機関で検査・治療が実施されます。

ここからの検査は医療機関における「抗原・抗体検査」です。

抗原・抗体検査項目 検査結果とその解釈
HBs抗原 陽性(+)でHBV感染を認める。
HBs抗体 陽性で過去の感染を認め、その後の治癒を示す。ただしHBVワクチンを接種した場合にも陽性を示す。
HBc抗体 陽性でHBVに感染を認める。HBVワクチン接種でも陰性(-)を示す。
HBc-IgM抗体 HBV感染を認めるが、ごく最近の感染であることを示す。
HBe抗原 陽性の場合、感染したHBVの増殖が非常に活発である可能性が高いことを示す。
HBe抗体 陽性の場合、感染したHBVの増殖力が低下している可能性が高いことを示す。
HBV-DNA HBVのウイルス量の測定値。

(参考:肝炎ウイルス検査とは? 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎情報センターより)

B型肝炎の抗原・抗体に関する詳細な説明は「【HBV抗原・抗体】血液検査でみるHBsはB型肝炎感染の有無をみる」に掲載してありますので、興味がある方はご覧ください。

感染すると厄介なB型肝炎ウイルス!だからこそ検査が重要

A型肝炎でもC型肝炎でもその他の肝炎でも同じですが、ウイルス性肝炎は感染すると非常に厄介です。特にB型肝炎とC型肝炎は、生命の危険に瀕することも多い肝炎だけになおさらでしょう。

しかし検査をすることによってHBV感染を早期に発見し、早期に治療すれば、改善の余地は十分です(完治は少し難しいところがあります)。

では何が厄介なのかというと、HBVが増殖してからの治療が厄介なのです。

だからこそ、思い当たるフシがあるならできるだけ早い段階でB型肝炎の検査を実施し、悪化(HBVの増殖)を食い止めることが重要なのです。今回はそのことをよくご理解いただきたいと思います。

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