アルコール性肝障害の治療法は、断酒すること以外にない!

お酒の飲み過ぎは肝臓を悪くしてしまいます。しかし肝臓は「沈黙の臓器」とも言われ、多少問題が起きていても自覚症状はほとんど現れません。

そのため検査で肝機能が悪くなっていると指摘されても、なかなか危機感が持てないかもしれません。

しかしそのまま放置してしまっては、後悔することにもなりかねません。アルコール性肝障害を改善させるための治療方法をみていきましょう。

自覚症状のないまま、アルコール性肝障害は進行する

アルコール性肝障害とは、長期間の過剰な飲酒が原因で発症した肝臓病のことを言います。怖いのは自覚症状のないまま進行してしまうことです。

肝機能低下を指摘されても症状がないからと飲酒を続けていると、気づいたときには肝硬変になり今までと同じ生活が送れなくなることもあるのです。ですから、健診で問題があったときにはすぐに改善させていくことが大切です。

▼アルコール性肝障害について、詳しくはこちらをご覧下さい。
飲酒が引き起こすアルコール性肝障害の症状

アルコール性肝障害の治療の基本は「断酒」すること

アルコール性肝障害の原因はお酒です。何度も言いますが、飲酒を続けている限り肝臓の状態は悪化していってしまいます。

これ以上の悪化を阻止するためには・・・「断酒」することです!アルコール性肝障害の治療の基本はお酒を止めることなのです。「量を減らす」ではなく、「一切止める」ようにしましょう。

断酒をするだけでも、肝機能の検査値は正常に戻ってきます。特にアルコール性脂肪肝、アルコール性肝線維症くらいまでの段階ならば、薬を飲むといったような治療をしなくても、断酒するだけで肝臓の状態は改善させられるのです。

肝硬変にまで症状が進んでしまっている場合には、もう肝臓を元の状態に戻すことは難しくなります。しかしこの場合でも、断酒をすることで生存率が上がることがわかっています。

お酒は適量であれば健康に良いとも言われます。しかし今まで肝臓を悪くするほどに飲んできた人は、少しでも飲んでしまうと「適量」では終われなくなってしまうのではないでしょうか。

しばらくお酒を我慢していたのに、誘われて久しぶりに飲んだときについ飲み過ぎてしまっては、せっかくの今までの努力が水の泡になってしまいます。断酒によって肝臓の状態が改善されていても、また飲むことで悪化してしまうのです。

一旦飲み始めると理性が効かなくなってしまうと思いますから、始めから一切飲まないと決めておいたほうがよいでしょう。

お酒を止めるための薬もあります

今まで肝臓を悪くするほどにお酒が好きだった人にとって、今後一切お酒を止めるというのは簡単なことではないでしょう。「アルコール依存症」になってしまっているのかもしれません。

どうしてもお酒を止められないという人は、主治医に相談してみてください。精神科の医師に相談したり、アルコール依存症でしばらく入院したりすることもあるかもしれません。

お酒を自分の意思で止められないからといって、自分のことを責めたりはしないでください。医療機関でしっかり治療を行っていくことが大切です。場合によっては、飲酒を止めるための薬が処方されることもあります。

アルコールは体内に入ると分解されて有毒なアセトアルデヒドになり、さらに分解されて無害な酢酸となります。飲酒を止めさせる薬は、途中のアセトアルデヒドの分解を抑えることで効果を発揮します。

有毒なアセトアルデヒドが分解されないまま体に残ると、それにより動悸、吐き気、頭痛といった悪酔いのような症状を引き起こしてしまいます。そうすることでお酒に弱い体質を作り、お酒を嫌いにさせるのです。

その他にも、お酒を飲みたいという要求自体を抑える薬もあります。

お酒をどうしても止められないと悩んでいるようでしたら、まずは一度、主治医に相談してみるとよいでしょう。

女性は男性よりアルコールの処理能力が低いため男性よりも少ない飲酒量、短い飲酒期間で進行しやすくなります。自分はお酒に強いと思っている人ほど、気をつけてください。

肝臓のためには、今までの生活習慣も見直そう

健診で肝機能が悪化していると言われたら、今までの生活習慣を見直すことも大切です。脂肪肝はお酒の飲み過ぎだけでなく、食べ過ぎや肥満なども原因になります。

食事から摂取するエネルギーが消費エネルギーよりも増えてしまい、消費しきれなかったエネルギーが脂肪として肝臓に溜まってしまったのが脂肪肝です。

脂肪肝の状態を改善するためには、摂取エネルギーを減らして消費エネルギーとのバランスをとることが大切になるのです。

具体的に言うと食べ過ぎをしないようにし、肥満のある人は少しでも減量していくことが大切になります。脂質や糖質を少し控えるようにしたり、体を動かしてエネルギーをもっと消費するようにしてみてください。

運動は有酸素運動であるウォーキングやジョギング、水泳などが良いでしょう。食事制限も運動も一度に無理をしすぎず、長く続けられるようにしていきましょう。一気に体重を落とそうとせず、1ヶ月で1kgずつくらいを目標にするとよいでしょう。

もちろん基本的なことですが、食事のしかたは次のようなことを心がけてください。

  • 一日三食、規則正しく食べる
  • 早食いはせず、ゆっくり噛んで食べる
  • 一度にどか食いをせず、腹八分目にしておく
  • 夕食が夜遅くになる場合には、なるべく軽くする
  • 間食は控えめに
  • いろいろなものをバランスよく食べる
  • ビタミンもしっかり摂るように心がける

壊れてしまった肝細胞を修復するためには、タンパク質やビタミンが必要です。肝機能が低下していると肝臓内にビタミンを貯蔵しておけなくなっていますので、食事からしっかり摂るように心がけましょう。

特にビタミンA、B群、Cなどが必要です。ただし栄養素は体内で協力し合って効果を発揮するものなので、肝臓に良いからと偏って食べるのではなく、いろいろなものをバランス良く食べるようにしていきましょう。

肝臓の状態によっては肝機能を改善させる薬やビタミン剤を服用することもあります。また糖尿病や脂質異常症もあれば、それらの薬が併用されることもあります。

ただアルコール性肝障害を改善するために一番大切なことは、まずは断酒をすることです。そして断酒をするだけでも、肝臓の状態はかなり改善するということを覚えておいてください。

自分ひとりで断酒を続けることは大変だし辛いかもしれません。そのときには断酒会などに参加するという方法もあります。まずは主治医に相談してみましょう。

肝臓の状態を悪化させてしまってから後悔しなくていいように、早めにきちんと対処していきましょう。

アルコール性肝障害を改善するためには、やっぱりお酒を止めることなんですね。お酒を止めるだけでも肝機能は改善されるのですから、がんばってみましょう。
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